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ルーフタワーとHFアンテナメンテナンス作業 2003.8.24(Sun)
アンテナやルーフタワーは屋外に設置する設備なので、毎日、風雨、直射日光、塩害、大気汚染などによる厳しい環境におかれています。このため定期的な点検とメンテナンスは特にに重要です。ほおっておくと性能の低下のみならず、人身に危害を負わせる危険な状態になります。ある日、新しいアンテナ設営の下見のため、屋根にあがったのですが、びっくり仰天。タワーの基部支柱を支える木製台が腐敗してボコボコになっていたのです。これはマズイと周りを点検したところ、ステー線に使用しているデベグラスワイヤーも変色劣化の状態で、一部被覆が剥けてしまっていました。ターンバックルに至っては、真っ赤に錆びて、もはやワイヤー張力を調整することは不可能な状態になっていたのです。タワーに昇ってアンテナを点検すると、HF八木アンテナ、318−40の左右のラジエーターエレメントをつなぐ筒状の絶縁部材(インシュレーター)が、もののみごとにポッキリっと折れていました。このようにあっちもこっちもガタガタの状態で、とても新しいアンテナをあげるどころではなく、とりあえずメンテナンスをしっかりやることにしました。8月24日、週間天気予報では曇り時々雨でしたが、風がほとんどなかったのと、朝方、薄日が射していたためメンテナンス作業を実施することにしました。作業はローカルからJA8JCR松田OM、JL8APA中鉢OM(以下、JCR、APAと記します。)が駆けつけてくれました。今日の作業は(1)腐敗したタワー基部支柱を支える木製台の取替え。(2)全ステー線の張替え。(3)318−40アンテナの破損インシュレーターの取替え、の3工程です。 | ||
腐敗した木製台(左)と、その拡大写真(右)です。何年ものあいだ風雨にさらされた無残な姿に豹変していました。あざ笑うかのようにカラスが糞までプレゼントしています。クソー。駄洒落どころではありません。足で上部の木を踏んでみると、フワフワと沈んでしまいます。拡大写真でもわかりますが、釘の頭が飛び出しており、さらに下部の板が腐っているため、ほとんど用をたしていません。腐った木片が屋根の上に散乱していました。とりあえず、この4箇所の木製台を新しいものと交換することにしました。 |
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左の写真は新しい木製台と交換した後の様子です。一人がタワーの基部支柱を持ち上げ、もう一人が古い木製台を引き抜き、新しいのもを滑り込ませるようにして交換しました。思ったより簡単にできることに驚きました。当初JCRと「ジャッキで持ち上げようか。」と話していましたが、その必要はまったくありませんでした。腐敗した木製台は防腐処理はなにもしていなかったのですが、今回は、なるべく長持ちさせるため、クレオソート剤で防腐処理をしました。木材は近くのDIY店で必要な長さにカットしてもらい、これにクレオソートをハケで塗布しました。できるだけ木材のなかに染み込むように、乾いたら塗り、を繰り返します。私はこれを5回くりかえしましたが、まだ足りないような感じです。APAの話によると、適当な容器にクレオソート剤を入れ、これに木材を漬け込んだほうがよいとのことでしたが、その適当な容器がなく、やむなくハケ塗りとなりました。クレオソートはかなり強い匂いを発します。車庫のなかで防腐処理を行いましたが、隣近所から苦情がでないかとハラハラでしたが、幸いそのようなことはありませんでした。 |
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次はステー線の取替えです。写真左は取替え前のステー線とターンバックルです。ステー線はデベグラスワイヤを使っていますが、色あせてかなりもろくなっている様子です。下方においてある新品のデベグラスワイヤーと比べて見ると一目瞭然です。ターンバックルは完全に錆び固まっていました。当然、張度調整など不可能(回転不能)の状態で、さらに屋根の上にも錆びの粉が落下し、亜鉛のトタンが真っ赤になっていました。よくもこれまで、放っておいたものだと、われながら呆れてしまいました。右の写真は、張り替えたステー線の様子です。前回と同様、デベグラスワイヤー(6mm)を使用しました。ターンバックルも新品に取替え、錆び防止にため、グリスをたっぷり塗りこみました。実は私の考えで、今回はターンバックルは付けないで、緩んできたらその都度、ワイヤーを締めなおし調整しようと思ったのでが、そうすると、各ステーの張力バランスの調整が大変だとのアドバイス(JCR,APA)を受け、急遽、DIY店に走り調達しました。このため作業が大幅に遅れ、長時間の作業を強いることになりました。 |
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ステー線は前日、たまごラグやワイヤークリップを取り付け、長さを決めてタワー頂部から固定フックまで流しておきましたが、前述のように、ターンバックルを付けていなかったため、ワイヤーを途中で切断し、ターンバックルを挿入する作業が加わりました。左の写真はその作業風景です。JCRとAPAが黙々と作業をしています。ターンバックルを入れ終えた順に、古いステー線を外し、張り替えていきました。作業はターンバックルを挿入する作業と、ステー線を張り替える作業を分担し進めました。だんだん要領がよくなり、かなり早くできるようになったなと思ったら、作業が終了していました。すべてが新品のステー線に取替えられ、ホッとしました。これからは安心して、QRVできます。右の写真は、デベグラスワイヤーです。グラスファイバー製ですので、電気的な影響はほとんど受けないため、タワーのステー線には最適です。ただし価格が高いのが難点です。 |
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最後に318−40アンテナの破損部品の交換です。破損したのは、左右のラジエーターエレメントを接続するインシュレーターと呼ばれる円筒形の絶縁材部品です。これがど真ん中でぽっきり折れてしまっているのです。原因は不明ですが、HPで調べてみると他にも、これと同様の事象が報告されていました。明らかな強度不足でアンテナメーカーには、改良を望みたいところです。写真左はAPAが交換作業を行っているところです。この人は高所恐怖症ならぬ高所好意症のようで、へっちゃらで高いところに昇っていって作業していました。部品はラジエーターエレメントのみを外し、新品のインシュレーターと交換しました。右の写真は、折れたインシュレーターです。もののみごとに、ポッキンコンと折れていました。 |
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作業は夕方5:00ごろまでかかり、なんとか終わりました。・・・・と思っていました。が、がが・・・そう甘くはありませんでした。作業が終わって屋根の上の道具類を片付けていたとき、見てはならないものを見てしまったのです。なにげなく、アルミの基部支柱をみると、なんか変な感じです。よ〜く、右の写真を見てください。この写真は基部支柱の上部から木製台(トタン屋根面)にむけて撮影しています。なんと曲がってる!!それも支柱がふくらむように変形しています。これは相当強力な力が加わったように見えます。しかし、なんらかの力がかかったとしても、こんな状態になるものでしょうか?半信半疑でしたが、今日のところは部品がないため、修理は不可能です。メーカから基部支柱を取り寄せ、後日交換修理することにしました。朝9:30から夕方5:00までの長時間作業になってしまいましが、メンテナンス作業はとりあえず無事、終了しました。 |
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