森  絵都

 

 

DIVE!!(全4巻) ★★★★
ダイアモンドの瞳を持つ・知季、天才野生児・飛沫、ストイックな努力家・要一の3人は女性コーチ夏陽子のもと、要一はともかく、他の二人には無謀とも思えるオリンピック出場をかけて練習に励む。わずかの1.4秒の「飛び込み」の世界に魅入られ、つまずき、凹みながら、それでもDIVEせずにはいられない3人は…。
これぞ、キラッキラの青春ストーリー。帯には「スポ根」と書いてあったけど、決して汗と涙でドロドロになったりはしない。そりゃぁ、もちろん悔し涙を流したり、ヘロヘロになるまで練習に打ち込む姿は描かれているけれど、3人の引き締まった身体(
…想像だけど…)は根性を超越した美しさと気品に溢れているのだ。象徴的なのは4巻のそれぞれ10本目のダイブ。出せる力を存分に出した要一、華麗な白鳥の舞をみせた飛沫のダイブが終わるたびに涙がツツツーッと頬を伝い、3人目の知季のダイブが終わると、ノースプラッシュのダイビングプールとは対照的にこちらの目は涙の洪水となる。
オリンピックに出るような選手って特別な目で見てしまいがちだけれど、案外、素顔はこの3人や、サッチン、ピンキー改めキャメル山田と変わらない「普通の男の子」「普通の女の子」なんだろう。
ちなみに、わたしは結構、前からこの「飛び込み」という競技が好きだったし、わが夫の遠い親戚に「飛び込み」の選手がいるらしい…ということもあって、わりと身近な競技ではあったけれど、この作品を読んでますます興味が深まった。(shortさまからお借りしました・ありがとう♪)