南半球の星座

南半球の星空

各星座の名前をクリックすると星図が表示されます

1.カメレオン座

 カメレオン座は、天の南極近くにある、目立たない星座です。日本からは全く見ることができず、南半球に行ったとしても、暗い星ばかりなので見るのに苦労する星座です。

2.みなみじゅうじ座

 みなみじゅうじ座は、サザンクロスとして非常に有名な星座です。東京付近では、全く見ることはできません。この星座は、また、指極星としても有名です。γ星とα星を結んで、その長さを5倍延長したところに天の南極があるのです。北半球で、北斗七星やカシオペヤ座などが果たしている役割を、南半球ではサザンクロスが果たしているのです。このクロスは、2つの1等星と1つの2等星、3等星によって成り立っています。それだけでも、非常に見る価値のある星座だと思うのですが、この小さな星座には、後2つ、素敵な宝物があるのです。

 ひとつは、β星の近くにある、散開星団NGC4755です。余りの美しさに、19世紀のイギリスの天文学者、ジョン・ハーシェルは、この星団を、「宝石箱」と名付けました。全体で5.2等の明るさで、双眼鏡でも十分に楽しめます。

 もうひとつは、コール・サック(石炭袋)と呼ばれる、暗黒星雲です。天の川が見えれば、この暗黒星雲を見ることは容易です。天の川の1ケ所に、サザンクロスほどの大きさの穴があいているのです。

3.はえ座

 はえ座は、サザンクロスの南にある、小さい星座です。3等星が2つあるので、蠅の存在自体は容易にわかるでしょう。12等の惑星状星雲IC4191、球状星団NGC4372あたりが、大きな望遠鏡でちょうどいい見どころです。

4.コンパス座

 コンパス座は、ケンタウルス座の南東にある、目立たない星座です。確かにコンパスっぽい形をしていますが、暗い星ばかりなので見つけるのは簡単ではないでしょう。

5.ケンタウルス座

 ケンタウルス座は、太陽の隣の恒星、α星(リギル・ケンタウルス)があることで有名な星座です。1等星が2つもあり、南天一の大星座とも言えるのですが、2つの1等星を見るためには、九州より南に行かなければなりません。2等星が2つ、3等星が7つもあります。

 この星座の最大の見どころといったら、やはり、全天一の球状星団、NGC5139「ω星団」でしょう。3.6等の明るさで、肉眼でも十分見えます。理論的には、北緯43°以南(札幌より南)ならば見ることができますが、地平線すれすれのω星団は、星雲か星団かすら判別できません。沖縄以南へ行くと、口径8cmの望遠鏡くらいでも、すばらしい眺めとなるでしょう。いて座に、「オメガ星雲」というのがありますが、名前は似ていても、名前の由来は全く違います。ω星団が、バイエルが恒星と間違えて「ケンタウルス座ω星」と名付けたのが理由となっているのに対して、オメガ星雲は、ギリシア文字の「ω」に似ているためにこの名前が付きました。

 8.0等の銀河、NGC5128もかなりお勧めです。豪華な星座ですね。

6.みなみのさんかく座

 みなみのさんかく座は、ケンタウルス座の南東の方にある、2等星と2つの3等星で形作られる、けっこう目立つ星座です。北天にあるさんかく座よりもはるかに目立ちます。この星座の北にある、じょうぎ座との境界線付近にいくつかの散開星団があって、それらを追ってみるのもなかなか楽しいかと思います。

7.じょうぎ座

 じょうぎ座は、みなみのさんかく座の北、さそり座の南西にある、目立たない星座です。前にも書きましたが、みなみのさんかく座との境界近くにいくつか散開星団があり、これを1つの視野におさめて双眼鏡で見られれば、それなりに楽しいでしょう。

8.ふうちょう座

 ふうちょう座は、みなみのさんかく座の南、はちぶんぎ座の北にある、名前の割に暗い星座です。4等星が4個、観測可能な星雲・星団の類いは、9.5等の球状星団6101くらいしか見当たらない、という、地味な星座です。

9.さいだん座

 さいだん座は、さそり座の南にある、けっこう見つけやすい星座です。3等星が3つあって、形も単純なので、目立つわけではないものの、分かりやすい星座です。しかし、特に見てみたいところはありません。

10.ぼうえんきょう座

 ぼうえんきょう座は、いて座の南にあるみなみのかんむり座の、さらに南にある、細長くて目立たない星座です。8.3等の球状星団NGC6584がありますが、あまり、望遠鏡を向けてみることもないでしょう。

11.くじゃく座

 くじゃく座は、ぼうえんきょう座とはちぶんぎ座の間にある、またまた目立たない星座です。ピーコックという2等星がありますが、それ以外は暗い星ばかりです。5.4等の球状星団NGC6752は、凄く目の良い方なら、肉眼でも存在を確認することができるかも知れません。

12.はちぶんぎ座

 はちぶんぎ座は、天の南極を支配する星座として有名な星座です。天の北極には北極星が2等星で輝いているのに対し、南極には、南極星と呼べる星はありません。この星座には、3等星以上の明るい星はなく、ぱっとしない星座なんです。

13.インディアン座

 インディアン座は、くじゃく座とつる座の間にある、目立たない星座です。この辺り、目立たない星座が続きましたが、この星座は、名前だけは目立つ星座ですね。

14.きょしちょう座

 きょしちょう座は、全天2の明るさを誇る銀河、小マゼラン雲のあることで有名な星座です。ほうおう座・つる座の南にあって、かなり見どころのある星座です。

 小マゼラン雲は、私達の銀河系の所属する、局部銀河群のメンバーの一人で、大マゼラン雲などとともに銀河系の重力に支配されています。17万光年の距離にあって、1.5等ほどなので、肉眼でも十分見ることができます。双眼鏡で見ると、視野いっぱいに広がって見えます。

 NGC104は、4.0等の明るさの球状星団です。全天で2番目の明るさを誇る球状星団で、見事なものです。

15.みずへび座

 みずへび座は、アルケナルの南にある、目立たない星座です。大マゼラン雲と小マゼラン雲に挟まれていて、地味な星座です。

16.とけい座

 とけい座は、エリダヌス座の南東にある、非常に目立たない星座です。一応、東京でもこの星座の北の方なら見ることができます。誰も見ないかも知れませんが。

17.レチクル座

 レチクル座は、大マゼラン雲の北西にある、小さな星座です。3等星が1つある以外は、目立つ星はありません。NGC1313という9.5等の銀河がある以外は、見たいと思うところはありません。

18.かじき座

 かじき座は、大マゼラン雲があることで有名な星座です。大マゼラン雲は、いうまでもなく、全天で最も明るい銀河です。私達の銀河系の隣にある銀河で、15万光年の距離にありますが、実は衝突している、という説もあります。全体で0.5等ほどの明るさがありますが、それは、あくまで「全体の」光度であって、実際に0.5等の恒星のように見えるわけではありません。期待し過ぎないようにしましょう。

 この銀河の中には、NGC2070「タランチュラ星雲」という散光星雲があります。これは、とてつもなく大きな散光星雲で、例えばもしもオリオン大星雲と同じ距離のところに持ってきたら、地球から見ると、40°ほどの大きさに見えるでしょう。

19.がか座

 がか座は、カノープスの南西にある、非常に目立たない星座です。「画家」ではなくて、「画架」であることに注意しましょう。

20.テーブルさん座

 テーブルさん座は、大マゼラン雲の南にある、全天屈指の目立たない星座です。しかし、天の南極の近くにあって、年中「裾野」の部分は見えるでしょうし、頂上には常に「雲」がかかっていて山らしい姿ですし、一回くらい見ておきたい星座です。

21.とびうお座

 とびうお座は、りゅうこつ座の南にある、「8の字型」の目立たない星座です。とくに、見ておきたいところもありませんし、このあたりで、「南半球の星座」のコーナーは終わりにしようと思います。

(石田千郷)

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