秦　建日子

推理小説　★★★

ドラマ「アンフェア」原作本。
会社員、高校生、編集者…面識のない人々が相次いで惨殺された。事件をつなぐのは「アンフェアなのは、誰か」と書かれた本の栞。そんな中、事件の詳細と殺人予告、そして「事件を防ぎたければ、この小説の続きを落札せよ」という要求が書かれた原稿が出版社に届く。検挙率ナンバー１の女性刑事、雪平夏見が事件に臨む。
ドラマの原作ということと「推理小説」というなんとも大胆なタイトルに惹かれて読んではみたものの、正直「えっ？！、これでおわり？」とちょっと肩透かしを食らった。ドラマはこの原作を更に膨らませて独自のストーリー展開をしているらしいんだけれど、確かにこの原作部分だけではドラマとしてはちょっとツライかな…というところ。犯人もわりとすぐにわかってしまうし。でもそれはわたしが超長編の複雑な小説に慣れてきているからであって、読書入門者には長さもストーリーもいい感じなのかもしれない。作者はこの大胆なタイトルとストーリーで読者に「推理小説とは本来こうあるべきだ」ということが言いたかったのではないかと思うんだけど、でもちょっと単純だったかな。けれどヒロインの雪平の「無駄な美しさ」は今後も期待したいし、シリーズ化もされるらしいので、また読んでみたいな…と、思わせるキャラだった。