メッセージ 151


  「婆牛に挟まれてあ〜〜〜」


  今日のななちゃんは、体のあちこちが痛くてボロボロです。
  実はね昨日こんなことがありました。

  とある山奥の大きな牧場に往診に行きました。
  その牧場は本当に山奥にあり、しょっちゅう熊さんが現われる
  ところなんですね。

  その牧場には、その熊さんも一目おく猛獣のようなアンガスという
  牛たちが飼われています。

  のどかな牧場の中で約50頭の雌牛に種牛が1頭あてがわれて
  自由にのびのびと交配をするんですね。
  1頭の雄に50頭の雌ですよ!!!
  なんか・・・・・・・・・ははは・・・

  そして約100頭の雌牛が妊娠しているかどうかを見てほしいと
  いうことになりました。

  これがね・・・
  ものすごく大変なんです。
 
  熊も恐れる猛牛たちの肛門から手を入れて妊娠の有無を調べるんです。
  ななちゃんは、パラパラと小雪が舞う中、上半身は下着1枚になり手術用の
  合羽を身にまとい、両腕に直腸検査用のビニール手袋をしました。
  そしてね、牛がすれすれに入れる枠場に1頭ずつ入れて妊娠鑑定をはじめ
  ました。これがね本当に大変なんです。
  相手は体重が700〜900Kgの婆牛ばかりなんです。
  それも暴れる暴れる・・・

  体力気力を150%ほども使いました。
  この婆牛たちはみんなでぶでぶなんだよ・・・

  糞まみれになりながらやっているとき・・・
  ある婆牛の肛門に手を入れて妊娠鑑定をやっているとき、後ろのドアが開き
  なんとななちゃんの後ろ姿をめがけて飛び込んできました。
  前の婆牛に手を入れていたのでとっさに逃げられず、婆牛と婆牛に挟まれて
  あわやつぶれそうになりました。
  あ〜〜〜〜〜
  ぎゃ〜〜〜〜〜
  お〜〜〜〜〜〜
  痛い〜〜〜〜〜
  う〜〜〜〜〜

  一瞬でしたが、ダメかなと思いました。

  でもでも・・・
  ありがたいことに婆牛と婆牛から脱出することができました。

  ななちゃんは・・・
  1〜2分休んだ後、何事もなかったかのごとく妊娠鑑定を続けました。

  午後1時からはじめて気がついたら午後5時になっていました。
  最後の1頭が終わったとき・・・
  力が抜けました。
  と同時に体中に痛みがやってきました。

  でもなぜか・・・
  心地よかったです。
  ひとつの仕事をやり終えたときに感じるさわやかな気持ちになれました。

  婆牛たちは100頭のうち93頭妊娠していました。
  恐るべし種牛の性力のすごさ・・・
  ななちゃんには無理ですね。ははは・・・・・

  ま〜〜〜そんなわけで・・・
  今日は体がボロボロ・・・
  でもなぜか心がルンルン・・・

  人生に起きるさまざまな出来事・・・
  そのすべてが自分にとって必要な出来事です。

  今回の自分の体験も大切な体験です。

  実は妊娠鑑定をやり始めたときにささやかな愚痴を言ってしまったんですね。
  きっとそのマイナスのエネルギーがすぐにはねかえってきたんだと思います。
  そしてそのことに気づくことで、ななちゃんなりの大切な気づきがありました。

  ということは・・・
  自分が発するマイナスの言葉も自分にとっては大切な役割があったんですね。

  婆牛に挟まれて・・・
  ななちゃんは、ひとつの幸せに気づきました。
  体がボロボロでもあちこち痛くてもわたしは今生きている。
  これだけで十分です。
  わたしは今生きている。
  こんなに幸せなことがあるだろうか!!!

  あとは幸せをどんどん積み重ねるだけ・・・

  婆牛さん・・・
  ありがとさん・・・・・

  糞まみれになりながら・・・
  ぶよぶよの婆牛さんがいとうしく思えてきました。

  ほんにほんに・・・
  人生は素敵で楽しいね!!!

  ルンルン・・・

  ありがとうございます。