梶尾真治

黄泉がえり

草彅剛、竹内結子主演映画原作本。
熊本で死んだ人が生き還る…いわゆる「黄泉がえり」現象が起きる。彼らは死んだときの年、姿のまま現れ、家族、友人は戸惑いつつも、彼らを迎え入れる。何故、彼らは黄泉がえったのか？。再び訪れる別れをどう受け入れるのか？…という内容。
結果から言うと、正直言ってもっと重い内容なのかと思っていた。読了してから、「あら～。これってファンタジーだったのね」ということにやっと気づいた（遅すぎ？）。
映画の評判が良かったので、ある意味期待していたのだけれど読んでみると、映画は原作のエッセンスだけいただいた、全く別モノらしいし…。まぁ、これはよくあることなので、大して気にはならなかった。ただまぁ…もうひとひねり欲しかったな…と、思う。そこら辺りが、映画化されるにあたり、全く別の話になったのかな、と思わせる。
「彼」とはいったい何だったのだろう…。ここの解釈を読者に委ねてしまっている。難しい話だ。けど、嫌いな話ではない。なぜなら誰一人として「悪人」が出てこないからだ。この作品は「悪人」に慣れすぎてしまっている人たちに人の優しさ、ぬくもりを思い出させてくれる話なのかもしれない。