その距離は、余りに近すぎた。






もう、お互いを認識する事さえ出来ないほど。
近くて、触れることに躊躇いさえ感じない。
余りに近すぎて。
それが、普遍的なものだと思っていた。










遠く、へ

行くなんて。

少し、

も、

考えなかったから。











「――――裕太?」
その身体に触れるのは、いつぶりだろうか。
平熱が、普通の人よりも低い僕と。
平熱が最初から高めの、裕太と。
触れて、一瞬その温度の差に吃驚するのだけれど。
その存在を確かめるように身体を寄せれば、触れ合った所から同じ温度になる。
同化、する。
一緒になることなど出来ないと分かっていても、有り得ない幻想に憧れるように。



僕では、裕太の力になることが出来ない。
僕には、その資格が無い。
近すぎるから、近すぎたから。
手を差し伸べる事など出来ないのだ。




「兄貴、俺……」
呟くように聞こえた声に耳を澄まして、眼を閉じる。
裕太の肩に、頬をのせて緩く抱きついた。






「強くなるから、              」


しっかりと発音された言葉に、涙腺が緩む。



















あぁ、僕達。
近すぎてしまったんだね。
















消化不良をおこしそうな、書き逃げに近い不二兄弟話。
兄の気持ちは兄にしか分からないし、弟の気持ちは弟にしか分からないわけで。
近くにいすぎたから、わからない事もあるって話。

(訳わかんないですね、スミマセン)


(2003/11/27 UP)


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