距離の測り方

 例えば、川を挟んで向こう岸までの距離をはかる、とか、浜辺から遠くに見える船までの距離をはかる、というのなら、三角測量や、音波を用いる方法などで簡単に求めることができそうですが、遥か彼方にある星々までの距離をはかる、というと、どうすればいいのか分からないわけです。月までの距離でも、測るのには骨を折りそうです。

 方法はいくつかありますが、まずは基本的な方法を紹介しようと思います。

1.地心視差と年周視差

 これは、三角測量の最もダイナミックな利用法です。三角測量では、二点をとって、目標に対する角度を測って、そこから距離を求めますが、ちょっと隣の星までの距離をはかる、という時には、基準となる二点同志の距離が小さいと、三角形がどうしようもなく細長くなってしまって、手の施しようがなくなってしまうので、簡単にはいかないわけです。そこで用いられているのがこの、「地心視差」とか、「年周視差」などを用いる方法です。

 地心視差というのは、地球の自転によってうまれる視差で、これを用いて太陽系内の天体までの距離を測ることができます。しかし、この方法では、太陽系外の天体までの距離を測ることは無理です。別の恒星までの距離が求めたいときに用いるのが、年周視差です。これは、地球の公転を利用した視差で、つい最近まで、三角測量で最も遠くまで測れる道具だったものです。地心視差と年周視差については、どこの角度をあらわしているのか、口では説明しにくいので、の方を参考にして下さい。ちなみに、年周視差が1秒の時の距離を、1pcと書いて、1パーセクと読みます。距離の単位について確認したい方はこちらへどうぞ。最も地球に近い(太陽以外の)恒星は、ケンタウルス座プロキシマ星で、年周視差は0.75秒だということです。

 しかし、年周視差によって測れる距離も、現在の技術では精々300光年ですから、銀河系のほんの一部の領域でしか通用しないわけです。近年では、「ヒッパルコス」という名前の人工衛星によって、1000光年弱の距離まで測れるようになりました。地上で観測するのと違って、誤差がとても小さくなるので、非常に小さい角度まで測れるのです。今後、技術の進展とともに、三角測量による距離の測定は、ますます進歩するでしょう。しかし、今の時点では、この程度です。

 余談になりますが、この人工衛星の名前である、ヒッパルコスという人物ですが、この人は、紀元前150年頃の学者で、地球上の離れた二点から月の中心を見て、三角測量によって月までの距離を求めた人物です。

2.もっと遠くへ

 でも、参考書なんかを見ると、例えば「アンドロメダ大星雲までの距離は210万光年」とか書いてありますが、そういうのは一体どうやって測っているのでしようか。

 実は、意外にも、ここである種の変光星が活躍します。変光星にもいろいろな種類がありますが、ここで使える変光星は、ケフェウス座δ型変光星(セファイド)という種類の脈動変光星です。

 セファイドは、光度と変光周期が関係していて、変光周期が分かると光度を知ることができます。つまり、その星の絶対等級(その星が地球から10pcの距離にあった時の明るさ)が分かるので、見かけの明るさと絶対等級の関係から、その星までの距離を求めることができるというわけです。つまり、遠くの球状星団や、銀河でも、そこにセファイドを発見すれば、距離を求めることができるのです。

 他にも、連星の軌道周期を用いて距離を求める方法や、分光観測によって距離を求める方法などがありますが、それらについては、追って説明を加えようと思います。

(高校二年生のC.Iさんからの原稿)


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