答弁(知事)
 私立学校は、公教育の一翼を担う立場から、重い社会的責任を負っていますが、学校の管理運営上あるいは教育活動を行っていく中で、一部の学校において、事故や不祥事などが起きていることも事実であります。
 県では、法令違反や不適正な管理運営、あるいは社会的信用を失墜させる行為を行った学校法人等に対し、経常費補助金の一部を不交付とする措置をとっております。
 これは、私立学校の健全な運営に資することを目的として助成する経常費補助金の交付目的を達成するために行うものですが、併せて、社会的責任の自覚や学校運営の改善を促すことで、事故・不祥事を未然に防止することを目的としています。
 こうした事故・不祥事のうち、教職員による体罰、破廉恥行為、飲酒運転等、社会的信用失墜行為に対する一部不交付については、全国的には半数弱の県で、同様の対応を行っており、本県においてはここ数年、年平均5〜6件程度の状況となっています。
 この一部不交付を行うに当たっては、当該学校法人等から事情をよく伺ったうえで、未然防止策を十分採っていた、あるいは、事後対応が適切であったと認められる場合などには、不交付率を減ずる措置も講じているところであります。
 また、議員ご指摘のように、一部不交付以外の方法による指導も大切なことと考えており、事故報告を受けた際などに、当該学校法人や学校に対して、事後処理や再発防止策の徹底などを指導しております。
 私立学校にとって、経常費補助金の減額は、学校経営への影響も大きいものと認識していますが、今後も私学関係者に対して、この制度の趣旨を丁寧にご説明し、ご理解をいただきながら、制度の適切な運用に努めてまいります。
再質問(杉本とおる県議)
 補助金の一部不交付制度につきまして、県が運営する県立高校においては、経営基盤の根幹を揺るがしかねない学校の維持運営費のカットというのは行っていない。私立学校だけにはそのような措置をとっている。公立学校には措置をとっていない。やはり、同等の形での不祥事に対する対応が必要であると考えている。私は、どう考えてもその辺が不公平感を感じざる得ない状況である。このことについて知事にもう一度お尋ね申し上げたい。
再答弁(知事)
 私立学校については、学校の管理運営に関して自主性が尊重されており、学校の経費は設置者が負担するという原則、これは学校教育法第5条ですが、ある中で公教育を担うという使命に鑑み、教育条件の維持・向上や健全な運営を図ることによって、公共性を高めるという観点から経常費補助金を交付しています。
 したがいまして、学校法人や学校に、経常費補助金の交付目的の達成を阻害する行為があった場合には、本県としては、他の私立学校とのバランスも考慮して、一部不交付を行うことはやむを得ないと考えております。
 そうした意味から、公立学校の運営費と私立学校の経常費補助金とは、そもそも性格が異なるものというふうに考えております。