J.K.ローリング

 

ハリー・ポッターと賢者の石
今さらながら…と、いう気がしながらも、やはり避けて通るのは惜しくて読みました(笑)。
11歳のハリーが「ホグワーツ魔法学校」に入学するまでの生い立ちからはじまり、ダーズリー家での暮らし、入学、信頼できる友達(ロン、ハーマイオニー)やハグリッド、先生たちとの出会い、そこで起こる事件…。まずはこれを読まないとこの先に進むことが出来ない…ということで、ストーリー的には7作続く本書の「導入部」「入門書」といった感じです。でも9と3/4番線、ホグワーツ特急、組み分け帽子、空飛ぶ箒、ドラゴン…ありとあらゆる「舞台」と「小道具」にいい年をしたぴょんも子供の頃に見ていた魔法使い系少女アニメ(?)を思い出して、ワクワクしました。このシリーズが世界中で大勢の人に読まれているというのが納得できます。
子供はこのシリーズを通してハリーと一緒に成長し、そして空想力・想像力を育てることが出来るだろうし、大人は童心に帰ることが出来ます。そしてこの物語の登場人物の「ほとんど」が魔法使いでありながら、とても「人間的」なところに親近感をおぼえます。そう「例のあの人」やごく一部を除いては…。
そして、寮生活のなんと楽しそうなこと!。それまでの10年間の虐げられた生活から解き放たれたハリーの活き活きした表情が目に浮かんできます。学校で季節ごとに行われるパーティ!。そこで出されるごちそうの美味しそうな事!。お腹がすいてるときに読むと間違いなく、よだれが出ます。
そうそう。読んだ方にお聞きします。「みぞの鏡」に掘られた変な呪文のようなもの、ちゃんと読めましたか?(笑)。

 

 

ハリー・ポッターと秘密の部屋
『賢者の石』事件の後、すぐに学校は夏休みに入り、またダーズリー家での居候生活を送るハリー。そこに「屋敷しもべ妖精」のドビーがハリーに「夏休みが終わっても学校へ戻ってはいけない。世にも恐ろしいことが起きる」と警告に現れる。このドビーの登場によって、またまたかき回されるハリーの身辺。案の定、学校へ戻ったハリーに「暴れ柳」だの「絶命日パーティ」だのが待ち受けていたが、本当に待ち受けていたのは「秘密の部屋」にまつわるハリーの隠された能力と「例のあの人」だった…。
この『秘密の部屋』は前作に続いてあくまでもこれから先に続く物語の伏線・布石…といった感じ。1作、2作を読んで気づいたのはこの物語は必ず次に繋がっているということ。だから油断しないで読んでくださいね。
ハリー、ロン、ハーマイオニーの3人の友情も強固になり、これから先の展開がますます楽しみです。でも今回登場したドビーとロックハートにはとことん振り回されます。途中で何度もハリーたちと一緒に「キィーッ!」となりました(笑)。
そして今回、ぴょんは泣きましたねぇ。それほど涙々のシーンというわけではなかったのだけれど、ラスト間際でウィーズリー夫人がハリーとロンを抱きしめたとき。「ここで泣けるなんて、あたしも親なんだなぁ…」としみじみしちゃいました(笑)。
それにしても、いくらなんでもありの「魔法使い」の話とはいえ、作者は次から次とよくアイデアが浮かぶものですねぇ。

 

 

ハリー・ポッターとアズカバンの囚人
脱獄不可能といわれる魔法使いの監獄「アズカバン」から囚人中もっとも凶悪と言われるシリウス・ブラックが脱走。そんな中、夏休みをダーズリー家で過ごしていたハリーだったが、ダーズリー一家とひと悶着を起こし、家を飛び出した。ハリーに付きまとう死神犬、グリム…。シリウスを追う看守の吸魂鬼(ディメンター)…。ハリーは死の影を払いのけることが出来るのか…という内容。これは前2作とは違っていよいよ「本編」といった感じ。
これ大好き。絶対、おすすめ!。謎だったハリーの生い立ちが徐々に明らかになってきて、最後にはせつない別れがあり、それによってハリーが少し大人になる…。
またまた新キャラ続出。しかも「吸魂鬼(ディメンター)」なんて、恐ろしいものが出てきて、ハリーは絶体絶命!…の、はずなんだけど、ちゃんと助けてくれる人物が出てくるのはある意味「お約束」。だからといって、ハリーが努力もせず、ただ助けてもらうだけではないところが、このシリーズの人気の素なのでしょう。ひとつひとつの事件をハラハラドキドキ、危なっかしいながらも、なんとかくぐり抜け、魔法族としても、人間としても着実に成長していくところが多くの人の気持ちをひきつけるのだと思う。
今回、ハリーはやっと「家族」を得ることが出来るのだけれど、これから先に待ち受けるであろう試練に、その「家族」が大きな力を与えてくれるだろう…というところに、ハリーが感じた勇気と安心を一緒に感じとることが出来ました。
しかし、ハーマイオニーは1年間、よく「姿をみられなかった」ねぇ。この小道具?も、魔法使いの「王道」小道具なのだけれど、すっかり忘れてて、「おっ!、その手があったか。やられた〜」と、思いました(謎)。

 

 

ハリー・ポッターと炎のゴブレット
夏休みをいつもどおりダーズリー家で過ごすハリーにロンからの手紙が舞い込む。クィディッチ(魔法族の人気スポーツ)のワールドカップ決勝戦への招待だった。ロンの家族やハーマイオニーたちと決勝戦を観戦し、興奮もさめやらぬその帰途、「闇の印」が夜空に打ち上げられるのを見たハリーたち。ほどなく新学期がはじまり、学校へ戻ったハリーを待っていたのは何者かの策略によって「三大魔法学校対校試合」へ出場すること、そしてそのことにより、ホグワーツ入学以来の親友ロンと仲たがいをしてしまうことだった。ハリーは最大、最悪のピンチに陥る…。
まず、最初に一言。「
児童書にあるまじき大長編だーっ!」(笑)。でも長さをまったく感じさせないところはさすが。お年頃になったハリーたちのほんわかした恋。友情。そして死…。この死の前後には号泣しました。次から次と襲い掛かってくる困難に、読みながら手に汗を握り、時に冷や汗をもハリーと一緒に感じながら、読み進めて行くことが出来ます。勇気を振り絞って「例のあの人」に立ち向かうハリーの姿に感動します。
この作品で物語が大きく進展していくことでしょう。どのように展開し、どんな結末が待っているのか、ますます見逃せません。
そしてハリー、ロン、ハーマイオニーがまた少し成長し、3人の関係もただの「友情」とは言い難い、別のものが見え隠れ…?。こちらの展開も今後のお楽しみです。
けど、やっぱり児童書にしては長いよ〜。コレをちゃんと読みおえることが出来たお子さまたち、えらいっ!。

 

 

ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団 ★★★
前作の「炎のゴブレット」での死闘から間もなく、ホグワーツは夏休みに入り、ハリーはダーズリー家に帰ってきた。しかし、「ヴォルデモート」の復活を目の当たりにしたハリーはイライラが募るばかり。そんなある夜、ダドリーと共にまたしても吸魂鬼に襲われたハリーに「不死鳥の騎士団」から迎えが来る。向かった先にはロンやハーマイオニー、ロンの家族、そしてシリウスたちがいた。夏休みの残りをそこで過ごし、ホグワーツへ戻ったハリーは「ヴォルデモート」の復活を認めたくない、魔法大臣ファッジの差し金でホグワーツへ送り込まれてきた新任教師アンブリッジに何かと目をつけられ、ホグワーツにいるはずのハグリットの不在理由や、「あの人」の動向をうかがうことすら出来なかった。頼みのダンブルドアも何故かハリーによそよそしい。そして…。
今回、ハリーはずっとイライラし通しで、ついに暴走してしまう。ハリーが暴走さえしなければ、あんなことにはならなかった。しかし、その暴走を止められなかった大人…ダンブルドアが最後に語るシーンは今までの謎をある程度、明かしてくれる。それは新たな謎を呼ぶが、また次巻以降の話しになるのだろう。目を引いたのはハリーをはじめとする、子供たちの成長ぶり。特にネビルとジニーの成長には目を見張るものがある。どちらにも泣かされる。今後、ネビルはもっともっとストーリーに絡んでくるのではないだろうか。どうか良い方向での絡み方であってほしいが…。泣けたと言えば、ハリーの天敵ともいえるスネイプの過去。スネイプの懊悩に思い至ったときに、ハリーと同様、読む側も苦く切ないもので胸がいっぱいになる。
いつもながら「闘い」のシーンは臨場感が溢れ、手に汗を握る。この描写は「児童書」の域を超えた素晴らしいものだと思うが、作品自体は前作に続いて、長すぎる。大人が読むには問題ないかもしれないが、児童書ということを鑑みると、どうかな…と、思う。確かにひとつひとつのエピソードは削れないものなのかもしれないが、一考願いたい…でも、ムリだろうな。というわけで、今回はちょっと厳しすぎ…限りなく4に近い、星3つ。

 

 

ハリー・ポッターと謎のプリンス ★★★★
前作でのぬぐいがたい悲しみを胸にまたホグワーツでの生活が始まった。ヴォルデモートとの避けられない闘いを運命と受け入れるハリーにダンブルドアが「個人授業」を施す。また偶然、手に入れた教科書に助けられ「魔法薬」の授業をうまく乗り切るハリー。そこには「半純潔のプリンス」と書かれていた…。一方でお年頃のハリーたちの恋も一筋縄ではいかないようで。
全7巻の6巻目ということで、いよいよ最終章へ向けての扉が開いた。それにしては今回も、というか今回こそはというべきか、とにかく今まで以上に大きな悲しみと衝撃がハリーたちを待ち受けていた。でも、これについては「ちょっと、どうかな…?」と、ギモンに思うところもあるのだけれど、とりあえずハリーはもちろん、読者にも衝撃が走ったのは間違いない。ただ、ハリーたちも成長し、大人になった分、前回のような暴走はほとんどなし。全般的には落ち着いた展開だったように思う。一体、「彼」の真意はどこにあるのか…というところが、最終巻へ向けての大きなキーポイントになるんだろうけど、ここでは相変わらずの憎まれ役。「悪役冥利に尽きる」ってところかな。
大きな悲しみがあり、沈みがちなストーリーだけれど、その中で着実に成長したハリーやロン、ハーマイオニーにどこか安心感をおぼえる。まだひと波乱もふた波乱もあるだろうけれど、なんとか乗り切って「卒業」の日を迎えて欲しい。…ここまで読んできたらもう「親」のような心境になってしまうのよね。…決して「友達」や「兄弟」だと思えないところにジェネレーションギャップを感じてしまう悲しさはあるけど(苦笑)。