此処を通る度、落語の「崇徳院」を思い出す。


・・・・・稲荷町の大店の若旦那が上野の清水さんにお参りをし、その先にある五條天神に行き、前の茶屋で真っ赤な毛氈に腰掛けて茶を飲んでいるとき、美人の娘(落語では水も滴るイィ〜ッ女と言う)に出会う。
その娘が茶を飲み終え、茶店を出ようとした時、木に吊るしてあった短冊の一つが半分に切れて、ヒラヒラと舞い落ちてきた。
それを拾った娘は、その短冊を女中に持たせて若旦那に届けさせ、本人は赤い顔をしてうつむいていた。その短冊には「 われても 末にあはむとぞおもふ 」とだけが書かれてあった。

若旦那はそれが崇徳院の短歌 「瀬をはやみ 岩にせかるる滝川の われてもすえに あはむとぞおもふ」 の下の句と解る。

さあ、大変!! 家に帰った若旦那は一目惚れの恋煩いで寝込んでしまう。心配した旦那は店子の熊さんに長屋を一軒与え、その娘を探して貰う・・・・・