佐藤 賢一

 

王妃の離婚
時は15世紀末。フランス国王ルイ12世が王妃ジャンヌに対して離婚訴訟を起こした。国王側の圧倒的勝訴の予測の中、被告人ジャンヌのあまりの不憫さにかつての秀才、今は落ちぶれた弁護士のフランソワが弁護に立ち上がる…。
第121回直木賞受賞作の本作品。一言でいうと「痛快」。あるいは「爽快」。ストーリーそのものは、あまりにも順調すぎる裁判に「上手くいきすぎ」の感が否めないのだけれど、逆にここまで徹底して順調だと脱帽です。この痛快感が直木賞を受賞させたのではないかな…と、思います。
中世フランスというとなんとなく華やかなイメージがあるのだけれど、当時、裁判は教会が仕切っているので、裁判官・検察官・弁護士はみんな「お坊さん」です。だから全然、華やかじゃないの。王妃がどんなきらびやかなドレスを着て法廷に現れるのだろう…と、期待してたら、めちゃくちゃ裏切られます(笑)。考えたらあのマリー・アントワネットの時代の300年前ですからね。それでも、すっきり爽快気分を味わいたい人にはおすすめします。暗くない法廷劇…っていうのも、アリなんですね。