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自立タワー建設 
2006.08.03 起工〜8.17竣工

2006年、夏、突然ですが、自立タワー建設の決断をしました。今までルーフタワーを使用していてそれなりに満足していたのです。それがなぜ? ある日、屋根に上がり定期的なルーフタワーの点検をしました。タワーもステー線もまったく異常ありません。が・・・ヤバイ!、これはヤバイ。ステーを留めてあるヒートンを点検して愕然としました。5箇所あるヒートンのうち2ヶ所で曲がりが認められたのです。この曲がりのためヒートンと壁のコーティング部分も少し隙間ができていました。このままで、はたしていつまで持つか素人の私に判断できるはずもありません。強風でステー線に思わぬ張力が加わり、ヒートンごと建物の一部が破壊されるかもしれません。それよりもなによりも、ルーフタワーの倒壊なんて事態になって他人様に怪我でもさせたらと、その夜からおちおち枕を高くして寝ることもできなくなりました。HFのビームアンテナは諦めてDPにするか? いっそのことアマチュア無線をやめるか・・・? 悪いことに6月になけなしの財布をはたいてFTDX-9000を導入したばかりだし〜。私の一番の趣味はアマチュア無線だし〜。そもそもアマチュア無線やめてこれからどんな趣味やんの? 悩みに悩んだ末、恐る恐るカミさんに相談した結果、ラッキー!! タワーを建てるしかないとの結論に達したのです。カミさん!アマチュア無線を理解してくれるあんたはエライ。ホントにエライ! さて、まわりは住宅地でもあり敷地も狭いことから、おのずと高さの限界はありますが、図面を書いたり、専門業者さんに現場を見てもらったりして検討した結果、クリエートデザイン社の15m高自律型タワー( KT15C )を建てることになりました。それでも現在のルーフタワー使用時に比べ地上高は約4m高くなります。また、今後のアンテナメンテナンス時の安全性と、とんでもない強風時の対策を考慮し、手動ウィンチによるエレベータキットも取り付けることにしました。カミさんの心変わりがないうち、さっそく8月下旬の竣工を目指し工事に取り掛かりました。今年の札幌は気温が高く、30度を超える気温のなかでの工事でしたが、業者さんの頑張りやローカル局のサポートもあって8月17日、無事、タワー上にアンテナが上がりました。コンクリート打設を含む基礎部は我が家を建築したハウジング会社さんに依頼し、タワー組立て・建柱およびアンテナの取り付け工事はクリエートデザイン社から推薦された小樽のハムショップさんにお願いしました。

8月3日 
タワー基礎部の工事が開始されました。KT15Cの取り扱い説明書によると基礎部は900mm x 900mm x 1.6mの穴を掘り、1.5立方m のコンクリート打設となっていますが、歩道との間隔が800mmが限界のため深さを増加させて、800mm x 900mm x 2.2mの基礎部としました。最低、1.5立方mのコンクリート量は確保し、強度の弱体化を防ぎました。また、設置位置を宅地中央部にもっていくためと、近接する玄関間口を少しでも広げるため、塀囲いの一部を撤去(写真)して約40cm左側にずらした形で基礎部の穴を堀りました。たかが40cmと思われるかもしれませんが、アンテナエレメントの両隣さん敷地への越境も考慮してのことでしたので、ここは多少費用がかかっても末永くアマチュア無線を楽しむための投資と考え、手は抜きませんでした。


掘リ出した土砂は即日トラックで運搬、捨ててもらいました。1.5立方mの穴からでる土砂ですが、掘り出した土砂は容積が増大し1.5立方mどころではありません。一夜とはいえ住宅地のなかにドッカリ土の山など造っては隣ご近所からヒンシュクを買うハメになります。今日一日で穴掘りは終わるかな? と思ってしましたが、さすがに2.2mもの深さになると一日では終わらず約1.6m掘り進んだところで、今日の作業は終了しました。穴の開口部は誤って人が落ちないように、翌日の作業まで板を釘うちでシッカリ固定し覆っておきました。(写真右)

8月4日 
穴掘り再開。2時間ほどで2.2mの深さに達しました。一番心配した出水もほとんどなく一安心です。当日、ローカルのJA8JCR・松田OMの協力を得て、既設ルーフタワーの撤去作業も行いました。(JA8JCR TNX) 
正午近く、生コン車が到着。ハムショップの方が組み上げてあった基礎アンカー部と2段目を繋ぎ合わせたタワー本体が穴に建てられ生コンが流し込まれました。みるみるうちに、穴は生コンで埋まっていき、10分もしないうちに、2日もかけて掘った穴はすっかり消滅してしまいました。生コンの量は1.5立方mのはずが2.0立方mも入りました。そこは計算済みで、生コン車はちゃんと+α分の量を積載してくれていて「おいおい、生コン足りないぞ〜。」などという問題は発生しませんでした。


生コンが固まらないうちにタワーの垂直出しが行われました。この工程はタワー建設で最も重要な部分です。タワー下部での少しの狂いが、タワー先端部では無視できないほど大きな狂いになるからです。垂直出しが終わった状態で、1週間、コンクリートが乾くのを待ちました。なお、コンクリートは地表面よりわずかに低い位置まで満たし、その上はアスファルト仕上げにしました。こうしておくとこにより、将来、タワーを撤去したとき、何物もなかったかのように設置場所をアスファルトで覆い隠すことができます。

8月12日 
いよいよ建柱作業です。一辺が2.44mの残り5段のセクションはあらかじめ組み立てておきます。タワーは上段になると細くなります。部品を間違えないように継ぎ手部分の形状も確認しながら慎重に組立てます。(写真左) 組みあがった各セクションはタワー上作業者2名、地上作業者1名で行われ、次々と繋ぎ足しながら上部へ伸びていきました。実物が出来上がっていく最もワクワクする工程です。(写真右)


3時間ほどで、全ての建柱作業が終了しました。タワーにはオプションでエレベータキットも取り付けました。手動ウィンチ(写真右)で、トラックと呼ばれる台座に取り付けられたアンテナをマストごと上げ降ろしできます。左の写真は、アンテナはまだ取り付けられていませんが、トラックを最下部まで降下させた状態で、ローテータ、マストベアリングおよびマストがトラックと一体化しているのが分かります。(今後のアンテナの取り付けおよび取り外しはこの位置まで降下させて行います。取り外したアンテナは屋上に置き行います。)今日の作業はここまでで、アンテナ取り付けは次週、天候の良い日を狙って行うことにしました。

8月17日 
晴れ、無風、気温31度。旧ルーフタワーから下ろして屋上にベタ置きしてあったアンテナを新タワーに取り付けました。エレベータのトラックを降下させた状態でマストに固定します。エレベータキットを取り付けておいたお陰で、写真左のように屋上での作業となり、タワートップまで昇る必要がありません。取り付けたアンテナは上から順に、COMET GP-9M(145MHz/435MHz)、Creative Design CL6A(50MHz)、Creative Design 318-40(7MHz-28MHz)です。アンテナのマストへの固定が完了したあと、手動ウィンチのハンドルをエッサエッサと回しトラックを上昇させます。写真右は上昇中のアンテナの様子です。約5分程度で最上部まで上昇させることができました。


トラックを最上部まで上昇させ、ついに全ての作業が完了しました。タワートップはルーフタワー使用時と比較すると4m高い、約15mの地上高になりました。マニュアルによると「風速40m以下であればアンテナを降下させる必要はないでしょう。」と書かれていましたが、安全を考慮して20m以上の風速が予報された場合はアンテナを降下させておこうと思っています。これで強風時でも枕を高くしてガーガー寝られるようになりました。v(^^;  2006.08.17

◎タワー:KT15C
 ・地上高 : 15.3m
 ・セクション長 : 2.44m x 7段(地中部含む)
 ・セクション幅 : 頂部 41cm 下部 60cm
 ・頂部許容受風面積 : 風速60m/s:0.7u 風速45m/s:2.4u
 ・打設コンクリート量 : 1.5立方m(実打設2.0立方m)
 ・タワー質量 : 255kg

◎エレベータキット:AE-1/15C(上部4セクション取付)
 ・ローテータ+マスト+アンテナ総重量 < 200kg 手動ウィンチ

◎アンテナマスト:M4
 ・61mm x 3000mm/54mm x 2600mm(連結長 5250mm ) 28kg

◎マストベアリング:CK46
 ・チャック型 マスト径40mm〜65mm