伊坂 幸太郎

 

陽気なギャングが地球を回す ★★★★
人間嘘発見器・成瀬、演説の達人・響野、正確な体内時計の持ち主・雪子、天才スリ師・久遠の4人は史上最強の銀行強盗(ギャング)だ。ところが、せっかく首尾よく運んだ「仕事」の帰り、現金輸送車襲撃犯に「売上金」を乗せた車を奪われてしまう…。
映画化され、話題になってたので「今更ながら…」と、思って読んでみた。ストーリーそのものには特に真新しい感じはしなかったけれど、ギャングの4人、それぞれの個性と会話のテンポがよく、読みやすかった。それに「地道さん」という名前の付け方がニクいではないか!。強盗を働いてる間に演説をぶつなんて、現実離れもいいところ。だけどそこに「ロマン」があればいいのだ…と、妙に納得してしまう。重たい小説が好きな人には正直言って物足りないだろうけど、息抜きにはもってこい。なにより、あまり本が好きでない人や中学生にもサラリと読めるところがいい。…ただし、銀行強盗はしないほうがいいと思います(笑)。
成瀬と雪子、それぞれの子供が現実離れしたストーリーに少し日常感を与えてくれたところが「突飛過ぎない」話になったのではないかと思われます。とはいえ、やっぱり「こんなのありえない」話だけど。

 

 

陽気なギャングの日常と襲撃 ★★★★
おなじみの史上最強のギャングの4人がそれぞれの日常の中で遭遇した「刃物男」「幻の女」「謎の招待券」「殴打事件」。一見、無関係に思えるこれらのことがなぜか微妙につながりをみせ「社長令嬢誘拐事件」の真相に迫っていく…。
会話のおしゃれさ、テンポのよさはあいかわらず。ストーリーは前作以上に好きというか、前作以上におもしろかった。今までの読書経験上、「続編」が1作目を上回ることはほとんどない…という思い込みがあったのだけれど、これは違う!。4人の個性が更にパワーアップされ、それでいてさらりと日常に溶け込んでいて「ありえないはず」の4人が「やっぱりどこかにいるんじゃないか」「もしかしたら近くにいるのでは…?」なんて思えるほどに、身近に感じる。スカッと爽快な気分になりたい人は是非、前作とあわせて読みましょう。
それにしても「麻薬に異様に厳しい南米の国」って実在するんでしょうか?。それにその国の言葉がしゃべれるという「黒磯」のマスター…うさんくささから、どうしてもドラマ「HERO」のあの「あるよ」っていうマスターを思い浮かべてしまうんですけど(笑)。