偽膜性大腸炎

去年9月より胃幽門部の狭窄で入院し食欲の改善がみられず他病院に移り中心性静脈栄養をしているうちに細菌感染を起こし発熱した。

 

抗生物質を投与しているうちに偽膜性大腸炎を発症し下痢と高熱を繰り返す。

膝から下が大層浮腫んでいる。胸苦しい動悸がすると訴える。

11月16日介護者である次女が来店

症状は下痢とおむつ交換の時窓を開け風が入ると寒がり9度近い熱をだす。抗生物質を投与すると下利がひどくなり肛門が開きっぱなしで腸が見えるようだという。

丁度発熱時に病院にいくと9度の熱が在るのに青い顔をしていた。発熱でも陰が勝った灑淅悪寒の症状である。年齢は90歳女性である。

 

漢方の防御反応の考え方は栄(血)衛(気)の気が体中を巡り全ての防御をしていると考えている。

栄衛は穀物により造られる。穀物が胃で消化され穀気として肺に上る。穀気の澄んだ物は栄気となり水に溶け血となり心臓から体内をめぐる。残りの濁れるものが気となり肺から全身を廻る。

胃小腸大腸をひっくるめて脾という。

偽膜性大腸炎の場合は大腸壁を偽膜が覆い脾としての働きが充分でなく穀気が生成されない為に栄気衛気が衰え防御反応が出来なくなっている。

栄衛の不足と脾胃の働きの衰え、浮腫みを考えあわせると茯苓四逆湯が浮かぶ。

栄衛を補い下痢を治すは四逆湯、下痢を治し脾胃を強めるは四逆加人参湯更に水をさばく茯苓を6g加えたものが茯苓四逆湯である。

付き添う次女が午前11時から午後5時までなので11時と5時に分2で服用してもらう。18日までに序序に食欲が出たが熱38.8度で19日に抗生剤の点滴をする27日まで続ける。

以後解熱したが下痢が続く。

20日から乾姜を3gに増やす。食欲が出てきたが下痢あり。足の浮腫みはとれた。脾に力がつき気血が巡ると水腫を血に吸収する。また茯苓により小便からの排泄もある。

11月24日から12月3日までは解熱したが下痢が続く。食欲は多少出てきた。

12月4日より通脈四逆湯を11時5時で服用し2時に顆粒の呉茱萸湯を一包服用する。12月8日までに下痢も治まり熱もたまに37度を越えることがあるが36度台で推移する。

その後病院の方からは薬は出ず四逆湯を必要に応じ通脈四逆湯にしたり茯苓四逆湯にして体調が良くなる。

無事3回の試験外泊の後1月7日に退院した。

胃腸が整うと伴に胸苦しい動悸するとも言わなくなった。これは太陰脾経が心に注いでいて脾の不和が心臓に影響を与える為大腸が整いその結果動悸が無くなったのである。

 

介護5と介護3の老夫婦

夫91歳介護3妻87歳介護5介護者61歳の長女で住まいは別で6時まで勤務している。

夫が39度近い熱をだし苦しがっている。在宅診療の医師にセフゾンとクラリスを処方され手持ちのブルフェンも服している。

老夫婦の内一人が入院してしまうと大変だからと薬を乞う。

赤い顔色をしている。1日経過して熱が下がらないと言うので麻黄附子細辛湯2日分と通脈四逆湯2日分を持たせた。

早速その夜から麻黄附子細辛湯を一服し30分くらいで顔の赤いのがとれ37.5度に解熱したが不味いからそれ以上服用しない。と言う。

風邪が少陰経にあり未だ府に入っていない症状なので麻黄甘草附子湯を早朝に長女宅に届け夜に連絡を待つ。一日服用し36.4度になった。其の日の午前中に解熱しなければ入院とのことでこちらも必死だった。

次の朝36.6分で勤めの後両親の所へいき検温すると37.3度とのこと解熱後余熱が半表半裏に残ったと思い小柴胡湯の半量を顆粒で服用させたところ30分もしないうち37.6度に上がったと報告があり半表半裏に熱がないのにそこの熱を奪ったので半表半裏の冷えを補おうと発熱したらしい。

最初に持参した通脈四逆湯を煎じ2日分として服用してもらった。服用し30分で36.8度に下がったと聞き一安心した。その後計4日分服用しほぼ直ったが全快にはあと1週間掛かったという。

介護5の母が咳をしだし眠ってばかりいるという。手元に真武湯があるとういうから其れを服用し直ぐに軽くなるがやはり1週間で全快したと連絡があった。

少陰病始得之反発熱脈沈者麻黄附子細辛湯主之。

少陰病得之二三日麻黄附子甘草湯微発汗二三日無裏証故微発汗也。

少陰之為病脈微細但欲寐也。