右手は自分の為に、ある。
身を守る為、自分の欲を満たす為。
それならばきっと、左手は誰かの為にある。
守る為、手に入れる為。

繋いだてのひらは、とても暖かく心地よかった。
ずっと触れていたいと、思うほどに。





この手が僕以外の誰かのためにあるわけじゃ無い事を、
僕のために証明してみせて。
裂かれた細胞を、
流れ落ちる血の塊を、
まるで生き物のようにじわじわと広がる君の血の染みを、
君ごと愛してあげるから。



<モドル