佐々 淳行

 

連合赤軍「あさま山荘」事件
今年(平成14年)でちょうどこの事件から30年が経つとのことで、一度はこの事件のことを読みたいな…と、思っていたときにこの著書が原作の映画が封切られる…ということで、手にとってみました。
この本は連合赤軍について書かれたものではありません。犯人像や事件の背景が知りたくて読んだら、あくまでもこれは警察がどうこの事件を解決したのか…という事実。著者はこの事件の第一線で指揮をとっていたその人なのだから当たり前ですが…。
でも面白かったです。最初の思惑とは違ったけれど、この事件に携わった警察の表と裏が赤裸々に書かれています。
緊迫の日々をどう過ごし、どのような作戦を立て、どう実行したのかが克明に記されていて、作り物ではない「事実」の重みを感じました。
殉職されたり、怪我を負われた警察官の「その瞬間」など、生々しい有様に読んでいて、手に汗を握ったり、涙が出てきました。また警察内部の上下関係なども垣間見ることが出来るので、そういう意味でもなかなか興味深いものがあります。ニュースや新聞でおなじみの人の名前もちらほら…。著者自身もなにかと「危機管理」が話題になる事件があるとテレビによくお目見えするので、なんでだろう?…と、思ってたらこの人こそがこの「危機管理」の生みの親だったそうで。何にも知らない自分が恥ずかしくなりました。今、警察の不祥事がいろいろ取りざたされてますが、この本を読むと日本の警察はすてたものじゃないな…って、思います。そしてこの事件を解決へと導いてくれた警察官へ自然に頭が下がります。

 

 

東大落城 安田講堂攻防七十二時間
佐々氏ノンフィクションシリーズ(笑)。
↑の「あさま山荘事件」の3年前…昭和44年1月18日。東大・安田講堂。かろうじて、まだ生まれていないぴょんは↑の事件同様、この事件が一体どういうものなのか、全然知りませんでした。本を読んでると、この安田講堂事件がバックグラウンドで語られることが多いのだけれど、どういうものか知らないからちょっとお勉強を…と、手に取りました。
↑と同様で、警察官として著者がこの事件にどう関わったのか…というのがこの本の中心なのだけれど、当時の学生運動がどのようにして起こったのか…というところもちゃんと書いてくれてます。それでもよくわからなかったのはあたしの理解力の問題か、それともあまりにも遠い昔のことになってしまったからなのか…。行動の善悪はともかく、当時の学生は日本の行く先を本気で憂えていたんだな…ということが、伝わってきます。
今のあたしたちはそこまでの思考力も行動力も持ち合わせていないことに考えさせられます。もちろん当時の警察官の骨太さも読んでて面白かったです。

 

 

 

 
 

 

 

 

 


 
東大落城
 安田講堂攻防七十二時間