まっかでまっかでおいしそうなりんご。

白雪姫にはどういう風に映ったの。



あかい、りんご。







もしかして、気付いていた?

りんごが、毒をたっぷりとしみこませている事に。

もしかして、知っていた?

それを口に運べば死に至る事を。













王子様を待つ為に?

















にこり、と笑う。
「今日はここまで。」
その言葉と共に、私はため息を吐き出した。
ミスもなく今日のレッスンを終えられた安堵と、
少しの疲労感と。
ぱらぱらと、楽譜をめくる音が聞こえてそっちに視線を向けると、
丁度こっちを見ようとしていた視線とぶつかった。

「成長したね、サナエちゃん。」
「ありがとう。」

(…どういう経緯だったかな。)
ふと、思い返した。
親友のリエちゃんの憧れである”スギクン”に
ギタ−を教えてもらう事になっていて。
今日でもう、何回目かのレッスン。
自分でも驚くほど、上達した気がする。
それは勿論、教えるスギ君の力が大きいと思う。


スギ君といると楽しい。
スギ君は何か安心できる。
癒される…って感じが一番近い。


「さて。サナエちゃん、時間ある?」
「……なぁに?」
答えると、スギ君は
壁に立てかけてあった自分のアコースティックギターを手にした。
「実はさ、レオとこれから待ち合わせなんだけど。
……レオってば、時間通りに来たためしが無いから。」
くすくすと笑うと、スギ君は伺うように
「リクエストある?」
ギターを軽く手ではじいた。


小さな、優越感。
大きな、罪悪感。


「じゃぁ、あの曲…」
私は、嬉しそうに答えたけど。
なんでだか、リエちゃんの事で頭がいっぱいだった。







おいしそうな、あかいりんご。

毒と、知りながら。









胸が苦しいのは、スギ君にひかれはじめた自分を止められないから。










帰ろうとした、スギ君を引き止めて。
躊躇いがちに、言葉にした
「リエちゃんのこと…どう思ってる?」
私の言葉に、スギ君は笑う。
「好きだよ。」
まるで、いとも簡単に。
友達として?女の子として?
「………スギ君、ずるいよ。」
ずきり、と心が痛んだ。
(りえちゃんの気持ち、)
「気付いてるくせに。」
まるで責める様に口をついて出た言葉さえ。




「僕の気持ち、」
柔らかい口調で。
「気付いていないフリをしているのは、サナエちゃんの方だろ?」
笑いながら、言わないで。
















毒と知りながら。










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(スギサナ直前)サナエ小説。

何気にスギレオリエサナ内のどのカプが主流なのか全く知りませんでした。
いろいろ考えて、とりあえずポプ3のギター組で。(安直)
そうなると、公式でのリエがスギ君に憧れている…という設定が…
と思いつつ。憧れ≠恋愛感情かとも思いつつ。
とりあえず、リエに遠慮したり罪悪感を感じているサナエでした。
「赤いリンゴ」好きですv
そんな雰囲気で。



(2003/1/9 UP)

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