秋の星座

秋の星空

各星座の名前をクリックすると星図が表示されます

1.やぎ座

 やぎ座は、黄道十二星座の一つとしてのみ有名な星座です。3等星が2つ、4等星が7つという、ぱっとしない星座です。球状星団M30、黄色の3等と青白の6等の二重星のβ星がある以外は、見どころはありません。

2.けんびきょう座

 けんびきょう座は、やぎ座の南、いて座の東にある、目立たない星座です。3つの5等星で構成されていて、見つけるのも困難な上、特に見るべきところもなく、何もない星座です。

3.みずがめ座

 みずがめ座は、黄道十二星座の一つとして有名な星座です。広い割に目立つ星がなく、寂しい星座ですが、γ星、ζ星、η星、π星で作られる「三ツ矢」はけっこう分かりやすいものです。

 この星座には、2つの有名な惑星状星雲があります。一つは、NGC7293「らせん星雲」(6.5等)、もう一つは、NGC7009「土星状星雲」(7.2等)です。とくにらせん星雲は、淡いものの、最大の惑星状星雲なので、見ておくべきです。また、M2という球状星団もあり、こちらもお勧めです。

4.こうま座

 こうま座は、いるか座の東にある、小さくて目立たない星座です。観測スポットといって、せいぜい黄色の5等星(実は二重星)と青の7等星のコントラストの美しい、二重星(三重星?)のイプシロン星があるくらいで、それ以外は、本当に何もありません。

5.みなみのうお座

 みなみのうお座は、秋で唯一の1等星、フォーマルハウトのある星座として有名な星座です。黄色の4等星と白の8等星に分離できる二重星のβ星がありますが、地平線に近いため、色までは分からないでしょう。

6.つる座

 つる座は、みなみのうお座のさらに南にある、けっこう目立つ星座です。2つの2等星があるため、確かに見つけやすいのですが、地平線ギリギリなので、かなり濁ってしまっています。特に見るべきところはありませんが、地平線に立ちすくむ一羽のつるの姿を描いてみるのもいいかと思います。

7.とかげ座

 とかげ座は、はくちょう座とアンドロメダ座の間にある、クネクネした細長い星座です。「クネクネした」という表現が、全天でもっとも似合う星座で、形を追ってみると案外楽しいかも知れません。

8.ペガスス座

 ペガスス座は、四辺形で有名な星座で、秋の代表とも言える星座です。ただし、四辺形の頂点の一つは、アンドロメダ座α星(もともとはペガスス座δ星とも呼ばれていた)です。これも含めて、四辺形は、2つの2等星と2つの3等星ということになっていますが、2等星のうち1つは変光星で、3等星にもなります。とは言え、明るい星の少ない秋の空では、非常に目立つものです。観測スポットというと、6.0等の球状星団M15があります。

9.うお座

 うお座は、黄道十二星座の一つとして、2匹の魚をリボンで繋ぐという奇妙な発想と共に有名な星座です。ペガススに向かって開くV字型を辿ってみるのは、なんとも秋らしい暇つぶしだと思います。η星の近くにある渦状銀河M74は、9.3等の明るさで、口径8cmの望遠鏡で渦を確認できます。

10.アンドロメダ座

 アンドロメダ座は、アンドロメダ大星雲M31があることで有名な星座です。2等星が3つあるので、かなり見つけやすい星座だと思いますが、やはり、形を追うより銀河に目がいってしまうものです。

 M31は、最も近い渦状銀河で、距離は約210万光年。伴銀河として、M32とNGC205を側に従えています(銀河系に大マゼラン雲と小マゼラン雲があるように)。銀河系とM31は、「局部銀河群」と呼ばれる銀河の集団の中で中心となっている銀河で、M31の方が少し銀河系より大きめだといわれています。他のメンバーは、それぞれの伴銀河と、さんかく座の渦巻き銀河M33などで、まだまだ他にもたくさんあるのですが、吹けば飛ぶような小さいものばかりです。局部銀河群は、「おとめ座銀河団」と呼ばれる、物凄い銀河の集団の支配下にあって(重力的なもの。決して、武力・財力・政治力・色仕掛けなどによるものではありません。)、共におとめ座銀河団の支配下にあるほかの銀河群などとあわせて、「局部超銀河団」を形成しているのですが、私達はかなり隅の方にいるようです。

 実際に観測する、という話になると、けっこう身近な話になります。肉眼でも中心部は見ることができ、双眼鏡でハッキリと形を把握でき、10cmの望遠鏡なら暗黒帯が2本ほど見えたりします。また、M32とNGC205は双眼鏡でも見ることができ、小口径の望遠鏡でも十分に銀河だと分かります。

11.ちょうこくしつ座

 ちょうこくしつ座は、フォーマルハウトの東にある、目立たない星座です。どこがどう「彫刻室」なのかはまったく分かりません。彫刻室座銀河群といわれる銀河群があったりして、この星座には、実は、多くの銀河が見られます。一番お勧めなのは、NGC253で、8.9等の明るさで、双眼鏡でもけっこう見えます。

12.さんかく座

 さんかく座は、渦巻銀河M33で有名な星座です。中には、肉眼で見えるという人もいますが、多分見えないでしょう。6.3等の明るさで、大望遠鏡で見ることができれば、見事な渦巻きを拝めるでしょう。しかし、小望遠鏡では、いまいちぱっとしないかも知れません。この銀河も、局部銀河群のメンバーで、現在分かっている範囲では、M33、銀河系に続いて、局部銀河群中第三位の大きさを誇っています。

13.ほうおう座

 ほうおう座は、エリダヌス座のアルケナルとみなみのうお座のフォーマルハウトの間にある2等星が目印となる、あまり有名でない星座です。しかし、3等星が2つあり、秋の星座では派手な方です。とは言え、何しろ高度が低いので、見つけにくいです。しかし、秋の南天低く並ぶ、鶴と鳳凰の姿を確かめられたら、結構いい気分でしょ。

14.くじら座

 くじら座は、変光星ミラ(ο星)があることで有名な星座です。ミラは、だいたい3等星から9等星までの間で変光しているのですが、10等以下になったり、2等以上になったりすることもあります。この星座は広い星座で、2等星が1つ、3等星が1つか2つ、というのは少し寂しいです。しかし、雄大な星座ですので、ぜひ、この突然変異でうまれた鯨を見つけてみて下さい。

15.ろ座

 ろ座は、エリダヌス座、ほうおう座、くじら座などに囲まれた、低くて小さくて目立たない星座です。4等が1つに他は5等星、という貧弱な構成です。「ろ座銀河団」があることなどから、非常に多くの銀河におおわれていて、ちょうこくしつ座とともに、「秋のかみのけ座」とでも言えるような星座です。

16.おひつじ座

 おひつじ座は、黄道十二星座の一つとして有名な星座です。くじら座の北、おうし座の西、ペルセウス座の南にある、ぱっとしない星座で、唯一の2等星が目印ですが、γ星は二重星になっていますが、特にこの星座を見てみることもないでしょう。形を追っても何も面白いことはありません。羊などどこにもいません。

(石田千郷)

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