メッセージ 083


  「子供を抱く母親」


  北海道もあたたかくなりました。

  まだ桜は咲いていませんが・・・

  今日、家族でお買い物にいきました。

  行きの車の中でのことです。

  運転しながら、ふと後ろの席を見ると・・・

  妻がうとうとしている4歳の娘を抱いていました。

  なんの変哲もないことなんですが・・・

  突然ある情景が重なりました。

  それは・・・

  平成10年3月31日の午前の情景です。

  今日と同じようにあたたかな日でした。

  帯広の病院から足寄の自宅へ向かう車の中の情景なんです。

  運転しているわたしは、ふと後ろの席を見ました。

  そこには・・・

  涙でぐしゃぐしゃになった妻が息子の宗一郎を抱いていました。

  わたしは、抜け殻のような自分でした。

  どうやって運転してきたのかが分かりません。

  泣きじゃくる母親に抱かれた息子は、身動きひとつしませんでした。

  体はあたたかく、まるで静かに眠っているかのようでしたが・・・

  息子の体のどこにも命の輝きはありませんでした。

  小児がんとともに過ごした1年5ヶ月・・・

  いろいろな辛いことにも負けずにがんばってきた息子でした。

  体はずたずたでしたが、心はいつも澄みきっていました。

  でもとうとう・・・

  彼は、傷ついた体を残して光の世界へ帰ってゆきました。


  この日から・・・

  わたしは、変わりはじめました。

  少しずつ少しずつ・・・

  変わりはじめました。


  そのときのわたしは、まったくの空っぽでした。

  神さまは、悲しみのどん底にいる人々に救いの手を差し伸べてくださいます。

  思いをすべて一時的に消してくれるのかもしれません。

  どん底の悲しみが今の自分を作ってくれました。

  妻も同じだと思います。

  ともに同じ悲しみを乗り越えてきました。


  わたしは、心の中で息子の分まで輝いて生きようと思いました。

  わたしが大切なことを忘れそうになると、いつも宗一郎が助けてくれます。


  あたりまえのことに感謝できないとき・・・

  宗一郎との日々の出来事が心に浮かんできます。

  あたりまえなことはあたりまえじゃないんだ!!!

  みんなみんな奇跡なんだ!!!

  みんなみんなありがたいことなんだ!!!

  という感謝の気持ちを蘇らせてくれます。

  宗一郎は、わたしたちのかけがえのない天使なんです。

  今こうやって普通の生活を平凡に過ごせることがなんと幸せなことか・・・

  子供と手をつなぐことができる。

  子供を抱くことができる。

  子供と話ができる。

  みんなみんな、ありがたいことです。

  改めて、普通の生活ができることに感謝です。

  ありがとうございます。


  今日、車の中でふと目にした情景。

  子供を抱く母親の姿・・・

  大切なことを思い出させてくれました。

  宗一郎・・・

  ありがとうございます。

  また助けてもらっちゃたね。

  これからもいろいろ教えてね!!!


  みなさん、何も言わずに子供さんをギュッと抱きしめてあげてくださいね。

  みなさんの大切ななにかが感じられるかもしれません。

  みんなみんな・・・

  幸せにね!!!!!


  無限の無限の・・・

  素直で明るくあたたかく・・・

  うれしい・たのしい・しあわせ・だいすき・あいしてる・ついてる・ありがとう

  ありがとう ルンルン ありがとう ルンルン ありがとうございます

  普通の生活に幸せを感じるみなさまに感謝いたします

  無限の無限のありがとうございます