答弁(黒岩知事)
 次に、「健康寿命日本一」への取組についてです。
 超高齢社会が圧倒的な勢いで進む中、高齢になれば病気になる。介護が必要になるという状態が続けば、社会的な負担は膨らみ、支えられなくなります。
 そこで、私は、年頭の「三つの神奈川全開宣言」の一つに「いのち全開宣言」を掲げ、高齢になっても自立して元気に暮らせる「健康寿命日本一」を目指すことを発表しました。
 これまでも、「食」を通じた健康づくりのため、「医食農同源」の考え方に基づき、食材の研究やレシピの開発、料理教室の開催などを進めてきました。
 また、この6月には、生活習慣病の重症化予防に焦点を当てた「かながわ保健指導モデル事業」をスタートしたほか、漢方診断の「証」に着目した未病チェックの仕組みの研究も行っています。
 こうした取組は、症状が出てから治療するのでなく、病気に至る前に、その誘因となる食のあり方や、運動・休養などライフスタイルそのものを見直そうというもので、漢方でいう「未病を治す」取組でもあります。
 一方,健康づくりには、ICTを活用した最先端の健康管理システムの導入なども効果的であり、健康づくりに関する新しい考え方やアプローチ手法を検討する必要があります。
 そこで、様々な分野の有識者などからなる「健康寿命日本一戦略会議」を立ち上げ、来月、第1回の会議を開催することとしました。
 例えば、健康づくりについての地域間の競い合いなど、幅広いアイデアやご意見をいただき、できるものから速やかに具体化していきたいと考えています。さらに、「CHO構想」の具体化も推進することとしています。
 CHOとは、健康管理最高責任者のことで、企業や自治体などがCHOを置いて、従業員等の健康管理を積極的に進める取組です。
 この構想は神奈川発のアイデアで、私自身も、県庁のCHOに就任し、県庁職員の健康をマネジメントする仕組みを構築していく予定です
 今後、私が先導役になって、企業などにCHOを設置するよう働きかけ、 CHO同士が集まって情報交換等を行い、健康寿命を延ばす社会的ムーブメントを起こしていきます。
 健康寿命の延伸は、今回新たに提唱した「ヘルスケア・ニューフロンティア」が最終的に目指すものの一つであり、あらゆる施策を総動員して推進してまいります。
再質問(杉本とおる議員)
 健康寿命日本一の達成に向け、様々な取組を行っていくとのことでありますが、中でも、CHOの設置については、現実問題として、企業として受け入れるための課題も多いのではないかと思います。
 今後、CHOを定着させるために、どのような形で進めようとしているのか、知事のお考えを伺います。
 また、6月7日の新聞に、平均寿命全国1位の長野県と最下位の青森県、かつて1位だった沖縄県の3県が、長寿の秘訣や短命の原因を探るサミットを開催する旨の記事が掲載されておりました。
 健康寿命日本一の達成に向け、県独自の取組に加えて、他県の効果的な取組等も参考にすべきと考えますが、知事のお考えを伺います。
答弁(黒岩知事)
 続きまして、CHOを企業に定着させるための課題をどう乗り越えていくかということであります。
 CHOをどう定着させるかでありますけども、まずはCHO構想とは一体どういうものかということをきちんと説明できるような形を、早急に作ってまいりたいと考えています。
 具体的にどういうことなのかという色々なアイデアがあると思いますけれど、そちらをできるだけ見える形にして、整理したいと思っています。
 そしてそれを呼びかけていく中で、そこに参加したいというインセンティブも考えていきたいと思っているところであります。
 それから、他県の取組をどうやって取り入れていくのかということであります。
 まさにご指摘の通り、健康寿命を延ばして成功を収めている地域も確かにあります。そういったところのノウハウというのはぜひ我々もお伺いして、取り入れていきたいといったところであります。
 健康寿命日本一を目指すこの施策については、あらゆる政策を総動員してやっていきたいと考えていますので、そういった先進的なものを皆さんもご存知であれば、我々に教えていただきたいと思っているところであります。
再々質問(杉本とおる議員)
 一昨日初めて耳にしました健康寿命日本一を目指すには、ヘルスケア・ニューフロンティアの取組も重要というふうに私も答弁の中から感じましたけれども、具体的な内容をお聞かせいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
答弁(黒岩知事)
 ヘルスケア・ニューフロンティアという言葉であります。これは私が今回アメリカを訪問して参りまして、この神奈川の取組ということをご説明している中で、アメリカからのリアクションを受けて、ふと浮かんだ言葉でありました。
 私は、どういうことを説明したかといいますと、県の人口は、1970年はちょうど見事なピラミッドだったものが、2050には、全く逆になるんです。この逆ピラミッドと両方の絵を見せますと、みなさんが、えーっという驚きの声をあげていました。
 これは要するに何を意味するかといいますと、今のシステムでは絶対に通用しないということです。これに対して神奈川は2つの大きな取組をします。その1つが最先端の医療技術、先端技術を追求していくということ。
 それともう1つは、未病を治すという、こういう考え方。この2つのアプローチによって、この超高齢社会を乗り越えていくモデルを神奈川で作っていきたいんだという話をしたわけであります。
 そうした時に、このアメリカで話を聞いてくれた人たちが、それはまさにアメリカの将来の課題でもあるというふうに感じてくださったということを生々しく実感をいたしました。このアメリカを例に考えてみますと、これまでアポロ計画でありますとか、スーパー情報ハイウェイですとか、アメリカというのは、そのビッグプロジェクトを提示することによって、その問題を克服し、そして、経済を活性化させていくと、そういうことをずっとやってきた国でありました。
 今、そのアメリカ人のこの目の輝きを見た瞬間に、これは、ヘルスケアのニューフロンティアといったもの、これが今、まさにその目指すべきビッグプロジェクトだなということを感じてくださったんだなと思いました。
 これこそまさに我々神奈川がモデルとして作っていくべき姿なんだな、これを神奈川で、ヘルスケア・ニューフロンティアというものを作ったら、そのモデルを今度はアメリカが真似をして、作るんじゃないのかな。そういうふうに思った次第でありまして、これを全力で取組んでいきたいと考えた次第でありました。
要望(杉本とおる議員)
 健康寿命日本一になると、神奈川県は幸せを実感する人々が大変増えると思います。何よりも波及効果として財政的に非常に大きく寄与すると思いますので、これをぜひ達成していただきたいと思います。
 東部・県央・県西と、健康をキーワードにこの取組をこれからやっていくことによりまして、神奈川県の明るい将来の道筋が見えたような気がします。ぜひ、高いハードルが様々あるかもしれませんけれども、健康というキーワードのもとで、長寿日本一を目指してこの3か所で事業・施策を展開していくことが大事だと思います。
 我が会派も知事のこのお考えに賛同し、しっかりと共に支援してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。これで、私の質問を終わります。