村山 由佳

 

天使の卵(エンジェルス・エッグ) ★★★★
予備校生の歩太は電車の中で出会った横顔の凛とした女性・春妃に恋をした。彼女が心の病を持つ歩太の父の主治医、そしてガールフレンドの夏姫の姉であっても歩太は愛せずにはいられなかった…。
ありきたりな話だし、むか〜し読んだ少女マンガだったり、少女小説に似たような話があったような気はするのだけれど、思った以上にのめりこめた。心理描写がきめ細やかで自分がまだ恋に恋していた時代を思い起こさせてくれたからかもしれない。もはや恋愛がキレイ事ばかりでないということに気づいてしまった(?)今、たまにはこんな風に全身全霊で恋をするお話に触れるのもいいな…。周りを巻き込んでまでも人を好きになれる若さがうらやましく、まぶしく感じられた。とはいうものの、自分が夏姫の立場だったらやっぱりイヤなんだけど(笑)。
村山作品、初読みだったけど、文章とか話の運び方が気持ちよかった。読み終えた後、背筋がピンと伸びるような気持ちよさ。きっとまた読む。