日本共産党綱領改定案

不破議長の報告レジメ

 日本共産党第七回中央委員会総会での不破議長の綱領改定案についての報告をもとにレジメを作りました.
その後,第23回党大会での綱領問題報告を読んで,新たに述べられた部分を追加しました.学習会などに御役立て下さい.

綱領と対比するため、二段組にし、左側に綱領、右側にレジメを載せています。綱領は一部省略しています。

 

目次

はじめに

(1)党の綱領とはなにか

(2)今回の綱領改定の性格

一,戦前の日本社会と日本共産党

(1)戦前の日本社会の特徴と,その社会を変革する党の基本方針

(2)戦前,日本共産党はどんな要求,どんな旗を掲げてたたかったか

(3)戦争の開始と拡大,敗戦にいたる基本的な経過

 二,現在の日本社会の特質

(4)戦後に起こった情勢変化の基本点  (三つの特徴に短縮・整理した)

(5)現在の情勢の基本的な特徴 その1

(6)現在の情勢の基本的な特徴 その2 独占資本主義としての現状分析

 三,世界情勢ー20世紀から21世紀へ

(7)20世紀の世界的な変化と到達点  未曾有の惨禍に直面した人類が,それを乗り越えて画期的な進歩を成し遂げた世紀

(8)社会主義の流れの総括と現状  ロシア革命から現在までの「社会主義諸国」の86年の歴史を総括

(9)世界資本主義の現状をどう見るか

(10)国際連帯の諸課題  二つの国際秩序が衝突し,闘争している

(付) 帝国主義をめぐる理論問題  

 四,民主主義革命と民主連合政府

(11)民主主義革命の性格と任務

(12)民主主義革命によって実行される民主的改革の内容

(13)革命にいたる道筋にかかわる問題

(14)日本国民の歴史の転換点

(付)「民族民主戦線政府」の削除と民主連合政府への一本化

 五,社会主義・共産主義の社会を目指して

(15)社会主義・共産主義の社会の目標

(16)変革の過程に関わる諸問題  社会主義・共産主義社会への前進の筋道

(17)世界的な諸条件  21世紀の時代的な条件を見る

 

 

はじめに

(1)党の綱領とはなにか

党活動の目標と根本方針を明らかにするもの. 日本の社会を「真に平等で自由な人間関係からなる共同社会」(党規約),すなわち社会主義・共産主義の社会に発展させる方針.

党によって「公然と掲げられた旗」であり,党内のみならず国民全体に対して発せられる宣言.

(2)今回の綱領改定の性格

61年綱領の意義:@当面する日本の変革を,独立の任務を含む民主主義革命と規定.A社会変革を議会の安定多数を得て実現する多数者革命の規定.B統一戦線と連合政府による社会発展.

改定の柱:@民主主義革命の理論をより現実的かつ合理的に展開.A21世紀論を踏まえ,世界情勢の新たな特徴を展開.B社会主義・共産主義という未来社会論の展開.

一、戦前の日本社会と日本共産党

 (一)

日本共産党は、わが国の進歩と変革の伝統を受けつぎ、科学的社会主義を基礎とする政党として、創立された。

 当時の日本は、世界の主要な独占資本主義国の一つになってはいたが、国を統治する全権限を天皇が握る専制政治(絶対主義的天皇制)がしかれ、国民から権利と自由を奪うとともに、農村では重い小作料で耕作農民をしめつける半封建的な地主制度が支配し、独占資本主義も労働者の無権利と過酷な搾取を特徴としていた。この体制のもと、日本は、アジアで唯一の帝国主義国として、アジア諸国にたいする侵略と戦争の道を進んでいた。

 党は、この状況を打破して、まず平和で民主的な日本をつくりあげる民主主義革命を実現することを当面の任務とし、ついで社会主義革命に進むという方針のもとに活動した。

 (二)

 党は、日本国民を無権利状態においてきた天皇制の専制支配を倒し、主権在民、国民の自由と人権をかちとるためにたたかった。

 党は、半封建的な地主制度をなくし、土地を農民に解放するためにたたかった。

 党は、とりわけ過酷な搾取によって苦しめられていた労働者階級の生活の根本的な改善、すべての勤労者、知識人、女性、青年の権利と生活の向上のためにたたかった。

 党は、ロシア革命と中国革命にたいする日本帝国主義の干渉戦争、中国にたいする侵略戦争に反対し、世界とアジアの平和のためにたたかった。

 (三)

 日本帝国主義は、第二次世界大戦に道を開く最初の侵略国家となった。ドイツ、イタリアのファシズム国家と軍事同盟を結成し、戦争をアジア・太平洋全域に拡大して、第二次世界大戦の推進者となった。

 帝国主義戦争と天皇制権力の暴圧によって、国民は苦難を強いられた。多くの日本共産党員は、迫害や投獄に屈することなく、党の旗を守って活動した。このたたかいで少なからぬ党員が弾圧のため生命を奪われた。

 日本共産党が平和と民主主義の旗を掲げて不屈にたたかい続けたことは、日本の平和と民主主義の事業にとって不滅の意義をもった。

 侵略戦争は、二千万人をこえるアジア諸国民と三百万人をこえる日本国民の生命を奪った。沖縄は地上戦の戦場となり、日本本土も全土にわたる空襲で多くの地方が焦土となった。広島、長崎に世界最初の原爆が投下され、その犠牲者は二十数万人にのぼった。

 一九四五年八月、日本政府はポツダム宣言を受諾した。この宣言は、軍国主義の除去と民主主義の確立を基本的な内容としたもので、日本の国民が進むべき道は、平和で民主的な日本の実現にこそあることを示した。これは、党が不屈に掲げてきた方針が基本的に正しかったことを、証明したものであった。

第一章 戦前の日本社会と日本共産党

 

(1)戦前の日本社会の特徴と,その社会を変革する党の基本方針

    天皇制:国を統治する全権限を天皇が握る専制政治 (絶対主義的天皇制という言葉を分かりやすく述べた)

(2)戦前,日本共産党はどんな要求,どんな旗を掲げてたたかったか

    冒頭が大事 反戦平和を貫くためにも,民主主義と人権を勝ち取るためにも,絶対的な権力を持つ天皇制を倒すということは,どんな弾圧や迫害を受けようとも,避けて通ることのできない課題だった. (報告の該当部分を読み上げること)

(3)戦争の開始と拡大,敗戦にいたる基本的な経過

    ポツダム宣言の意味をとらえる ポツダム宣言の柱は日本共産党の主張と一致していた.共産党のたたかいがあったからこそ,平和と民主主義を日本国民のひとつの伝統的な潮流として位置づけることができる

 

 

二、現在の日本社会の特質

 (四)

 第二次世界大戦後の日本では、いくつかの大きな変化が起こった。

 第一は、日本が、独立国としての地位を失い、アメリカへの事実上の従属国の立場になったことである。

 敗戦後の日本は、アメリカ軍の占領下におかれた。アメリカは、その占領支配をやがて自分の単独支配に変え、さらにサンフランシスコ平和条約と日米安保条約では、沖縄の占領支配を継続するとともに、日本本土においても、米軍基地の主要部分を存続させ、アメリカの前線基地という役割を日本に押しつけた。

 日米安保条約は、一九六〇年に改定されたが、それは、基地貸与条約という性格にくわえ、有事のさいに米軍と共同して戦う日米共同作戦条項や日米経済協力の条項などを新しい柱として盛り込み、対米従属的な軍事同盟条約に改悪・強化したものであった。

 第二は、日本の政治制度における、主権在民を原則とする民主政治への変化である。この変化を代表したのは、一九四七年に施行された日本国憲法である。

 この憲法は、主権在民、戦争の放棄、国民の基本的人権、国権の最高機関としての国会の地位、地方自治など、民主政治の柱となる一連の民主的平和的な条項を定めた。天皇条項は、民主主義の徹底に逆行する弱点を残したものだったが、そこでも、天皇は「国政に関する権能を有しない」ことなどの制限条項が明記された。

 この変化によって、日本の政治史上はじめて、国民の多数の意思にもとづき、国会を通じて、社会の進歩と変革を進めるという道すじが、制度面で準備されることになった。

 第三は、戦前、日本社会の半封建的な性格の根深い根源となっていた半封建的な地主制度が、農地改革によって、基本的に解体されたことである。このことは、日本独占資本主義に、その発展のより近代的な条件を与え、戦後の急成長を促進する要因の一つとなった。

 日本は、これらの条件のもとで、大きな経済的発展をとげた。しかし、経済的な高成長にもかかわらず、従属的な同盟という対米関係の基本は変わらなかった。

 (五)

 わが国は、高度に発達した資本主義国でありながら、国土や軍事などの重要な部分をアメリカに握られた事実上の従属国となっている。

 わが国には、アメリカ軍事基地の大きな部分が、いまだに全国に配備され続けている。なかでも、サンフランシスコ平和条約で占領支配の継続が規定された沖縄は、アジア最大の軍事基地とされている。沖縄県民は、米軍基地のただなかでの生活を余儀なくされている。

 日本の自衛隊は、事実上アメリカ軍の掌握と指揮のもとにおかれており、アメリカの世界戦略の一翼を担わされている。

 アメリカは、日本の軍事や外交に、依然として重要な支配力をもち、経済面でもつねに大きな発言権を行使している。日本の政府代表は、国連その他国際政治の舞台で、しばしばアメリカ政府の代弁者の役割を果たしている。

 日本とアメリカとの関係は、対等・平等の同盟関係では決してない。日本の現状は、発達した資本主義諸国のあいだではもちろん、植民地支配が過去のものとなった今日の世界の国際関係のなかで、きわめて異常な国家的な対米従属の状態にある。

 アメリカの対日支配は、アメリカの世界戦略とアメリカ独占資本主義の利益のために、日本の主権と独立を踏みにじる帝国主義的な性格のものである。

 (六)

  日本独占資本主義は、対米従属的な国家独占資本主義として発展し、国民総生産では、アメリカに次ぐ地位に到達するまでになった。大企業は、巨大化と多国籍企業化の道を進むとともに、日本政府をその強い影響のもとに置き、国家機構の全体を自分たちの階級的利益の実現のために最大限に活用してきた。

 国内的には、大企業・財界が、アメリカの対日支配と結びついて、日本と国民を支配する中心勢力の地位を占めている。

 国民の生活と権利にかかわる多くの分野で、ヨーロッパなどで常識となっているルールがいまだに確立していないことは、日本社会の重大な弱点となっている。

 労働者は、過労死さえもたらす長時間・過密労働や著しく差別的な不安定雇用に苦しみ、解雇規制の立法も存在しない。

 公権力による人権の侵害をはじめ、さまざまな分野での国民の基本的人権の抑圧も、重大な状態を残している。

 中小企業は、不公正な差別と抑圧を押しつけられ、不断の経営悪化に苦しんでいる。農業は、「貿易自由化」の嵐にさらされ、農業復興の前途を見いだしえない状況が続いている。

 大企業を中心とする利潤第一の生産と開発の政策は、自然と生活環境の破壊を全国的な規模で引き起こしている。

 日本政府は、大企業優先の経済・財政政策を続けてきた。財政支出の大きな部分が大企業中心の支出と軍事費とに向けられ、社会保障への公的支出が最低水準にとどまるという「逆立ち」財政は、その典型的な現われである。

 その根底には、反動政治家や特権官僚と一部大企業との腐敗した癒着・結合がある。

 日本経済にたいするアメリカの介入は、日本政府の経済政策に誤った方向づけを与え、日本経済の危機と矛盾の大きな要因となってきた。「グローバル化(地球規模化)」の名のもとに、アメリカ式の経営モデルや経済モデルを持ち込もうとする企ては、いちだんと有害で危険なものとなっている。

 これらによって、日本経済はとくに基盤の弱いものとなっており、激動する情勢のもとで、日本独占資本主義の前途には、とりわけ激しい矛盾と危機が予想される。

 日本独占資本主義と日本政府は、アメリカの目したの同盟者としての役割を、軍事、外交、経済のあらゆる面で積極的、能動的に果たしつつ、アメリカの世界戦略に日本をより深く結びつける形で、自分自身の海外での活動を拡大しようとしている。

 軍事面でも、日本政府は、自衛隊の海外派兵の範囲と水準を一歩一歩拡大し、海外派兵を既成事実化するとともに、それをテコに有事立法や集団的自衛権行使への踏み込み、憲法改悪など、軍国主義復活の動きを推進する方向に立っている。

 軍国主義復活をめざす政策と行動は、アジア諸国民との対立を引き起こしており、日本を、アジアにおける軍事的緊張の危険な震源地の一つとしている。

 対米従属と大企業・財界の横暴な支配を最大の特質とするこの体制は、日本国民の根本的な利益とのあいだに解決できない多くの矛盾をもっている。その矛盾は、ますます重大で深刻なものとなりつつある。

第二章 現在の日本社会の特質

(4)戦後に起こった情勢変化の基本点  (三つの特徴に短縮・整理した)

第一の変化 独立国家から従属国家への転化 安保条約=従属的軍事同盟の体制

第二の変化 天皇専制から主権在民への政治制度の転換 

憲法の天皇条項は立憲君主制を意味するものではない.「ブルジョア君主制の一種」という現綱領の規定は削除する.(報告該当部分読みあげること)

いろいろな歴史的事情から,天皇制が存続したが,その下で日本独特の国民主権の政治形態が生まれた.

党大会報告では,「国民主権の原則を確立しているが,「君主制」にも「共和制」にも属さない国」と規定.

第三の変化 反封建的な地主制度の解体とその影響

(5)現在の情勢の基本的な特徴 その1

前半部分  日本の情勢の基本的な規定

    現綱領における二つの規定 @「現在日本を基本的に支配しているのはアメリカ帝国主義と.それに従属的に同盟している日本の独占資本である Aわが国は高度に発達した資本主義国でありながら,国土や軍事などの重要な部分をアメリカ帝国主義に握られた事実上の従属国となっている

    現在,日本の今後の変革と闘争の過程をより現実的具体的に考えようとすると,この定式化には不適切な問題がある 

      @アメリカの対日支配と,大企業・財界の国民支配とは,それぞれに,単純に同列に置くことのできない独自のものがあり,支配の性格・特徴もおのずから違う 

      A日本の国内的な支配関係を,すべて「日本独占資本の支配」という言葉で表現してよいのか 

    大企業・財界が経済の分野で行っている経済的支配と,大企業と結びついた政治勢力による政治的支配とは,実態も異なるし,それを打破する方法も違う.いわゆる政・官・財の癒着に反対するたたかいではこの性格の違いが重要な意味を持つ

    経済体制については「独占資本主義」,階級的な支配勢力については「大企業・財界」という言葉を用いる

    改定綱領では,規定@を取り除いた.また日本独占資本という言葉も,実態に合わせ削除した. (「改定綱領」該当部分を読み上げる)

後半部分  対米従属の状態そのものの現状規定 「異常な国家的な対米従属の状態」

    どこが「異常」なのかを強く指摘  @植民地支配が過去のものとなった現代世界にとって異常 A発達した資本主義国が従属するという事態が異常

    アメリカ帝国主義という言葉を使わないで 「帝国主義的な性格」を指摘 (理由については第三章で)

(6)現在の情勢の基本的な特徴 その2 独占資本主義としての現状分析

    日本経済の基盤の弱さをとらえることが重要 「重要なことは,長期不況のこの現実の中に,改定案が指摘しているような日本独占資本主義の構造的な弱点の現れがあるということです」

    軍・帝復活問題の考え方  八大会綱領 「日本独占資本は,経済的には帝国主義的特徴を備えつつ,軍国主義的帝国主義的復活の道を進んでいる」 94年改定綱領も基本的には変更されていない

    20世紀のある時期以降は,独占資本主義国からの資本の輸出,即「経済的帝国主義」とはいえない. アジア諸国も,日本の大企業の経済進出そのものは否定していない. ただし軍国主義の復活に関しては警戒し批判している. (「報告」の該当部分読み上げ)

    改定綱領では 日帝の復活・強化という記述は削除する. 問題を軍国主義の復活・強化としてとらえる.

 

 三、世界情勢――二〇世紀から二一世紀へ

 (七)

 二〇世紀は、帝国主義の世界支配をもって始まった。人類社会は、二回の世界大戦、一連の侵略戦争など、世界的な惨禍を経験したが、諸国民の努力と苦闘を通じて、人類史の上でも画期をなす巨大な変化が進行した。

 多くの民族を抑圧の鎖のもとにおいた植民地体制は完全に崩壊し、百を超える国ぐにが新たに主権国家となった。これらの国ぐにを主要な構成国とする非同盟諸国会議は、国際政治の舞台で、平和と民族自決の世界をめざす重要な力となっている。

 国民主権の民主主義の流れは、世界の大多数の国ぐにで政治の原則となり、世界政治の主流となりつつある。

 国際連合の設立とともに、戦争の違法化が明確にされ、平和の国際秩序の建設が提起された。

 二〇世紀の諸経験を通じて、平和の国際秩序を現実に確立することが、いよいよ緊急切実な課題と なりつつある。

 (八)

 資本主義が世界を支配する唯一の体制とされた時代は、ロシア革命を画期として、過去のものとなった。第二次世界大戦後には、アジア、東ヨーロッパ、ラテンアメリカの一連の国ぐにが、資本主義からの離脱の道に踏み出した。

 最初に社会主義への道に踏み出したソ連では、おくれた社会経済状態からの出発という制約にもかかわらず、社会主義をめざす一連の積極的努力が記録された。

 しかし、スターリンをはじめとする歴代指 導部は、社会主義の原則を投げ捨てて、対外的には、覇権主義の道、国内的には、国民から自由と民主主義を奪い、勤労人民を抑圧 する官僚主義・専制主義の道を進んだ。

 これらの誤りが世界の平和と社会進歩の運動に与えた否定的影響は、 とりわけ重大であった。

 日本共産党は、科学的社会主義を擁護する自主独立の党として、ソ連覇権主義の干渉にたいしても、チェコスロバキアやアフガニスタンにたいするソ連の武力侵略にたいしても、断固としてたたかいぬいた。

 ソ連と東ヨーロッパ諸国の崩壊は、社会主義の失敗ではなく、社会主義の道から離れ去った覇権主義と官僚主義・専制主義の破産であった。

 これらの国ぐにでは、革命の出発点においては、社会主義をめざすという目標が掲げられたが、指導部が誤った道を進 んだ結果、社会主義とは無縁な人間抑圧型の社会として、その解体を迎えた。

 ソ連覇権主義という歴史的な巨悪の崩壊は、大局的な視野で見れば、世界の革命運動の健全な発展への新しい可能性を開く意義をもった。

 重要なことは、資本主義から離脱したいくつかの国ぐにで、政治上・経済上の未解決の問題を残しながらも、「市場経済を通じて社会主義へ」という取 り組みなど、社会主義をめざす新しい探究が開始され、二一世紀の世界史の重要な流れの一つとなろうとして いることである。

 (九)

 ソ連などの解体は、資本主義の優位性を示すものとはならなかった。

 巨大に発達した生産力を制御できないという資本主義の矛盾は、現在、広範な人民諸階層の状態の悪化、貧富の格差の拡大、くりかえす不況と大量失業、国境を越えた金融投機の横行、環境条件の地球的規模での破壊、植民地支配の負の遺産の重大さ、多くの国ぐにでの貧困の増大(南北問題)など、かつてない大きな規模と鋭さをもって現われている。

 核戦争の危険もひきつづき地球と人類を脅かしている。米ソの軍拡競争のなかで蓄積された膨大な量の核兵器は、いまなお人類の存続にとっての重大な脅威である。核戦争の脅威を根絶するためには、核兵器の廃絶にかわる解決策はない。

 「ノー・モア・ヒロシマ、ナガサキ」という声は、世界の各地に広がり、国際政治のうえでも、核兵器廃絶の声はますます大きくなっているが、核兵器固執勢力のたくらみは根づよい。

 世界のさまざまな地域での紛争で、武力解決を優先させようとする企ては、平和を脅かす要因となっている。

 なかでも、アメリカが、一国の利益を世界平和と国際秩序の上に置き、国連をも無視して先制攻撃戦争を実行し、新しい植民地主義を持ち込もうとしていることは、重大である。

 アメリカは、「世界の警察官」と自認することによって、アメリカ中心の国際秩序をめざす野望を正当化しようとしているが、それは、帝国主義的侵略性を、アメリカが世界の唯一の超大国となった状況のもとで、むきだしに現わしたものにほかならない。

 これらの行動は、諸国民の独立と自由の原則とも、国連憲章の諸原則とも両立できない、あからさまな覇権主義、帝国主義の行動である。

 いま、アメリカ帝国主義は、世界の平和と安全、諸国民の主権と独立にとって最大の脅威となっている。

 その行動は、他の独占資本主義諸国とのあいだにも矛盾や対立を引き起こしている。また、世界の各国をアメリカ中心の経済秩序に組み込もうとする経済的覇権主義も、世界の経済に重大な混乱をもたらしている。

 (一〇)

 いかなる覇権主義にも反対し、平和の国際秩序を守る闘争、核兵器の廃絶をめざす闘争、軍事ブロックに反対する闘争、諸民族の自決権を尊重しその侵害を許さない闘争、各国の経済主権の尊重のうえに立った民主的な国際経済秩序を確立するための闘争が、いよいよ重大な意義を もってきている。

 平和と進歩をめざす勢力が、正しい前進と連帯をはかることが重要である。

 日本共産党は、労働者階級をはじめ、独立、平和、民主主義、社会進歩のためにたたかう世界のすべての人民と連帯し、人類の進歩のための闘争を支持する。

 なかでも、国連憲章にもとづく平和の国際秩序か、アメリカが横暴をほしいままにする干渉と侵略、戦争と抑圧の国際秩序かの選択が、いま問われている。

 日本共産党は、アメリカの覇権主義的な世界支配を許さず、平和の国際秩序を築き、核兵器も軍事同盟もない世界を実現するための国際的連帯を、世界に広げるために力をつくす。

 世界史の進行には、多くの波乱や曲折、ときにはかなり長期にわたる逆行もあるが、帝国主義・資本主義を乗り越え、社会主義に前進することは、大局的には歴史の不可避的な発展方向である。

 第三章 世界情勢ー20世紀から21世紀へ

(7)20世紀の世界的な変化と到達点  未曾有の惨禍に直面した人類が,それを乗り越えて画期的な進歩を成し遂げた世紀

第一の進歩 植民地体制の崩壊  内容としては、@事実としての植民地体制の崩壊,A植民地の存在を許さない国際秩序の形成,B旧植民地諸民族が国際政治を動かす有力な力のひとつとなった(非同盟諸国首脳会議)

七中総段階では、率直に言って未整理の感がある。
党大会報告では,「世界構造の変化を見る三つの角度」の第一として,「植民地体制の崩壊は,世界の様相の大きな変化を生み出した」とする分析を展開.四つの視点を上げている.
第一点は@とほぼ同じ.第二点はAに同じ.ただし「これによって,独占資本主義諸国のあり方も大きく変化せざるを得なくなった」という文章が加えられている.
第三点はBと基本的には同じだが,かなり膨らまされている.ひとつは非同盟諸国会議に加えアセアン,イスラム諸国会議機構(OIC)が上げられたこと,ひとつには国連のあり方が大国中心ではなく,国際社会の全体を代表する方向に発展する必要があることが書き込まれた.これは七中総報告での「第三の進歩」の表現とも関連する.
そしてさらにあらたに第四点として,「異なる価値観を持った文明と文明のあいだの共存」を新たに加えた.これは「イスラム諸国の登場と発展」を念頭においているが,その理論づけ(とくに史的唯物論における「文明」の意義)は今後の問題であろう.

第二の進歩 民主主義の政治が世界政治の主流となった

第三の進歩 国連を中心として戦争と平和をめぐる国際秩序が形成されつつある(「報告」のイラク問題の部分を読み上げ)

(8)社会主義の流れの総括と現状  ロシア革命から現在までの「社会主義諸国」の86年の歴史を総括

第一の問題 ソ連の評価  「覇権主義の誤りにより世界に害毒を流した,社会主義とは無縁な人間抑圧型の社会」

第二の問題 中国・ベトナムの「市場経済を通じて社会主義へ」という取り組み.世界の人口の2割を占めるこれらの地域での試みは注目すべき.党大会報告ではさらに,この取り組みが「世界の構造と様相の変化を引き起こす要因」であり,21世紀の世界史において大きな意味を持つと強調.

用語の問題 「社会主義諸国」とは呼ばない.「社会主義を目指す国」とも呼ばない.「資本主義を離脱した国」と呼ぶ.(「離脱」の基準は?)

 党大会報告では,「世界構造の変化を見る三つの角度」の第二として,「二つの体制の共存という情勢が新たな展開を見せつつある」との段落を設けて展開され,さらに次の段落では,「社会主義を目指す国の規定をめぐって」という議論が詳細に展開されている.明らかになったことは,いったん廃棄されようとした「社会主義を目指す国」という規定が復活したことである.
その基準は方向性についての認識・判断であり,すべてを肯定するわけではない.認識・判断の主体は日本の側にある.

(9)世界資本主義の現状をどう見るか

    資本主義世界が直面している七つの経済的諸矛盾(代表例として)  

      @広範な人民諸階層の状態の悪化,A貧富の差の拡大,B繰り返す不況と大量失業,C国境を越えた金融投機の横行,D環境条件の地球的規模での破壊,E植民地支配の負の遺産の重大さ,FAALAの多くの国での貧困の増大

    これらの諸矛盾は,基本的な矛盾である「巨大に発達した生産力を制御できないという資本主義の矛盾」の表れである.
    それは,21世紀に資本主義の体制の存続の是非を問うような深刻な内容をもって進行している

    アメリカの一国覇権主義は,資本主義の強さではなく,弱さの表れである.現実にも,世界資本主義全体に大きな政治的亀裂と矛盾を引き起こし,拡大している.それ自身が世界資本主義の矛盾と危機を激しくする重要な要素となっている.

    経済のグローバル化に対する評価
    党大会報告では,第四章の冒頭に日本型民主主義革命論の理論的発展の一例として,グローバリゼーションの評価を述べている.全体の筋立てからすれば,ここで取り上げたほうが良い.

    グローバル化に直接反対するのではなく,「民主的な国際経済秩序の確立」という目標を対置する(いわゆるオルタナティブ路線).「資本主義的グローバル化反対」という立場はとらない.

    「発達した資本主義の国で,民主的な段階を経て社会主義に接近して行く」という民主主義革命の路線と一致する.ヨーロッパでの現実の運動も,覇権主義や多国籍企業の横暴を許さない民主的な国際秩序を目指している.
     

(10)国際連帯の諸課題  

二つの国際秩序が衝突し,闘争している 第22回党大会決議「二つの世界秩序の衝突ー干渉と侵略か,平和秩序か」

党大会報告では「21世紀の世界像をめぐって」と題して,「第22回党大会決議」の引用ではなく,まったく新たな展開がなされている.

「国連憲章にもとづく平和の国際秩序か,アメリカが横暴をほしいままにする干渉と侵略,戦争と抑圧の国際秩序か」 この選択が世界平和の闘いの中心課題である.現実の国際社会は,多数の独立した主権国家と異なる価値観を持つ持つ多様な文明によって構成されている.どんな超大国にも,自国の利益を世界平和の上におく勝手・横暴は許されない.

(7)の「第三の進歩」の展開を下敷きにしながら,国連憲章の「戦争の違法化」条項の意義を強調.「戦争の違法化」条項は,今は未だ「目標」にとどまっており,これを「現実」に変えることが課題である.

党大会決議では,「政府・団体・個人の国際的共同」が21世紀における平和の流れの新しい特徴だとしている.各国の民衆の闘いと,世界の多数の国々の政府が,国連憲章にもとづく平和の国際秩序を目指して大きな共同の流れを作り出す可能性が,地球的規模で広がっている.

イラク戦争は二つの体制の選択を迫る対決となっており,21世紀の世界政治の焦点となっている.

 

(付) 帝国主義をめぐる理論問題  

その1 レーニンの帝国主義論は時代遅れとなった

その2 党の綱領で,ある国を「帝国主義」として告発するのは.どういうときか?

その3 現在のアメリカの世界政策は紛れもなく「帝国主義」

「悪の枢軸」ばかりでなく,中国までも仮想敵国とし,先制攻撃の対象とするほどに「肥大化した覇権主義」

その4 綱領改定案は,アメリカの将来を固定的に見てはいない  

その5 日本の帝国主義的復活の問題について

綱領のレベルで日帝復活を想定する必要はない.事実に基づいて判断していけばよい.
(七中総から党大会報告を経過しても、「その2」以降の帝国主義論はいまだ消化されているとはいえない。ホブソンを否定するのか、ヒルファーディングを否定するのか足元定まらず、上半身だけに力が入っている印象。いっそ、「その1」だけでも良いのでは?)

 

四、民主主義革命と民主連合政府

 (一一)

 現在、日本社会が必要としている変革は、社会主義革命ではない。

 異常な対米従属と大企業・財界の横暴な支配の打破――日本の真の独立の確保と政 治・経済・社会の民主主義的な改革の実現を内容とする民主主義革命である。

 それらは、資本主義の枠内で可能な民主的改革であるが、独占資本主義と対米従属の体制から、日本国民の利益を代表する勢力の手に国の権力を移すことによってこそ、その本格的な実現に進むことができる。

 この民主的 改革を達成することは、当面する国民的な苦難を解決し、国民大多数の根本的な利益にこたえる独立・民主・平和の日本に道を開くものである。

 (一二)

 現在、日本社会が必要とする民主的改革の主要な内容は、次のとおりである。(行動綱領部門であるため、話の筋を見えやすくするため別掲とした)

 (一三)

 民主主義的な変革は、労働者、勤労市民、農漁民、中小企業家、知識人、女性、青年、学生など、独立、民主主義、平和、生活向上を求めるすべての 人びとを結集した統一戦線によって、実現される。

 統一戦線は、民主的党派、各分野の諸団体、民主的な人びととの共同と団結を かためることによってつくりあげられる。当面のさしせまった任務にもとづく共同と団結は、世界観や歴史観、宗教的信条の違いをこえて、推進されなければならない。

 日本共産党は、国民的な共同と団結をめざすこの運動で、先頭にたって推進する役割を果たさなければならない。日本共産党が、高い政治的、理論的な力量と、強大な組織力をもって発展することは、決定的な条件となる。

 日本共産党と統一戦線の勢力が、積極的に国会の議席を占め、国会外の運動と結びついてたたかうことは、変革の事業の前進にとって重要である。

 日本共産党と統一戦線の勢力が、国会で安定した過半数を占めるならば、統一戦線の政府・民主連合政府をつくることができる。日本共産党は、民主連合政府をつくるために奮闘する。

 統一戦線の発展の過程では、民主的改革のいくつかの目標で一致し、一致点にもとづく統一戦線の条件が生まれるという場合も起こりうる。

 その場合でも、国民の利益にこたえ、反動支配を打破してゆくのに役立つかぎり、さしあたって一致できる目標の範囲で統一戦線を形成し、統一戦線の政府をつくるために力をつくす。

 また、全国各地で革新・民主の自治体を確立することは、その地方の住民の要求実現の柱となると同時に、国政における民主的革新的な流れを前進させるうえでも、重要な力となる。

 民主連合政府の樹立は、国民多数の支持にもとづき、支配勢力の妨害や抵抗を打ち破るたたかいを通じて達成できる。対日支配の存続に固執するアメリカの支配勢力の妨害の動きも、軽視することはできない。

 このたたかいは、政府の樹立をもって終わるものではない。統一戦線の政府が国の機構の全体を名実ともに掌握し、行政の諸機構が新しい国民的な諸政策の担い手となることが、重要な意義をもってくる。

 民主連合政府は、国民諸階層・諸団体の民主連合に基盤をおき、日本の真の独立の回復と民主主義的変革を実行することによって、日本の新しい進路を開く任務をもった政権である。

 (一四)

 独立・民主・平和の日本が実現することは、歴史の根本的な転換点となる。日本は、アメリカへの事実上の従属国 の地位から抜け出し、真の主権を回復するとともに、はじめて国の主人公となる。

 日本は、戦争や軍事的緊張 の根源であることをやめ、アジアと世界の平和の強固な礎(いしずえ)の一つに変わり、政治的・経済的・文化的な新しい発展の道が ひらかれる。

 日本の進路の民主的、平和的な転換は、アジアにおける平和秩序の上でも大きな役割を担い、アジアと世界の発展に とって、重大な転換点の一つとなる。

第四章 民主主義革命と民主連合政府

党大会報告では,革命の任務(第11節)と政府目標(第13節)を基本的な視点としていることを強調.

(11)民主主義革命の性格と任務

最初の段落 二段階革命路線の否定.「この民主的改革の先に何か革命としてやるべき課題が余分にあるのではない」ことを明確にした.

二番目の段落  民主的改革なのになぜ「革命」と呼ぶか? 

    全面的改革は権力の移行によってはじめて可能となる.課題は「改革」だが,その主体は革命的なものであり,国家権力の移動=革命をともなうという認識(対決の局面をともなわざるを得ないというリアルな歴史的認識)

(付)いま日本が必要としているのは民主主義革命(講演会)

    綱領路線の真価は民主主義革命論にあった.綱領策定以降42年の歩みは,どの活動も民主主義革命というこの路線に結びついていた.

    「発達した資本主義国における反帝・反独占の人民民主主義革命」というのは,日本共産党がはじめて提起した.発達した資本主義国においては,「改良主義か社会主義革命か」というのが,当時の理論上の選択肢だった.

     

(13)革命にいたる道筋にかかわる問題  この節が綱領の核心をなす部分となる

第一の問題 統一戦線および政府の問題 民主連合政府と「さしあたって一致できる目標の範囲での統一戦線政府」の二つに整理

    民主連合政府に近づくためにはさまざまな段階があり,それに対応する統一戦線やその政府のさまざまな形態がある.あらかじめ,いろいろな段階を予想して,政府の区別を細かく規定することは,実際的ではない

    「民主連合政府」の構想は,60年安保反対闘争のときに,安保一本に絞った暫定政府案として作られた.

    選挙管理内閣は解散と選挙施行だけが任務ではない.その時点での緊急課題の実行も含まれる.広い意味での統一戦線政府のひとつの形態.

第二の問題 平和革命路線の問題  「極左日和見主義者の中傷と挑発」(4.29論文)以来の議会制民主主義重視の路線を確認.

第三の問題 地方での政治革新の意義

第四の問題 政府が国の権力を握る問題

    国家論からいえば,新しい勢力が政権についても,国家機構の全体を指揮する権限が与えられただけで,国の権力を握ったとはいえない. (「報告」の該当部分読み上げ)

    国家論的な叙述は排除  実践的にいえば,国民から選ばれた政府が国家機構の全体をしっかり握る過程である.

    予想される強烈な反共攻撃とのたたかいがもっとも主要な問題となる (チリのクーデターの経験)

(14)日本国民の歴史の転換点 

    @民主主義革命が日本の歴史の中に占める位置(片山内閣や細川内閣との対比),Aアジアにおける平和秩序の形成の上でも大きな役割を担う.

 

 (一二)

現在、日本社会が必要とする民主的改革の主要な内容は、次のとおりである。

〔国の独立・安全保障・外交の分野で〕

 1 日米安保条約を廃棄し、アメリカ軍を撤退させる。対等平等の日米友好条約を結ぶ。 経済面でも、アメリカによる介入を許さず、金融・為替・貿易を含むあらゆる分野で自主性を確立する。

 2 いかなる軍事同盟にも参加せず、平和・中立・非同盟の道を進み、非同盟諸国会議に参加する。

 3 自衛隊海外派兵をやめ、軍縮の措置をとる。国民の合意での憲法第九条の完全実施(自衛隊の解消)に向かっての前進をはかる。

 4 新しい日本は、次の基本点にたって、平和外交を展開する。

 ──日本が過去におこなった侵略戦争と植民地支配の反省を踏まえ、アジア諸国との友好・交流を重視する。

 ──平和の国際秩序を擁護し、いかなる覇権主義的な企てにも反対する。

 ──核戦争の防止と核兵器の廃絶、各国人民の民族自決権の擁護、全般的軍縮とすべての軍事ブロックの解体、外国軍事基地の撤去をめざす。

 ──一般市民を犠牲にする無差別テロにも報復戦争にも反対し、テロの根絶のための国際的な世論と共同行動を発展させる。

 ──日本の歴史的領土である千島列島と歯舞諸島・色丹島の返還をめざす。

 ──多国籍企業の無責任な活動を規制し、地球環境を保護するとともに、一部の大国の経済的覇権主義をおさえ、経済主権の尊重を基礎とする民主的な国際経済秩序の確立をめざす。

 ──紛争の平和解決、災害、難民、貧困、飢餓などの人道問題にたいして、非軍事的な支援活動を積極的におこなう。

 ──社会制度の異なる諸国の平和共存および異なる価値観をもった諸文明間の対話と共存の関係の確立に力をつくす。

〔憲法と民主主義の分野で〕

 1 現行憲法の前文をふくむ全条項をまもり、とくに平和的民主的諸条項の完全実施をめざす。

 2 国会を名実ともに最高機関とする議会制民主主義の体制、反対党を含む複数政党制、選挙で多数を得た政党または政党連合が政権を担当する政権交代制は、当然堅持する。

 3 一八歳選挙権を実現する。選挙制度、行政機構、司法制度などは、憲法の主権在民と平和の精神にたって、改革を進める。

 4 地方政治では「住民が主人公」を貫き、住民の利益への奉仕を最優先の課題とする地方自治を確立する。

 5 国民の基本的人権を制限・抑圧するあらゆる企てを排除し、社会的経済的諸条件の変化に対応する人権の充実をはかる。労働基本権を全面的に擁護する。企業の内部を含め、社会生活の各分野で、思想・信条の違いによる差別を一掃する。

 6 男女の平等、同権をあらゆる分野で擁護し、保障する。女性の独立した人格を尊重し、女性の社会的、法的な地位を高める。女性の社会的進出・貢献を妨げている障害を取り除く。

 7 教育では、憲法の平和と民主主義の理念を生かした教育制度・行政の改革をおこない、各段階での教育諸条件の向上と教育内容の充実につとめる。

 8 文化各分野の積極的な伝統を受けつぎ、科学、技術、文化、芸術、スポーツなどの多面的な発展をはかる。学問・研究と文化活動の自由をまもる。

 9 信教の自由を擁護し、政教分離の原則の徹底をはかる。

 10 汚職・腐敗・利権の政治を根絶するために、企業・団体献金を禁止する。

 11 天皇条項については、「国政に関する権能を有しない」などの制限規定の厳格な実施を重視し、天皇の政治利用をはじめ、憲法の条項と精神からの逸脱を是正する。

 党は、一人の個人が世襲で「国民統合」の象徴となるという現制度は、民主主義および人間の平等の原則と両立するものではなく、国民主権の原則の首尾一貫 した展開のためには、民主共和制の政治体制の実現をはかるべきだとの立場に立つ。天皇の制度は憲法上の制度であり、その存廃は、将来、情勢が熟したとき に、国民の総意によって解決されるべきものである。

〔経済的民主主義の分野で〕

 1 「ルールなき資本主義」の現状を打破し、労働者の長時間労働や一方的解雇の規制を含め、ヨーロッパの主要資本主義諸国や国際条約などの到達点も踏まえつつ、国民の生活と権利を守る「ルールある経済社会」をつくる。

 2 大企業にたいする民主的規制を主な手段として、その横暴な経済支配をおさえる。民主的規制を通じて、労働者や消費者、中小企業と地域経済、環境にた いする社会的責任を大企業に果たさせ、国民の生活と権利を守るルールづくりを促進するとともに、つりあいのとれた経済の発展をはかる。経済活動や軍事基地 などによる環境破壊と公害に反対し、自然保護と環境保全のための規制措置を強化する。

 3 国民生活の安全の確保および国内資源の有効な活用の見地から、食料自給率の向上、安全優先のエネルギー体制と自給率の引き上げを重視し、農林水産政策、エネルギー政策の根本的な転換をはかる。国の産業政策のなかで、農業を基幹的な生産部門として位置づける。

 4 国民各層の生活を支える基本的制度として、社会保障制度の総合的な充実と確立をはかる。子どもの健康と福祉、子育ての援助のための社会施設と措置の確立を重視する。日本社会として、少子化傾向の克服に力をそそぐ。

 5 国の予算で、むだな大型公共事業をはじめ、大企業・大銀行本位の支出や軍事費を優先させている現状をあらため、国民のくらしと社会保障に重点をおい た財政・経済の運営をめざす。大企業・大資産家優遇の税制をあらため、負担能力に応じた負担という原則にたった税制と社会保障制度の確立をめざす。

 6 すべての国ぐにとの平等・互恵の経済関係を促進し、南北問題や地球環境問題など、世界的規模の問題の解決への積極的な貢献をはかる。

(12)民主主義革命によって実行される民主的改革の内容  「行動綱領」ではなく,三つの分野にわたって「民主的改革」の内容を規定するという根本的な変更

第一の分野 国の独立・安全保障・外交の分野での四つの改革

    第一項 日本を従属国家から真の独立国家に転換する 従属体制の要となっている安保条約の廃棄通告と,対等・平等の立場にもtづく日米友好条約の締結

    第二項 非同盟・平和・中立の道 非同盟首脳会議への参加

    第三項 自衛隊問題の三段階にわたる解決 
    @安保条約廃棄前の段階,A安保条約を廃棄して軍事同盟から抜け出した段階,B国民の合意で憲法第9条の完全実施に取り組む段階 (第22回党大会の定式化)

    第四項 八つの柱を中心にした平和外交  
    @過去の反省を踏まえたアジア外交,A覇権主義に反対し平和の国際秩序を擁護,B核兵器廃絶や民族自決権の擁護などの諸課題,C無差別テロにも報復戦争にも反対,D領土問題,E民主的な国際経済秩序を目指す,F非軍事的手段による国際支援活動,G異なる政治体制や「異なる価値観を持った文明の間の」対話と平和共存

第二の分野 憲法と民主主義の分野での10項目の改革

    @憲法の全条項を守る,A議会制民主主義を守る,B憲法の精神に立った諸改革,C地方自治の確立,D人権擁護,E男女平等,F文化の発展,G信教の自由と政教分離の原則,H政治腐敗の根絶

    大事なのは第10項 天皇制の現在と将来をめぐる共産党の基本態度

    現在の態度 国政に関与させないなど,憲法の制限規定を厳格に守る.憲法の規定からの不当な逸脱を許さない.国会の開会式には参加しない.

    将来の問題 
    @一人の個人あるいはひとつの家族が国民の統合の象徴となることは,民主主義および人間の平等の原則と両立しない.A国民主権の原則の首尾一貫した展開のためには民主共和制をとるべき,B天皇制は憲法上の制度であり,その存廃は国民の総意によって解決されるべき.

第三の分野 経済的民主主義の分野での6項目の改革 

    @ルールある経済社会を作る,A大企業の民主的規制を通じて国民生活と日本経済の発展を図る,B経済的安全保障(国民の暮らし・環境を守る政策),C社会保障制度,D逆立ち財政の転換,E経済面で民主的な国際関係への貢献

    03年10月総選挙の政策「自民党政治を大もとからきりかえ,国民が主人公の日本改革を進めます」の第1章「日本経済の民主的改革―大企業応援ではなく国民の暮らし応援の政治を」では,

    一,社会保障と暮らしを支えるための財政と税制の改革 @逆立ち財政をあらためる歳出改革.A「上に厚く下に薄い負担」の経済民主主義をつらぬく歳入改革.

    二,国民の暮らしと権利を守る「ルールある経済社会」を作る @「持続可能な経済社会」を実現するために,世界の流れとなっている「企業の社会的責任を重視」(エビアン・サミット経済宣言)する.A「市場原理」の名の下に,目先の利益追求を再優先するアメリカ型資本主義を拒否する.

    三,経済までアメリカに指図される現状から抜け出す 

 

第五章

はじめに 全面改定の二つの前提

率直に言って7中総報告の第五章部分は流れが悪く,レジメにしてみると何がなにやらわからなくなる.党大会報告を柱にしながら,レジメを再編集する.それにしても、「生産手段社会化の効能」などの表現は、ガマの油売りみたいで、かなり気になるが。

第一の前提 ソ連社会についての結論的な認識

第二の前提 レーニンに由来する国際的「定説」=二段階発展論の全面的な再検討

五、社会主義・共産主義の社会をめざして

 (一五)

 日本の社会発展の次の段階では、資本主義を乗り越え、社会主義・共産主義の社会への前進をはかる社会主義的変革が、課題となる。これまでの世界 では、資本主義時代の高度な経済的・社会的な達成を踏まえて、社会主義的変革に本格的に取り組んだ経験はなかった。発達した資本主義の国での社会主義・共 産主義への前進をめざす取り組みは、二一世紀の新しい世界史的な課題である。

 社会主義的変革の中心は、主要な生産手段の所有・管理・運営を社会の手に移す生産手段の社会化である。社会化の対象となるのは生産手段だけで、生活手段については、この社会の発展のあらゆる段階を通じて、私有財産が保障される。

 生産手段の社会化は、人間による人間の搾取を廃止し、すべての人間の生活を向上させ、社会から貧困をなくすとともに、労働時間の抜本的な短縮を可能にし、社会のすべての構成員の人間的発達を保障する土台をつくりだす。

 生産手段の社会化は、生産と経済の推進力を資本の利潤追求から社会および社会の構成員の物質的精神的な生活の発展に移し、経済の計画的な運営によって、くりかえしの不況を取り除き、環境破壊や社会的格差の拡大などへの有効な規制を可能にする。

 生産手段の社会化は、経済を利潤第一主義の狭い枠組みから解放することによって、人間社会を支える物質的生産力の新たな飛躍的な発展の条件をつくりだす。

 社会主義・共産主義の日本では、民主主義と自由の成果をはじめ、資本主義時代の価値ある成果のすべてが、受けつがれ、いっそう発展させられる。「搾取の 自由」は制限され、改革の前進のなかで廃止をめざす。搾取の廃止によって、人間が、ほんとうの意味で、社会の主人公となる道が開かれ、「国民が主人公」と いう民主主義の理念は、政治・経済・文化・社会の全体にわたって、社会的な現実となる。

 さまざまな思想・信条の自由、反対政党を含む政治活動の自由は厳格に保障される。「社会主義」の名のもとに、特定の政党に「指導」政党としての特権を与 えたり、特定の世界観を「国定の哲学」と意義づけたりすることは、日本における社会主義の道とは無縁であり、きびしくしりぞけられる。

 社会主義・共産主義の社会がさらに高度な発展をとげ、搾取や抑圧を知らない世代が多数を占めるようになったとき、原則としていっさいの強制のない、国家 権力そのものが不必要になる社会、人間による人間の搾取もなく、抑圧も戦争もない、真に平等で自由な人間関係からなる共同社会への本格的な展望が開かれ る。

 人類は、こうして、本当の意味で人間的な生存と生活の諸条件をかちとり、人類史の新しい発展段階に足を踏み出すことになる。

 (一六)

 社会主義的変革は、短期間に一挙におこなわれるものではなく、国民の合意のもと、一歩一歩の段階的な前進を必要とする長期の過程である。

 その出発点となるのは、社会主義・共産主義への前進を支持する国民多数の合意の形成であり、国会の安定した過半数を基礎として、社会主義をめざす権力がつくられることである。そのすべての段階で、国民の合意が前提となる。

 日本共産党は、社会主義への前進の方向を支持するすべての党派や人びとと協力する統一戦線政策を堅持し、勤労市民、農漁民、中小企業家にたいしては、その利益を尊重しつつ、社会の多数の人びとの納得と支持を基礎に、社会主義的改革の道を進むよう努力する。

 日本における社会主義への道は、多くの新しい諸問題を、日本国民の英知と創意によって解決しながら進む新たな挑戦と開拓の過程となる。日本共産党は、そのなかで、次の諸点にとくに注意を向け、その立場をまもりぬく。

 (1)生産手段の社会化は、その所有・管理・運営が、情勢と条件に応じて多様な形態をとりうるものであり、日本社会にふさわしい独自の形態の探究が重要 であるが、生産者が主役という社会主義の原則を踏みはずしてはならない。「国有化」や「集団化」の看板で、生産者を抑圧する官僚専制の体制をつくりあげた 旧ソ連の誤りは、絶対に再現させてはならない。

 (2)市場経済を通じて社会主義に進むことは、日本の条件にかなった社会主義の法則的な発展方向である。社会主義的改革の推進にあたっては、計画性と市 場経済とを結合させた弾力的で効率的な経済運営、農漁業・中小商工業など私的な発意の尊重などの努力と探究が重要である。国民の消費生活を統制したり画一 化したりするいわゆる「統制経済」は、社会主義・共産主義の日本の経済生活では全面的に否定される。

 (一七)

 社会主義・共産主義への前進の方向を探究することは、日本だけの問題ではない。

 二一世紀の世界は、発達した資本主義諸国での経済的・政治的矛盾と人民の運動のなかからも、資本主義から離脱した国ぐにでの社会主義への独自の道を探究 する努力のなかからも、政治的独立をかちとりながら資本主義の枠内では経済的発展の前途を開きえないでいるアジア・中東・アフリカ・ラテンアメリカの広範 な国ぐにの人民の運動のなかからも、資本主義を乗り越えて新しい社会をめざす流れが成長し発展することを、大きな時代的特徴としている。

 日本共産党は、それぞれの段階で日本社会が必要とする変革の諸課題の遂行に努力をそそぎながら、二一世紀を、搾取も抑圧もない共同社会の建設に向かう人類史的な前進の世紀とすることをめざして、力をつくすものである。

第五章 社会主義・共産主義の社会を目指して

     

(15)社会主義・共産主義の社会の目標

第一の問題 未来社会の新しい呼称 「社会主義・共産主義」

    二段階発展論の放棄: 未来社会を社会主義社会と共産主義社会の高い段階に区分する二段階をとらず,ひとつの社会の連続的な発展としてとらえる.

    3年前の改正規約: 「終局の目標として,人間による人間の搾取もなく,抑圧も戦争もない,真に平等で自由な人間関係からなる共同社会の実現を目指す」

第二の問題 未来社会のキー概念:「生産手段の社会化」

一, 「生産手段の社会化」の二つの意義

@資本主義の諸矛盾からの根本的な活路:生産手段の社会化は,資本主義の矛盾を乗り越えるための必然的で法則的な社会変革.

「巨大な生産力と利潤第一主義の矛盾」の克服(講演会)

「巨大に発達した生産力を制御できない」ということが現代資本主義の基本的矛盾である.
その根源は,個々の資本が生産手段を持っており,生産と経済が資本の利潤追求を最大の推進力として動かされているという,資本主義の本性にある.

A人類の「本史」の発展の方向:生産手段の社会化は,人類史の新しい時代を画する変革である.

七中総報告では第五章の「その六」にあたる.人類の前史から本史へ(七中総では「経済学批判:序言」の引用)

二, 「生産手段の社会化」の内容

「三つの効能」: 生産手段の社会化によって社会のあり方,人間の暮らし方がどう変わるかを表したもの.

第一の効能 「人間的発達の保障」

人間による人間の搾取を廃止し,社会から貧困をなくし,労働時間の抜本的な短縮を可能にし,すべての人々の人間的発達を保障する土台を作り出す

第二の効能 「経済の計画的な運営」 ソ連などのいわゆる「計画経済」とは異なる.

資本の利潤追求が生産と経済の推進力となっている現状を変革することで,経済の計画的な運営が可能になり,不況の繰り返しを避け,環境破壊や貧富の差の拡大を防ぐ.

第三の効能 「物質的生産力の新たな飛躍的な発展」

利潤第一主義による「浪費」の抑制と生産の効率化.非効率が「社会主義」の代名詞になっているのは,ソ連官僚主義による失敗があったため.

生活手段の分野での私有財産は保障される(七中総報告では その三)

(16)変革の過程に関わる諸問題  社会主義・共産主義社会への前進の筋道

一 すべての段階で国民の合意が基本

「労働者階級の権力」を「社会主義を目指す権力」に変更(実体論的規定から目的論的規定に変更)

すべての段階は国民の合意のもとに行われる

統一戦線政策については現綱領をそのまま引き継ぐ

七中総報告では,(15)節の「その五」で以下の記述がある
資本主義時代の価値ある遺産を受け継ぐ.@「自由と民主主義の宣言」(76年)を引き継ぐことを明示.A自由と民主主義の内容 思想・信条の自由,複数政党制,国定哲学の排除

社会主義への道の中での二つの注意点

第一の注意 生産者(労働者)が主役 「これは非常に大事な点」と強調: 

ソ連では国有化と農業集団化の名の下に国家管理と官僚化が進んだ.国家は生産者そのものではない.「生産手段の社会化を目指す」人々というのが主体にかかわる本質的規定であるなら、それを実体的に担うのは「直接的生産者」ということになる。

非生産的労働者はどう位置づけられるのか?)

第二の注意 市場経済を通じて社会主義へ進む

「市場経済のなかで,社会主義の部門がいろいろな形態で生まれ,その活動も市場経済のなかでおこなわれる,その道筋の全体が「市場経済を通じて社会主義へ」という特徴を持つでしょう.

市場経済というと,何か資本主義と同じものだと思っている方もおいでですけれども,市場経済というのは自由に商品が売買され市場で競争しあう仕組み・体制のことです.

これは資本主義に向かう道筋にもなれば,条件によっては社会主義に向かう道筋にもなりうるのです」(講演会)

「計画経済」を国民の消費生活を規制する「統制経済」に変質させてはならない.

党大会報告では,七中総報告における展開は多くが省略され,その代わりに青写真主義に対する警告が強調される.

そして,日本における民主主義革命の時代に,大企業の民主的規制と日本経済の民主的運営を経験する中から,社会主義への移行の具体的形態が生み出されるだろうとする.第12節 第三の分野 (経済的民主主義の分野)を参照.

(17)世界的な諸条件  21世紀の時代的な条件を見る

「三つの世界」論

@発達した資本主義の諸国, A資本主義を離脱して現実に社会主義を目指す道にある国々, B政治的独立をかちとりなら,資本主義の枠内では経済的発展の前途を開き得ないでいるAALA諸国(七中総報告では「資本主義世界の一部をなしてはいるが,植民地・従属国としての歴史を持ち,独立した経済的発展への道を探求しているAALAの国々」)

これらの国々の人民の運動の中からも,資本主義を乗り越えて新しい社会を目指す流れが成長し発展している.

 

 

最後に

党大会結語では,「新しい党綱領をふまえて,何をどう語るのか」を述べている.これら3点が改定綱領の目玉であると考えられる.

1 現在の日本について

「このままではいけない」としたら、どこをただすべきか.それは@異常な国家的な対米従属の状態,A利潤第一主義に支配された大企業・財界の横暴な搾取と支配.

この構造を抜本的に変えるのは共産党の主張する民主主義革命と民主的改革のプログラム.

2 現在の世界について

世界は帝国主義が支配するかつての世界とは,すでに異なっている.

イラク戦争は,この生き生きとした変化がもっとも鋭く現れた事件である.

「世界の,この発展的な現状,立ち向かうべき困難はあるが,同時に多くの希望に満ちた現状を,大いに語ろうではありませんか」

3 日本と世界の未来について

社会主義・共産主義の未来像は人間の自由,人間の解放.人間そのものと人間社会が躍進することで人類が前進していく社会.

「人類史の上でも画期を成す巨大な変化」を生み出した20世紀の総括を踏まえ,21世紀が人類社会の新たな躍進に向かう世紀となることに確信を持つ.