原田 宗典

 

はたらく青年
原田氏、ご本人の数多いバイト経験のおもしろ話を集めた抱腹絶倒エッセイ。
これを読んだのは子供の保育園のお迎えに少し早めに家を出て時間が来るのを車の中で待つ10分間だけ…という限られた時間だったのだけれど、しっかり笑わせていただきました。
2話目の「ホットドッグマンの落胆」で、原田氏が大学に入学するため上京する新幹線の中で父上から贈られたという餞別の中味を明らかにしたとき、もうもう、涙が出ました。笑いすぎて。
こんな感じで原田氏にとっては「とほほ」な情けないであろう話なのだが、読者としては爆笑モノ。この1冊で一体、何度爆笑したかわからない。ラストの「エ○本配達青年の興奮」なんてタイトルからして想像がつくかもしれないけれど、気の毒な気持ちになりつつも、若かった原田氏の健康的な一面が笑える。そんな情けないバイト生活をしつつも、人を観察する目はこの当時にしっかり養ったんだろうな…ということがわかる。そして作家、原田氏がどんな「作家志望青年」時代を過ごしたか、その原点が垣間見える、ちょっぴりお得な1冊です。