「人に甘えよう」
ある日の深夜の出来事です。
楽しい夢の世界で遊んでいた私は、やさしい電話の音で目を覚ましました。
「もしもし、前野ですが・・・」
「先生ですか?○○牧場の○○です。子宮脱なんです。すぐに来てください!!」
「わかった、今すぐに行くから・・・」
頭はボーとしていましたが体が勝手に動いてくれました。
ふと時計を見ると、午前1時少し前です。
外はすっかり寒くなり、寝る前にいただいたアルコールの余韻とともに、
夜空の輝く星を見ながら、山の上の大きな○○牧場へ往診に行きました。
この牧場は、黒毛和牛の繁殖牧場で若い従業員が5人同牧場内にある寮で
寝泊りをしています。
毎日順番で夜の分娩や事故に備えて、宿直をしています。
昨日は、Y君という一番若い人が宿直をしていて、難産の牛を夜中の11時半頃
見つけたのですが夜も遅いこともあり、先輩たちを起さずに自分ひとりでなんと
かしようとしていたそうです。
普通は2〜3人で処置するのですが・・・
初産の牛で産道が狭く、自分1人ということで、むりやりに機械力をつかって
子牛をひっぱりました。
子牛は当然無理がたたって死んでしまいました。
その直後、ダメージを受けていた母牛にも異変がおこりました。
子宮自体が産道の外に出てきてしまったのです。
Y君はあわてて子宮をもとに戻そうとしましたが、できませんでした。
そして、やっと寮にいる先輩のK君とS君を呼んだのです。
2人は・・・
「なんで難産の時に俺たちを呼ばないんだ!」
「一人でやろうとするな!!!」
「一人で無理すると、牛がダメになってしまうんだぞ!!!」
などとY君を諭したそうです。
母牛の状態があまりにも悪いので、獣医である私を呼んだというわけです。
私を含め4人で手を尽くしたのですが、結局母牛のダメージがはげしく残念
でしたが母牛も死んでしまいました。
私はY君に言いました。
「Y君よ、もっともっと先輩たちに甘えるといいよ。どんどん甘えな!!!
その代わりY君もみんなに甘えさせるんだよ。一人で背負い込むことはないよ。
みんなをもっともっと信頼しなよ・・・・・」
「今回は子牛も母牛も可哀相なことをしたけど、彼らのためにも今回のことを
教訓にして、これからはみんなで助け合ってやってゆこうな!!!」
Y君はただだまって、自分のこころの中で反省していたのかもしれません。
夜空の星星の中を移動する、ひときわ明るい人工衛星がわたしに大切な
何かを語りかけているようでした。
「もっともっと甘えようよ・・・・・・・」
帰りの山道を車で走りながら、人と人がもっともっとお互いに信頼して
甘えあえるような世の中になってほしいと実感しました。
今までの世の中は・・・
「人に頼るんじゃなくて、自分の力でやりとげなさい」ということが
美化されてきました。
しかし21世紀は・・・「人に甘えて、人から甘えてもらって、互いに
助け合って物事をやりとげよう!!!」
という考え方の方がななちゃんはいいな・・・・・・
自分に甘えられる人は、他人にも甘えられますし、また、人にも自然に
甘えさせることができます。
自分に厳しい人は、他人にも厳しくなりますし、ましてや人に甘えさせる
ことはできません。
自分に自信がある人も、人に甘えることも甘えさせることも出来ない
かもしれません。
私のようにいいかげんで、脳天気な人は、誰にでも甘えますし、誰にでも
甘えさせてしまいます
とくに甘えてくれる女性は大好きですよ・・・・・ははは・・・・・
甘えられる人ってとってもあたたかい・・・
甘えられる世の中ってとってもあたたかい・・・
信頼(神来)できる人と人はとっても甘くあたたかい関係です・・・
信頼(神来)できる世界はとっても甘くあたたかい世界です・・・
厳しさがいけないとは思いません。
時には必要かもしれません。
すべてを宇宙にゆだねた人は、すべてに甘えることができて、すべてから
甘えられる存在なのかもしれません。
私はみなさまにどんどん甘えさせていただきます。
と同時にみなさまもどんどん私に甘えてくださいね・・・・・
さて、みなさんはどうしますか!?
みなさまのあたたかき甘え心に感謝いたします。
ルンルン・・・
ありがとうございます。