答弁(黒岩知事)
 県政の諸問題について何点かお尋ねがありました。
 まず、災害廃棄物、漁網の受入れについてです。
 東日本大震災で発生した災害廃棄物について、私自身、現地の惨状を目の当たりにし、被災地での処理のお役に立ちたいという思いを強くしました。
 そして、これまで、「かながわ環境整備センター」での受入実現に向けて取組んできました。
 昨年1月に開催した地元説明会や対話の広場では、広域処理の根拠や放射能に対する不安について意見が出され、一つひとつ解決する必要があると思いました。そこで、国への働きかけや、放射能の問題について丁寧に説明してきました。
 また災害廃棄物を受け入れたいという私の思いを、地元の皆さんに伝える前に議会に表明したことへのご批判にも、直接地元町内会の役員会や説明会でお詫びをいたしました。
 その後、被災地で漁網の処理に困っていることが判明したため、放射能の心配がない漁網を直接埋め立てるという新たな提案をしました。
 県議会でも漁網の処理の促進について決議をいただくなどご支援をいただきましたが、地元の皆さんに受入れについてご理解をいただくことができず、大変残念であります。
 一方、岩手県の災害廃棄物の処理は、本年5月の段階で52パーセントとなっていますが、来年3月までに処理が終わる見通しが立ったということです。漁網についても、山形県や金沢市などでの受入れが実現し、本県への処理要請は岩手県洋野町の300トンとなりました。
 そうした中、箱根町と南足柄市が、地元への説明を経て、漁網受入れのための補正予算をそれぞれ6月の議会に提案することとなりました。これに合わせて、県でも今議会に補正予算案を提出させていただいたところであります。
 これにより、本県への要請量である漁網300トンを受け入れる見通しが立ち、洋野町の災害廃棄物の処理が完了することになります。
 こうして、被災地への支援が具体的になったことは、私としても大変うれしく思っています。南足柄市長や箱根町長が表明した「絆」が具体的な形で被災地に伝わることと思います。
 今後、県としては、両市町で早期に円滑な受入れが実現するよう、国や被災地との調整を行うとともに、漁網の安全性の確認を責任をもって行ってまいります。
再質問(杉本とおる議員)
 先ほど漁網の安全性の確認は、県が責任をもって行うと知事から答弁がありました。しかし地元では、まだまだ不安に思われる住民の方々がおられるのも事実のようでございます。こうした不安の声に応えるためにも、万が一漁網を埋め立てたことを原因として、何らかの問題が生じたときは、国もしくは県が責任を持って対応するということを明らかにしておくことが大事だと思いますが、この件について知事がどのように考えているか伺います。
答弁(黒岩知事)
 漁網の安全性に関する住民の不安に応えるための方策についてでありますが、ここはもっとも大切なことだと思っています。
 そのために、まず、被災地から搬出する前に、県が責任を持って、現地で、漁網の放射能濃度と有害物質、そして空間線量率の測定を行って、安全性を確認いたします。
 そして、受入れ自治体であります南足柄市と箱根町は、搬入した漁網を埋め立てる前に、あらためて空間線量率を測定し、その安全性を確認いたします。
 したがいまして、漁網の埋立による環境影響の心配はないと考えています。
 しかし、万が一、埋立後に、漁網を原因とした問題が、何らかのものが生じた場合には、県として責任ある対応をとります。それとともに、国に対しても必要な措置を求めてまいります。
 南足柄市、箱根町と連携して、住民の不安解消には、全力を挙げて取組んでまいります。
要望(杉本とおる議員)
 本県は、いつ大震災に見舞われるか分からず、被災地の苦難は他人事ではありません。そうした中、自ら漁網の受入れに手を挙げられた南足柄市と箱根町の皆様に深く感謝するとともに、「かながわ環境整備センター」での受入れの交渉に、真摯に対応していただいた地元町内会の皆様には、ご苦労をおかけしたことに対してお礼申し上げたいと思います。
また、県が漁網の受入れについても、住民の皆様の不安の声に応えるため、しっかりと取組まれたことでありますので、私も一安心はしているところであります。
 震災後2年以上経過し、被災地における災害廃棄物の処理については、一定の目途が立ったとのことでありますけれども、真の復興支援にしっかりと取組まれることを要望いたします。