ぶらり
忍野八海


遠州屋薬局

平野  正
EM
t-hirano@gray.plala.or.jp

平成14年12月15日
               忍野八海

富士山には常に憧れを持っている

中学の時に読んだ海音寺潮五郎の「将門」の金と縁故の社会に憤慨する主人公の描写と共に富士山の噴火の記述も有った。と記憶している。
平野は平氏に通づると云う説もあるので将門にもあこがれるし、富士山には元々美しさを感じている。
去年年末に金時山から富士山を見る念願を十五年振りに達成し、冬の晴天時に大きな富士山を見る
事を年中行事の年末の部に加えようと考えている。

今年は石割山と決めていたが雪の積もった山には行きたくない。
しかし十一月中旬から五週続けて日曜日は小雨混じりの曇天か、厚い雲の曇りで十二月九日には松戸
でも雪が積もってしまった。十二月十五日の予報がやっと晴れとなった。

石割山が第一候補なのでYAHOO天気予報で石割山の残雪状態が有るかと調べたが積雪情報は無かった。

一昨年六月に石割山に行った時は山中湖を挟んで対峙しているその山でも富士は一時頂上の一部が
雲間に現われただけだった。

此処からも一度は霊峰を拝まないと、と思っている。

その時の帰りに忍野・・、忍野xx、忍野00とバスが通り富士山の絶景を望める忍野は随分広いのだと印
象に残っている。

九日には松戸でも積雪があったので石割山は止め忍野八海に行く事にした。

石割山から忍野に出る道もあるが急坂とあり雪の坂道を歩くのは不慣れだし帰りのバスも富士吉田
を午後4時以降発だと渋滞に巻き込まれ遅くなるのも困る。
富士急も大月まで結構時間が掛かる、2時には吉田からバスに乗るよう計画した。


新宿駅に7時20分に着き身を切る寒さのなかバスターミナルに行き7時40分の「平野」行き(山中湖には
吾が姓と同じ平野の地名がある。)に乗ろうと窓口で相談した所8時10分の山中湖行きなら忍野八海を
通るからそれにしなさいと言われ地下の待合室で無為な時間を過ごした。

中央高速バスは揺れも少なく快適だ。
倅が学生の時富士吉田で一年間過ごし中央高速を良く利用していたのでそれを知った。
大月回りより安くて渋滞が無ければ時間も早い。
八王子を過ぎる頃から道路両側の丘に密集する雑木林も葉が落ち裸の枝が無数にとがり茶色のボーッとした感じは巨大動物の毛が密集した背中みたいだ。裸の木々が動物の柔らかな毛に見える。
運転手の左フロントに大きな白い富士山が現われ始めた。
青空でもあるし憧れの富士山を充分楽しめそうだ。
   好きな冬の木立

女子スピードスケートで日本代表に多数の選手を送り出している富士急の広大な遊園地ハイランドをかすめ愈愈大きな富士を見ながらバスは忍野入り口から左折をする。
道路わきを流れる桂川の水が気温が低い為蒸気となり昇り、葉の落ちた喬木の枝は凍って光り、大地は雪で純白であり、木々の先には白い富士が望めここで写真を撮りたいと感じる・・川原には三脚が並び川原に下りようと三脚を抱えて坂道を下っている人もいる。
忍野八海のバス停が近いなら此処に戻り望遠つきのデジカメで富士と樹氷と川蒸気を一枚の写真に撮りまくろうと考えたがバス停は遠かった。

気温が上がれば樹氷も川蒸気も消滅する。残念だが断念する。
忍野八海に着くと駐車場は車で溢れ厚着をしているがヒールや革靴で荷物
も持たない軽装な人が気軽に見学をし、その人たちが利用するお土産屋や
食堂がある。
こちらは登山靴にザックでその中には二枚歯のアイゼンまで忍ばせている。
ここでも三脚と四角いザックのカメラマンが多い。じっくりカメラを構え何時間
も一点を狙っている。
寒いのにご苦労さんだ。
        樹氷

透明な湧き水の池と雪をかぶった茅葺の水車小屋、大きな民家、手入れをされた植木越しに見る青空と白く筋を引いた雲の下の富士山は感激だ。

150万画素のデジカメでは350枚の写真が撮れるので構えもそこそこに撮りまくった。セミプロ達は未だ同じ場所で構図を決めているがこちらは移動にかかる。


        池に写る富士山頂

              透明な湧き水

              清流と雪

            澄明な湧き水と虹鱒
若く美人のお土産屋の人に鐘山の滝への道を聞いた所
何回も丁寧に教えてくれたが土地感のない私達には解り
難かったが有難く聞き先を急いだ。
道路を富士吉田方面に戻る事になり交通量が少なくは無
い雪で狭くなった車道を注意深く歩いた。
一度走行中の車のバックミラーがこつんと肘に当たり女性ド
ライヴァーはそのまま行ってしまった。
道路以外は雪で白く、子供の頃良く降った雪の中でビショビ
ショになって遊んだのを思い出しながら歩いた。

先程の樹氷と川蒸気の絶景ポイントに着いた時は昼近くに
なり気温が上がり樹氷も蒸気も無くなっていた。
富士山だけは形良く見え満足だ。27倍ファインダーを覗くと
頂上の山小屋らしき物、イカズチのような登山道も間じかに
見え冬の富士山に登ったような錯覚をする。

絶景ポイント(樹氷と川蒸気が昇る)

左山頂に山小屋が見える。

養蚕をしていたのか合掌造りの家

             峠越え
美人に聞いた通り雪道の峠越えになり雪を踏みしめ転ばないよう余分な力が入る。下りは余計に力が入る。
10年前若かったので冬でも山へ行こうと求めた定価の付いたままのアイゼンは使わないで下りきった。
大きな羽音で驚くと雉が飛び出してきた。デジカメは写せる状態になるまで時間が掛かるのでチャンスを逃した。
山の向こうで鉄砲の音か自衛隊の演習の音か解らないが火薬の破裂音がする。
北海道で獲物と間違って牧場の競馬馬を射殺したハンターがいたと聞いているのでよい気持はしない。
雪の中の歩行で鐘山の滝に出た。白銀の世界の滝は美しい。

               鐘山の滝

此処からバス停は近くバスを待っている間にも濃いカーキ色のトラックが頻繁に通る。北富士演習場があるので自衛隊の車両が通る。
子供の頃は本町辺りにもカーキ色の米軍のトラックに米兵が乗り駅前に遊びに来ていた。
大地震がきたら地盤の悪い本町は液状化で壊滅状態になるかもしれない。
災害時には訓練の充分に出来た自衛隊の方々にお世話になることだろう。
バス停からも青空と白い大きな富士が昼の陽に光り望めのどかで美しいハイキングを堪能し、冬の富士山を仰げ今年も良い年であり来年も相変わりませず良い年でありますようにと満ち足りた気持だ。

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