本町自治会員の投稿頁

ぶらり日光
あかやしお





平野 正 (遠州屋薬局)
t-hirano@gray.plala.or.jp









神主山から右より赤薙山、女峰山を望む
一年ぶりの東武線乗車である。
鳴虫山の“アカヤシオつつじ”を見ることは、我が家の年中行事として欠かす事は出来ないものになっていたが、ここ二年ばかりは所用のため、最良の週を外してしまった。今年は桜も二週間も早かったので、アカヤシオの絶好の花見時に気をもむ。

4月12日に日光の観光案内と東武日光バスに電話をいれ確認したところ、清滝付近の山では咲いているが、鳴虫山はもっと標高があるからもう少し後になるはずだが、今年の暖かさではもう咲き始めているかもしれません、との返事。
前に行ったときの咲き始めの美しさは感激ものだった。だから、早い方が良いだろうと4月14日に出掛ける事にした。


東武線沿線で春日部を過ぎてから街路樹や農家の庭先にあるハナミズキが咲いている。
これがあれば、まず日光のアカヤシオは太鼓判と推測出来るものである。
きょうは良い按配に白、緑、赤のハナミズキが美しく車窓から去って行く。

栗橋の利根川土手にかかると、菜の花が咲いている。これも日光での期待のふたつ目の目安である。

菜の花が盛りの時は土手一面真黄色だが、まだ黄色はポツリポツリの咲き始めだ。
これで青空なら文句はないが、今日は雲が多い。ま、天気は成り行き任せ・・・。
春は暖かく、のんびりゆったりし、電車に揺られても華やいだ気分になる。
田圃の景色も、掘り起こしたばかりのもの、水を申し訳程度に張ったもの、すでに一面に水を張ってたものなどに、田植えの季節間近を感じる。

ハナミズキ、菜の花、そして水の張った田圃を見れば、まずアカヤシオは見られるはずだ、と自分に言い聞かせるが、期待の最後の確認は東武日光駅から鳴虫山までの“桜の残り具合”である。

かたくり

むらさきやしお

石楠花

松戸では早すぎる春だが、日光ではシャツにベストでは寒いくらいだったのに、それでも、案内役の桜は何時もより早々と散ってしまったようだ。
石楠花ボケコブシは元気が良いのに・・・。

これでアカヤシオの予想は解らなくなってしまったが、ともかく来てしまったのだから、咲いていると無理にも思わなければ・・・・・・・。


登山口に着くと、いままで何度も来ているにもかかわらず、気がつかなかった山つつじが大きな蕾を付けている。開きかげんのムラサキヤシオもある。かたくりもある。
これは、山つつじ、ムラサキヤシオはアカヤシオの後に咲く花である。

今回は今年の春の速さもあるが、それを見越してこんな早い時期に来たのだから、まさか目当てのアカヤシオを終わってないだろう、という思いと、多少の不安を抱きながら登りはじめた。


最近は文よりも得意の(?)、また解りやすい写真でカバーしようと、やたらとデジカメのシャッターを押すので、時間がかかってしまうが、登山口の白山吹山つつじの蕾ムラサキヤシオの蕾カタクリ以外は目新しいものも無いので、あまりレンズを向ける気にならず、時間を費やすこともなく、神主山への中間点の尾根にたどり着いた。




ここで一息入れ神主山へ、そして神主山(こうのすやま)では右手眼下に日光市街、大谷川、そして残雪のある赤薙山女峰山男体山がのぞめる。
山に雪がある風景は神々しく、気を引き締められる。

暖かさの異常気温の今年だが二日前に寒気が南下し、男体山に雪が降ったと天気予報で言っていた。そういえば、松戸でも店を閉める時に寒いと思った日があったのだから、まだ冠雪があっても不思議ではないだろう。


白山吹

かたくり


このあたりまでは、いつものことながら、まだアカヤシオは現われないが、このあと、急なアップダウンを三回繰り返したのだが、アカヤシオは現れない。

いくら暖かい春でも、さすがに早すぎたのでは、との不安がよぎるが、それでも来てしまった以上、見えるはずだと、また、せっかちな性格に気をせかせられるように、急な山道を登る。
後ろから女房が、「早過ぎる・・・ゆっくりゆっくり・・・」と声を掛けるが、今年はトレーニング不足で脚が慣れないせいか、そんなに早足ではないはずなのだが・・・・

上を見ればアカヤシオ、うつむけばカタクリの期待の道だったが、どっちにも色のない、なんとも殺風景だったが、道元の・「仏道もとより豊倹より跳出せるゆゑに、生滅あり、迷悟あり、生仏あり、しかもかくのごとくなりといへども華は愛惜にちり草は棄嫌におふるのみなり」を思い出しながら登り続けた。




そうした心掛けのおかげか、突如新鮮なピンクで乳白色の花が三つばかり見えた!!
「咲いている!!」と声をあげると、ついてくる女房と娘が、「どこ、どこ?」と見当違いな処を探している。
指差すほうを見て、「あった!!きれい!!」ときまり文句を同じ抑揚でいう。

右手の斜面は数は少ないが近くに、そして谷底にはピンクの蝶々がヒラヒラ舞うように花が目に入ってきた。

咲き始めの色は若々しく美しい。まだ七分というところだろうが、咲き始めの勢いが、日光の早春を感じさせてくれる。それから後、頂上に近づくほど花が密集してきた!!

百文(聞)は一見に如かず・・・あとは写真で・・・・・
4月15日
















これはかたくり ・・・ほかはあかやしお




あかやしおと蛇