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毒ヘビ
Kimoto Satoshi Alpine Climbing School
毒ヘビと言ってすぐに思いつくのは本州、四国、九州などではマムシやヤマカガシだろう。ヤマカガシは1972年に中学生が咬まれて死亡したことで毒ヘビと分かった新参者だ。一方、沖縄や鹿児島など南西諸島ではハブをおいてほかにはない。日本にはそのほかに南西諸島にウミヘビ、ヒャン、ハイなどのコブラ科の毒ヘビがいる。
毒ヘビの咬傷に対する治療は血清を投与するのが普通で、血清はそれに対応するヘビの咬傷にしか効かないので、いったい自分があるいはヘビに咬まれたという人がどんなヘビに咬まれたのか認識し、覚えておく必要があることは言うまでもない。
毒ヘビのうちマムシやハブはクサリヘビ科に属し、出血毒をもっている。出血毒は唾液のような消化液が進化し、強毒性に変化したもので、たんぱく質を溶かす効果があり、血管組織を破壊する。したがって、こうした毒ヘビに咬まれると激痛が走り、内出血が拡大する。ヘビの毒が咬まれた人の体内にどのくらい注入されるかはヘビの体長にもより、ヘビが大きければ多量の毒が注入されるのが普通である。出血毒は組織を破壊するので注入される毒の量が多ければたとえ命が助かったとしても後遺症が残る可能性がある。マムシは体長40cmから80センチで小型だが、ハブは体格が大きく、中には体長二メートル近くの大ものもいる。ハブに咬まれると大量の毒が体内に注入されることが多く、咬まれた周辺の組織が溶けるなどの後遺症が残る確率が高くなる。
ヤマカガシはナミヘビ科のヘビだが、その毒性はクサリヘビ科と同じ出血毒である。普通毒牙は口の奥にあり、大人では多くの場合牙が届かず、咬まれても影響がないことがい多い。しかし、手が細い子どもにとっては脅威である。毒は上あごの奥歯(後牙)と首筋の二箇所から分泌する。ヤマカガシの毒は血液を固める作用を持つ血小板に作用し、血小板を破壊するので厄介だ。激しい痛みや腫れはあまり起こらない代わりに、血小板が破壊されるため全身におよぶ皮下出血や内臓出血がおこり、腎機能障害や脳内出血を引き起こすことがある。
一方、コブラやウミヘビなどコブラ科の毒ヘビの毒は神経毒である。神経を麻痺させて相手を動けないようにして食べるために使われるのが普通で、咬まれた時の症状は、しびれ、運動・知覚マヒ、呼吸困難などが現れ、死亡率は出血毒よりはるかに高くなる。
ヘビに咬まれても毒はすぐには回らないので落ち着いて咬んだヘビがどんなヘビなのかを確認し、病院へ急ぐことだ。登山では病院まで時間がかかるので、まずはポイズン・リムーバーなどで毒を吸い出す。口で吸い出すのは虫歯などがあるとそこから毒が体内に入るので危険だ。いずれにしてもヘビ毒への対応は血清の投与しかなく、病院へ急ぐことになる。こうした毒ヘビは皆警戒色や独特の紋様があるので覚えやすい。
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