+*・.・*+*・.・+*・.・*+*・.・+*・.・*+*・.・ 自覚 +*・.・*+*・.・















心が苦しい。

人を好きになる事が、こんなに苦しいなんて知りませんでした。

人を憎むよりもずっと、自分の心が張り裂けそうなくらいに、狂ってしまいそうなくらいに。

多分、この感情は自分にとってよくないものなのだろう。

苦しい。









病気だ、これは。









「ッ、日吉!」
呼ばれた自分の名前に、吃驚する。
鍛えた自分の体よりもたくましい身体に、支えてもらう。
覚えのある(というほど、抱きついた事があるわけじゃ無い)感覚とは違う物に
何故だか妙に安堵する自分がいた。
「鳳か、悪い…」
「なんか、顔色悪いみたいだけど大丈夫?後はミーティングだけだから
代わりにやっとくよ?帰った方がいいんじゃない?」
いつも通りの甘い言葉。甘い声。
いつもならば、自分が持たないそれらに嫉妬し反発するのだが
今ばかりはその全てが心地よくて、今日ばかりは鳳に部長の責務を任せることにする。
頭が重く、吐き気がする。
自分の心に反発するからか。
自分が許せないからか。
人に惹かれる自分を、こんなにも嫌悪するそれ自体に、眩暈がする。
自覚してしまえば、自分を苦しめるばかりのこの感情。



告げてはいけない、と。


思って。
帰り道で、泣いた。







2004/9/11 up

<モドル