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かに座は、ふたご座としし座の間にある星座で、めぼしい星はないものの、黄道12星座の一つであるということ、M44プレセペ星団と呼ばれる、非常に明るい散開星団があることで有名です。
プレセペ星団は、510光年の距離にあって、6等から17等までの星が577個集まっていて、全体では3.7等の明るさです。四つの4等星のうちの、真ん中にある星の近くにあって、肉眼でも、ぼんやりとではありますが確認することはできます。双眼鏡や、小さな望遠鏡でも、たくさんの星が見られます。初心者向けの絶好の天体です。
かに座には、もう一つ散開星団があります。α星の近くにある、M67という星団です。8等から12等までの星が約80個集まっていて、全体では6.3等の明るさです。口径6cm程度の望遠鏡で、かなりたくさんの星が見えます。
らしんばん座は、昔、「アルゴ座」という広い星座だったものが、広すぎるために4分割された時にできた星座の1つです。元アルゴ座の、他の星座は、とも座、りゅうこつ座、ほ座の3つです。明るい星がない上に南中高度が低いので、非常に目立たない星座ですが、観測してみたい場所も、無くはありません。
ζ星の近くに、8.3等の散開星団がありますが、観測するなら、ほ座との境界近くにある、9.8等の散開星団の方がお勧めです。この散開星団をよく見てみると、中に13等の惑星状星雲が見えます。ただし、この光景を見るためには、口径15cm以上の望遠鏡が必要です。
やまねこ座は、ぎょしゃ座とおおぐま座の間にある星座で、3等星が一つある以外は、暗い星ばかりの、目立たない星座です。見どころといって、あまり見当たりませんが、ひとつ、二重星を紹介しようと思います。それは、唯一の3等星の近くにあって、口径6cmの望遠鏡で分離できます。青と黄色の対比が美しい二重星です。
ポンプ座は、うみへび座とほ座の間にある、目立たない星座で、δ星、ζ星という、2つの二重星がある以外は、見るべき場所はありません。
ろくぶんぎ座は、うみへび座としし座の間にある、非常に目立たない星座です。しし座の近くにある、35番星というオレンジ・赤紫の二重星(6等)、5等星のγ星とε星の間にある、9.3等の楕円銀河などが見どころです。
こじし座は、おおぐま座としし座の間にある目立たない星座です。ひまな人は、形をたどってみるのもいいかも知れません。
うみへび座は、非常に長い星座で、その長さのせいで、全天で最も広い星座になっています。その頭からしっぽの先までを辿って行くというのも、なかなか楽しいものです。アルファルドという名前のついた、赤い2等星があって、それ以外は、3等星が3つだけなので、大きさの割に淋しい星座です。
この星座には、M48(双眼鏡で見える)という球状星団、M83(口径10cmの望遠鏡で十分)という銀河がありますが、最もお勧めの観測ポイントは、NGC3242、木星状星雲という名の、惑星状星雲です。形状が木星に似ていることからこの名前がついたのですから、別に双眼鏡でも見えますが、単に存在を確認するだけではつまらないでしょう。口径6cmくらいの望遠鏡でも、がんばれば丸い様子を見ることはできますが、8cm以上のもので観測したいところです。
しし座は、もう、非常に有名な星座です。黄道12星座の1つだということ、1等星のレグルスがあるということ、2等星のデネボラが春の大三角の一角をなしているということ、そして、しし座流星群が流星雨になる可能性を持っていることなど、有名な点がたくさんあります。1等星が1つ、2等星が2つ、3等星が3つあり、形を把握するのがけっこう簡単なので、星空に一匹の獅子を見てみるというのもいいかと思います。
しし座流星群は、毎年11月17日頃に極大を迎える流星群で、今年もまた、流星雨の期待がかかっています。この流星群は、2等星のγ星辺りを輻射点としているのですが、この星は、アルギエバという名前の二重星で、口径5cmくらいの望遠鏡でも楽に見える、オレンジと黄色の組み合わせの重星です。
また、もう1つ見どころをあげておきましょう。レグルス、デネボラ、アルギエバを結ぶ三角形付近には、非常にたくさんの銀河が点在しています。ただし、明るいものでもせいぜい9.1等程度なので、最低でも口径8cm以上の望遠鏡で観測したいところです。銀河というものは、おそらく、人間が見ることのできるものの中で、一番大きいものだと思いますので、ぜひ、たくさんごらんになって下さい。
コップ座は、うみへび座としし座の間にある星座で、目立たない星座です。分かりやすい形をしているので、ぜひ、蛇の背中に置いてある、不安定なコップをさがしてみて下さい。
からす座は、うみへび座とおとめ座の間にある目立たない星座で、主な見どころとしては、紫と黄色の二重星である、4等星のδ星、δ星の南西にある、10.8等の惑星状星雲があります。これらは、小望遠鏡で十分に楽しめるものですが、口径10cm以上の望遠鏡があれば、NGC4038と4039という、二つの衝突している銀河を見ることができます。
かみのけ座は、うしかい座、しし座、おとめ座などに囲まれた、目立たない星座です。目立たない割には、実はたくさんの微星があって、目が慣れてくると、18個程度の星を確認することができます。この星座は、銀河系の北極に位置しているため、星や星間物質が少なく、宇宙の結構深いところまで見渡せます。そのため、かみのけ座周辺には、おびただしい数の銀河が見られます。これらの銀河は、主に「おとめ座銀河団」「かみのけ座銀河団」「かみのけ座沂竕ヘ群」「りょうけん座沂竕ヘ群」などに属している銀河たちです。ただし、これらの銀河を観測するためには、最低でも口径10cm以上の望遠器用は欲しいところですが。
代表的な銀河を一つあげておくと、M64黒眼星雲というのがあります。中心部に大規模な暗部があるため、このような名前がつけられています。銀河自体は、口径6cmの望遠鏡でも確認できますが、黒眼の部分を見るためには、口径20cmくらいの望遠鏡が欲しいです。
お手ごろな観測スポットとしては、Mel111という散開星団があります。全体で4等程度の明るさがあるので、肉眼でも見えますが、双眼鏡で見ると、視野一面に星がちりばめられていて、非常に美しい光景が見られます。この星団は、地球から300光年の距離にあって、全天で、おうし座のヒヤデス星団の次に近くにある散開星団です。
おとめ座は、春の星座としては、しし座と並ぶもっとも有名な星座です。しし座やかみのけ座の説明のところで、たくさんの銀河があるということは紹介しましたが、おとめ座も、それらに負けず劣らず、たくさんの銀河があります。M58、M59、M60、M86、M87、M90...などなど、数えきれないほどの銀河があります(9〜10等くらい)。ここでは、最も有名なものを一つ紹介しておきましょう。
スピカの西にある、M104という銀河は、その形から、「ソンブレロ星雲」と呼ばれています(「ソンブレロ」はメキシコの帽子)。9.3等という明るさなので、口径5cmの望遠鏡で見えますが、形を楽しむなら、最低でも口径10cm望遠鏡は必要でしょう。
おとめ座のもう一つの見どころとしては、地味ですが、おとめ座のγ星で「ポリマ」という名前の連星があります。黄色と白の2つの3.6等星で、口径8cmの望遠鏡なら、楽に見ることができます。
りょうけん座は、おおぐま座とうしかい座の間にある小さな星座です。3等星のα星、コール・カロリを、春の大三角のアークトゥルス、デネボラと結んでできる菱形を、「乙女のダイヤモンド」「春のダイヤモンド」などと呼ぶこともあります。
この星座も、たくさんの銀河でおおわれています。9.3等のM63、8.6等のM106、7.9等のNGC4736など、観測したいところはたくさんありますが、最も有名なのは、「子持ち銀河」の名前で知られるM51です。8.4等と9.5等の2つの銀河がくっついているように見える銀河で、口径8cmの望遠鏡でこの様子を見ることができます。
ダイヤモンドの一辺の、コール・カロリ、アークトゥルス間には、M3という球状星団があります。6.4等の明るさで、肉眼では恒星とあまり区別がつきませんが、望遠鏡で観測すると、なかなか見事な姿が拝めます。
うしかい座は、春の最輝星、アークトゥルスで有名な星座です。しかし、その割には知名度の低い星座です。見どころは非常に少ないのですが、一度は見ておきたいスポットがあります。それは、2.7等と5.1等の二重星のε星で、「最も美しい星」という意味で、「プリケリマ」という愛称で呼ばれています。口径6cmの望遠鏡で黄色と青の対比が楽しめます。
かんむり座は、うしかい座とヘルクレス座の間にある星座で、ただ目で冠の形を追うだけでも楽しめる星座です。1つの2等星、4つの4等星、2つの5等星で飾られる冠は、なかなか美しいものです。おそらく、この星座は、春の星座の中で、一番整った形をした星座でしょう。