ダレン・シャン

 

ダレン・シャン〜奇怪なサーカス〜
ある日、ダレンの友達のアランが街で配られていたというサーカスのチラシを学校に持ってきた。「シルク・ド・フリーク」=「異形のものたちのサーカス」と書かれたチラシに興味を持ったダレンはチケットを手に入れ、親友のスティーブとともに真夜中にこっそり出かける。そこは「ひげ女」や「蛇少年」などさまざまなフリークがショーを行っていたが、スティーブが「毒グモ」をあやつるクレプスリーの正体に気づいたとき、ダレンの運命が180度変わっていく…。
…書店でこのシリーズが平積みになって置かれているのを目にしている方も多いと思うので、どういう話かは想像がつくと思われる。「ハリポタ」同様、子供向けのファンタジー。シリーズ一作目なので、ダレンの運命がどう変わっていくのかが書かれた「前置き」なのだが、これがなかなか面白い。運命を受け入れたこれから先のダレンに注目です。
ただし、はじめの方の「フリークショー」についての記述は訳者が断りを入れているのだが、児童書にしてはちょっとキツイかな…と、思ったのと「フリーク」を見世物にすることに嫌な感じがした。

 

 

ダレン・シャンU〜若きバンパイア〜
前作で自らの運命…半バンパイアとして生きていくことを受け入れ、クレプスリーとともに旅を始めたダレン。しかし、家族と友人を失った寂しさは埋めきれない。ある日クレプスリーは「シルク・ド・フリーク」へ戻ることを提案し、戻ったダレンは「蛇少年」のエブラや「人間」のサムと友達になるが…。
いやぁ…クライマックスでは泣きました。生きていくうえで避けて通れないのが、「出会いと別れ」。出会いを望む思いが強ければ強い分だけ別れがツラくなる。それがあんな形で訪れようとは…。ダレンじゃなくても、泣けてくること間違いなし。ダレンにとっての試練の始まりなのかもしれないが、最後ではちょっぴり救いもあって、このまま健やかに?、大切な思い出と共に半バンパイアとして成長していって欲しい。

 

 

ダレン・シャンV〜バンパイア・クリスマス〜
ダレンの「シルク・ド・フリーク」での日々も1年半が過ぎたクリスマスも近いある日、クレプスリーや蛇少年エブラとともに旅に出るが、夜な夜な出かけるクレプスリーの行動に不信感を持ったダレンとエブラはクレプスリーを尾行する。バンパイア将軍とは…?、バンパニーズとは…?。
相変わらずハラハラドキドキさせてくれる無鉄砲なダレンだけれど、今回の作品の中で、クレプスリーも認めるほど大きく成長していた。前作は「友情」を描いたものに対し、今回はもう一歩踏み込んで「信頼」を描いている。「信頼」ってこうして字に書くのは簡単だけれど、信頼するという行為はなかなか難しい。相手を理解し、自分のことも理解してもらえるように努力しなければ、信頼は成立しないのね…と、さりげなく教えてもらったような気がする。あとがきによると、今回の話は今後の布石になってるらしい。道理で怖いながらもちょっとこじんまりした話だな…と、思った。しかし、今後の展開がますます楽しみになってきた。

 

 

ダレン・シャンW、X、Y ★★★★
前回の恐ろしいクリスマスから6年後。12年に一度行われる「バンパイア総会」に出席するため、ダレンとクレプスリーはミスター・タイニーの「バンパニーズ大王の夜が来る」という伝言を携えたリトル・ピープルを二人連れて、バンパイア・マウンテンへ向かう。バンパイア・マウンテンでの新しい出会いに胸を躍らせつつもミスター・タイニーの伝言が気になるダレン…。
今回はW〜Yでひとつの大きな物語になっている。今回も新しい出会いがあった反面、また悲しい裏切りと別れを経験したダレン。しかし、1作ごとにバンパイアとして確実に成長を見せてくれ、ずいぶん頼もしくなった。クレプスリーの鼻高々ぶりもわかる。「X」のサブタイトルが「バンパイアの試練」なのだけれど、これはダレンだけのものではなく、バンパイア族全体が大きな試練を迎えることの序章になっている。この先、どうなっていくのか…ますます目が離せない。

 

 

ダレン・シャンZ、[、\ ★★★★
前回の3部作以降、新米元帥として忙しい中にも充実した日々を過ごしていたダレンとパンパイア達。しかしバンパニーズとの闘いのことで誰もが頭と身体を痛めていたある日、バンパイア・マウンテンを訪れたミスター・タイニーがバンパニーズハンターとしてダレンとクレプスリーたちを選び、一行は山を降りるがそれは新たな試練の始まりだった…。
1冊ずつ感想を書くとネタバレになるので今回も3冊まとめてのUPです。しかし、この話は結局最後の「12」まで続くらしく、結局感想らしい感想は書けない。今思えば、この話をはじめて読んだときに「このままでは終わらないだろう」と思ってたことが、ここで「やっぱりね」という展開になった。そしてそのことがダレンに深い傷を負わせ、更に大きな悲しみがダレンを襲う…。なんともいたたまれないストーリーだ。ダレンと仲間達にこの先、明るい未来がやってくるのか。ドキドキハラハラしながら次を読むことにしよう。