刹那的な、恋。













吐く息は、白い。
足元にある地面も、いつものアスファルトではなく今はただ
真っ白な雪の結晶が敷き詰められているのみだ。
こんな大雪の後で、(流石に今は止んではいるのだけれど)
学校が休みにならなかったことが多少残念でもあり。
しかし、普段とは違うその雰囲気に何かウキウキとする気持ちは
その足取りから自分でもわかった。
さくりさくりと、雪に足を埋める度に確かに寒くはあるのだけれど
気持ちは何故だか暖かい。



「おはよう、英二。」
クラスメイトでもある不二が、いつもの場所で合流する。
「おはよう、不二。」
自分同様にいつもより着込んでいる不二を見て、微笑ましい気分になる。
もとより肌の色の白い不二は、寒さの為か頬が一層赤く見える。
まるで雪国にいる、子供のような。

「今日、部活休みだって。」
残念だけれど、仕方ないよね。
と、笑う不二と共に学校に向う。
さくさくさくと、規則的に聞こえる二人の歩調もいつもより遅い。
雪に慣れていない自分達は、
のんびりしっかり歩く事でしか転倒しそうになるのを避けることが出来ない。
「この分だと、今日の体育…また体育館かにゃー」
「小学校じゃないから、流石に授業を潰して雪合戦とかはしないとは思うけど…。」
「まぁ、確かにねー」
小学校の時は、授業を潰して皆で雪合戦をした覚えがある。
不二と小学校までは一緒ではなかったかが、不二の学校でもやっていたのだろう。

「……英二は、雪合戦したかった?」
ふと、楽しそうに言われたので
「授業がつぶれるなら勿論、そっちの方が面白いに決まってんじゃん!」
と言うと、不二は「ふふ」と笑う。
「―――何?」
幼い、と馬鹿にされたのだと思い少し不満げに不二を睨むと
「”猫は、コタツでまるくなる”じゃ無いんだね…。」
面白そうに言う不二。
喋る度に吐かれるその、白い息をただ見つめて。
不二の言った言葉は確かに不本意ではあったけれど、
本当に楽しそうに笑ったからそれ以上何も言えずに押し黙る。

(不二は、雪みたいだ。)
白く、脆い。
綺麗なほど、怖いくらいに。綺麗すぎて。
いつかは、溶けてしまう季節が来る。

「……英二?怒ったのかい?」
「寒いのは嫌いだけど、雪は好きだよ。」
「??……そう?」





溶けない、雪なんてない。
だから、なのか。
雪が美しいと、思えるのは。
だからなのか、この感情が愛しく思えるのは。

一時的な、一方的な。
ただただ自分の心の中だけに降り積もるこの、白いだけの思い。
春を待てずに……待つ事も無く、



―――溶けていずれ涙になるのかもしれない。



















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……何で、こんなに暗いんだろう…。

36にきゃっきゃして欲しいと思ってます。
可愛いだけでなく、かっこいいと思います。
思春期だと思う。(ん?)
人とのコミュニケーションが上手い分、その分傷付いているかも知れないよね。(??)

―――結局、何が言いたいのかわからないよね…(その通りだよね…)(自分でもわからないしね…)




(2004/02/05 UP)


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