ぶらり
 弥   彦  神  社


    
    
       平野 正


平成15年1月2日              弥彦神社

6年前正月トクトク切符で秋田県の角館を日帰りした事がある。
其の時は5時に家を出て5時40分には東京駅についたのだが新幹線のホームは人があふれやっと乗り込んだ
東北新幹線は満員でトイレの前に押し付けられ盛岡まで行った。

是に懲りてその後正月トクトク切符は敬遠していた。

今年は次女の希望で又一万円で乗り放題にチャレンジする事になった。
暮れは何かと忙しく12月31日の7時過ぎに切符を買いに次女が行った。旅する日付は2日である。
先ず一万円の乗車券だけを買って電話で乗る列車が決まれば座席指定も出来ると言ってきた。。
適当な時間で空いているのは新潟行きのトキ号だけだった。8時2分の座席指定が取れたと自慢気に帰ってき
た。

さて新潟に行くのは良いが其処で滞在できる5時間をどう過ごそうか検討に係った。1日は長男夫婦、長女夫婦
が来たので午後7時過ぎからの検討になった。

2日は新潟は雷を伴った雪と天気予報があるので神社仏閣を訪ねることにした。最高気温は0度とあった。

小生が小学生の時弥彦神社で大混雑の年賀の参拝客が将棋倒しとなり少女の上に人が重なり脳を圧迫され失明した事件があった。その子が東大の脳外科教授の治療により目が見えるようになった。

それから程なく東大医学部に進んでいた兄がその脳外科に入局したのでその事件を憶えている。 
乗り継ぎを繰り返しJR弥彦駅から徒歩10分と調べ念のため切符を見直したら乗車券は2日だが座席指定が1日
の物で気が付いたのは1日の午後9時半を過ぎていたが松戸駅へ行き事情を話したら2日の上野発9時2分の指定が取れやれやれと安心した。
遠くへ行ける事はやはり興奮する。

2階建てMAX号でなおさら嬉しくなる。一時間遅れたのでかえって越後線、弥彦線の連絡が良くなりトクトク切符の威力も発揮できる。他の乗り物を使わないで後は足を使えば行ける。

愈々当日私独り座席が離れているのが解っていたので最近買った「ひろさちや著の道元を読む」を持って行った。去年還暦を迎え物事が手につかなくなっていた私には現状の在るがままを認め一瞬一瞬を大切にの思考は改めて思い知らされた。

「たき木、はひとなる、さらにかへりてたき木となるべきにあらず。しかあるを、灰はのち、薪はさきと見取すべから
ず。しるべし、薪は薪の法位に住して、さきあり、のちあり。」
等何回も読んでいるが今日は気持にずしんとくる。


仏教の本は紀野一義氏の物と「ひろさちや」氏のものを読むが紀野先生は紀貫之の末裔であるので格調高く解
説し、ひろ氏は薬局の子なので大衆向けでそれぞれ読者に解り易く面白い。
どちらにしろ実践あるのみ。

          上越新幹線より

            新幹線車窓より
車窓の景色は何時の間にか雪景色となり雪空が普 通で1分位の晴れが出る。晴れ間は一時で一回
しかなく灰色の雪空に小雪か吹雪かを繰り返していた。

新潟駅に着くと秋田行きは00番線などと聞き日本海側に来たのだと実感する。

こちらも発車まで10分しかない越後線ホームに急ぐ。その電車は車両の外、内にボタンがあり乗降客は自分でドアーを開け締めし整理券を取りワンマンバスと同じ方法で利用する面白い経験をした。
吉田では弥彦線に乗り換える時間が30分有ったので駅前のコンビ二で湯を即席うどんに注いで貰いサービスに温かさを感じ湯気の上がる肉饅と分け合って食べ人心地がついた。

弥彦駅は参拝の為に出来た駅なのであろう神社建築の駅だ

細かいべた付かない雪の中を神社に向かった。お土産屋さん
食堂が連なった参道を歩くのは買い物をしなくても楽しい。
道には散水栓が埋められておりたえず水を撒き除雪をしている。この水の勢いがまちまちで水を避けるにも神経を使う。
時折強い風が吹き屋根の雪を吹き飛ばすのも珍しく見ながら
神社に着いた。
立派な鳥居と門松に迎えられ奉納された行灯が長く並ぶ参道
を歩く。
相変わらず雪は吹き付けるが傘をささずにややハイになって歩く。
突き当たると古いお札を燃やしている所があり、篠竿の先に針金で当り目を付け焚き火にかざしている人が何人かいる。
              弥彦駅

     弥彦神社門松と鳥居

      行灯の並んだ参道

         弥彦神社楼門
広々とした敷地に大きな杉が鬱蒼として成る程、国中に知られている神社と思う。
参拝客で長蛇の列ができ一寸刻みの歩行かと思っていたがスムースに拝殿まで行けたのはラッキーと感じた。
ワンコインであれこれ他国の神様にお願いをするのも気が引けるのでコンニチハと挨拶をして拍手(かしわで)を打った。

            弥彦神社拝殿
木立に囲まれた更に背景に弥彦山をバックに神々しい神社である。
雪にけぶった木々と山が本殿の金箔を余計に引き立たせている。
雪とJRの便が良くない事が影響しているのか人がそれほど多くないのが我々には嬉しかったが意外な気もした。
参拝も挨拶程度と程ほどにし弥彦山ロープウェイに乗ろうかと
雪道を歩いたが雪国の森林の中を歩くのは珍しくもあり白い景色の中を進むのは清清しい気持だ。
ロープウェイの発着所についたがこの雪じゃ視界も悪かろうと
そのまま戻り、さっきのお土産屋街でめずらしく店を覗いた。
元旦に絞ったと言う生一本を一升瓶で求めザックにつめずしりとした重みに酒どころ越後に来た事を実感した。


           お座敷列車
戻りの弥彦から新潟行きは直通の快速列車で全車座席指定であった。
参拝前に駅に着いた時娘が指定の張り紙を目ざとく見つけ出札口にトクトク切符なら指定料金は要らないはずと聞きに行き案の定その通りだった。
お土産屋で時間を食ったので駅に帰着したら直ぐにその列車が来た。
乗り込んでみるとお座敷列車で思いのほかのんびり出来た。
靴を脱ぎ座椅子に背をもたれさせる事はゆったりとする。飲み物と菓子をテーブルに出しすっかりくつろいだ。
案内書で最初に目にした白山神社に寄って新潟駅まで歩く事にしてあったので新潟の一つ手前の白山で降り駅員に道を聞き歩き出した。
新潟駅まで一時間はちょっと計算違いだった。30分位のつもりだった。



歩道が雪で凍った道は歩き難かったが地元の人は歩くのが早くメールを打ちながら歩いている人もいる。
         白山神社鳥居

         白山神社楼門

        白山神社拝殿
県庁や公園、新潟大学付属病院等のエリアにある白山神社はぎっしりと参拝者の長蛇の列が100mは続いている。
何時間も並んで自分だけが良い事が有りますようにとお願いするのか人類が皆幸せにと願うのか知らないが寒い中大変な忍耐と思う。
小生も正月と祭りのときは此処の人達と同じく氏神様にお参りをする。漢方の師が僅かなお賽銭でいろいろ頼まれても神様は迷惑するだけだと書いているのを読み神様にはお礼を言うことにしている。

一葉も「たけくらべ」の冒頭でお酉様の市がでる鷲神社周辺で縁起物の熊手をつくる人々を皮肉っている。
でもしてしまうのが神頼みである。

すべるので歩くにも力が入り疲れてきたし神社の梯子も観光ならではの事である。

年齢が寒さに敏感になったのか腹が張り、小用が近い。無理するなと忠告されている。

いよいよ最終の万代橋を渡り信濃川河口付近の上を歩き弥彦神社をメインにした日帰りの旅も終わりと
なった。やはり時間一杯知らない所を歩くのは楽しい。今年も精一杯日帰り旅行をしよう。

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