ぱらり、とページを捲る音が耳に届くようだった。
優雅な仕種で、その一連の行動を見守るように目が追う。
釘付けになる。
それ以外がすべて色彩を失ったかのように、ただ。








身体が動かないのは、
恋焦がれて、『アイツ』無くしては強くいられない自分を自覚したから。






吐く息が白く、視界に薄く曇るフィルターがかかる。
自分と手塚を遮るそんな些細な物であっても煩わしい。
歩を早め、ベンチに座り未だ俺の視線に気付かない手塚に声をかける。
「よぉ。-----悪ィ、遅れたな。」
指にはさんでいたしおりを本の中に閉じ込めて。
ずっと俺から見れば伏せられていた瞳が、此方を向く。
「-----いや、読みかけの本を読む時間が出来たからいい。」
首元にマフラーを巻きつけ、白い息を吐く。
微かに瞳を細めて、口許を緩める。
感情の色が見えにくい手塚の、些細な意思表示。











(触れたい、)


言葉に出すより早く、了承を得る事などもどかしく。
手袋をコートのポケットに入れて、指先で手塚の頬に触れる。
「!」
予想通りの、冷たい温度と手塚の吃驚した震えに苦笑いして
静かにその頬に唇を寄せた。
「……跡部ッ。」

咎められるように呼ばれた名前でさえ、心地よく耳に届くのだから。
色も、音も、何もかも。
いつもこいつの側にあればいい、と。

















色づく世界は、共に在るから。






















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いい加減、さっぱり意味のわからない文章を書くのをやめようかとも思うのですが。
自分が楽しいから、イ・イ・や★とか思ってしまっている自分がいます。
駄目人間でスミマセン。(それは今更ですか)
私は、攻めの跡部が受けに対してだけ弱かったり、
受けにだけ弱みを見せていたりするのが大変好きなようです。

(2003/12/01 UP)

<モドル