白石 昌則

 

生協の白石さん ★★★★
東京農工大学の生協にお勤めする白石さん。生協に対する意見・要望を聞くための「ひとことカード」に学生達が生協と関係あることや、ないことも書いていたが、白石さんはひとつひとつに丁寧に、かつウィットに富んだ返事で応える問答集。
このやりとりが成功しているのは白石さんのお人柄ももちろんだけど、東京農工大の学生さんたちが節度を守り、過熱しすぎなかったことが一番の要因だと思う。いや、中にはもちろんヘンな質問やどうしても答えようのないものがあったのかもしれないし、ここまでのブームになってからは投稿も多く、脱線度も高くなっていったらしいけれど、この本にはそんなものは載ってないし、白石さんご自身が「節度を守った質問」とおっしゃってる質問に対しては、ユーモアを交えた真摯な回答がなされていて、ほのぼのとした雰囲気が伝わってくる。偉い人が読むと「若者がコミュニケーションに飢えて、白石さんという存在に依存してるんじゃないか」なんてこと言いそうだけど、わたしにはそういう風には思えなかった。学生と白石さんがお互いの「遊び心」の腕を見せ合ってる感じかな。あっという間に読めてしまうのがこれまたいい。殺伐としたニュースや血みどろミステリーに慣らされたわたしの身体と心にほっと一息をつかせてくれた。