遠藤 周作

 

王妃マリー・アントワネット
フランス革命において断頭台の露と消えたマリー・アントワネット。
その生涯をフィクションを交え、語られていきます。
このフィクションの登場人物、マルグリットが自分とはあまりにも違うマリー・アントワネットを憎みながら生きていく姿が力強くて小気味よい。
あたしは『ベルばら』を読んでも、マリー・アントワネットには共感出来なかったし、それはこの作品を読んでも変わらない。
夫を失い、最愛の子供とも離れて一人牢獄で「その時」を待つ姿は「悲劇の王妃」かもしれない。でも、国民を顧みなかったのは事実なのだから、美化してはいけないと思う。王妃たるものの義務や責任を果たさなかったのだから。確かにちょっと時代が悪かったのかな…とは、思う。ルイ14世、15世の頃のツケが決して小さくなかったのだ。
けれど、マリー・アントワネットは最期のときまで「王妃」としてのプライドを失うことなく「生き抜いて」行く。これが違う方向へ向けることが出来ていたら断頭台へ登ることもなかっただろうに…。フェルゼン以外の側近に恵まれなかったことが「悲劇」だったのかもしれない。
それにしても…。「何故、ここにオスカルさまがいないの〜?」って、思っちゃうのは、あたしだけかしら?(笑)。