乃南 アサ

 

ボクの町
警視庁城西署霞台駅前交番に職場実習…つまり見習い警察官として配置された高木聖大。警察官になったのも付き合っていた彼女にふられた勢いなら、配置された早々、警察手帳にプリクラを貼っていたことがバレたり、なかなか成果があげられないために先輩たちから「疫病神」と呼ばれたり…どうして警察官になったのか自他共に疑問に感じる毎日を過ごしていたが、やがて…。
お決まりの「成長物語」と言っていいと思う。聖大がどう成長していくのかドラマにでもしたら面白いかな…と、思うけど、それにしてはちょっとありきたりな展開かな…。
実は乃南さんの作品自体わたしが読むのは7年ぶりくらい。
そのときに読んだものが体質的にあわなかったこともあって、乃南さんの本格サスペンスは避けて通っていた。しかし本好きの皆さんの間では直木賞作家ということもあり、絶大な人気を誇っているのでやはり読まないわけにはいかないな…と、思い書店で物色してるときにカバーに書いてあった「ポリス・コメディ」という一文に飛びついてしまった次第。
実際コメディなんだけど、下っ端の交番勤務の警察官の日常という、小説ではなかなか取り上げられない部分は興味深かった。これを読むと大多数を占めるであろう真面目な警察官のことを「税金泥棒」なんて言ってはいけないのだ…と、改めて思った。実際、彼らは市民のために法に触れない範囲(当たり前か!)で出来ることはなんでもやらされる「何でも屋」なのだから…。 
これで乃南さんアレルギーを払拭できたかどうかはわからないけど、また読んでもいいかな…と、思ったのは事実ではある。