真保裕一

奇跡の人

交通事故のため、脳死一歩手前まで行きながら「生還」してきた「奇跡の人」相馬克己。身体は劇的な回復を遂げるが、過去のことが思い出せない記憶障害が残った。事故以来８年ぶりに退院し、自宅へ帰るが亡き母は克己の過去にまつわる全てのものを処分していた。一体、自分の過去に何があったのか…、克己は過去を取り戻す旅に出る。…というストーリー。
うーん、これは正直言って重かった。話しが重いというより、母がそれほどまでにして消し去りたかった過去をいくら自分のこととはいえ、探りまくって、それによりまた新たに人を傷つける…。読んでいて吐き気がしてきた。人は本を読むときに「感動」や「驚き」「思慮」を求めることが多いのだろうけれど、あたしにはそれらを感じることが出来なかった。救いがあるとすれば「生まれ変わっても」その本質は変わってなかった克己がラスト間際で「ぼくという人間を取り戻す」行動に出ることか…。たぶん作者はこれが書きたかったのだろう。だとしたら、この「エピローグ」は必要なかったのでは…と、思う。あまりにもウソっぽくて感動出来なかった。
…真保さんのファンの方々、ごめんなさい。でもあくまでも私的な感想なので許してね。