各星座の名前をクリックすると星図が表示されます
おおかみ座は、ケンタウルス座(南天の星座のところで紹介します)とさそり座に挟まれた、目立たない星座です。4つの3等星、6つの4等星が無造作に並んでいて、NGC5986という7.6等の球状星団がある以外は、あまり見どころはありません。
てんびん座は、黄道十二星座の一つとして有名な星座です。しかし、おとめ座とさそり座に挟まれて、それほど明るい星もなく、知名度の割に全然目立たない星座です。どこがどう天秤なのか、いまいちよく分かりませんが、もともとこじつけで作った星座のようなので、仕方のないことでしょう。3つの3等星と、1つの4等星で作られる四角形の北端のβ星は、緑色に見える星、ということで一度確かめておきたいところです。
へび座は、間に他の星座をはさんで二分される、という、珍しいタイプの星座です。間に入るへびつかい座の、西側を頭部、東側を尾部といいます。
頭部でお勧めのポイントというと、球状星団としては全天で五本の指に入るであろうM5と、3等のα星の北にある、白い4等星と5等星の二重星があります。
尾部では、3等のη星のずっと南にある散開星団M16(周りに散光星雲がある)、η星の北東にある、黄色い2つの5等星からなる二重星辺りがお勧めの観測スポットです。
さそり座は、黄道十二星座の一つであること、赤い1等星アンタレスがあること、そして歌手の美川憲一さんが歌ったことなどで、非常に有名な星座です。2等星が3つあり、3等星が11個もある、大変豪華な星座です。まずは、夏の「ドン」の魅力的な形を追ってみましょう。さそり座のない夏はありません。
λ星やG星の方にある2つの散開星団M6(4.2等)、M7(3.3等)は、双眼鏡で一つの視野におさめて見るのがお勧めです。アンタレスの近くにある2つの球状星団M4(6.4等)、M80(7.2等)なども、見ておきたいところです。また、μ星、ξ星、ζ星、β星、ν星など、二重星がたくさんあります。まあ、そんなにたくさん二重星ばかり見ていても飽きてしまうでしょうから、青と赤の対比の美しいζ星だけを勧めておきます。
へびつかい座は、黄道上の第十三の星座として有名な星座です。2等星のα星と、6つの3等星などで形作られるこの星座は、案外存在感のあるものです。β星の東にある10等星は、バーナード星と呼ばれている有名な星で、固有運動が無茶苦茶速いことで有名です。秒速100kmで地球に向かってきていて、現在でも約6光年という近距離にあるのが、8000年後には4光年の距離まで来る予定です。
α星の東にある4.9等の散開星団もお勧めですが、たくさんの球状星団があるので、そちらも推薦しておきます。η星の近くにある7.0等のM9、西の方にある6.6等のM10とM12、さそり座のアンタレスの近くにある6.9等のM19などがお手ごろではないでしょうか。他に見どころとして挙げておきたいのは、β星の近くの2つの二重星です。黄色の4等星と紫の8等星に分かれる67番星、黄色の4等星と青の6等星に分かれる70番星の2つです。
ヘルクレス座は、北天一の球状星団、M13があることで有名な星座です。5つの3等星と10個の4等星からはヘラクレスの姿を想像するのはほぼ不可能ですが、M13を見つけることは容易でしよう。5.7等の明るさで、肉眼でもがんばれば見ることができますが、大きな望遠鏡をとおしてみると、すばらしい眺めとなるでしょう。また、その北東には、M92という6.1等の球状星団もあって、こちらもなかなかのものです。
あと、二重星の好きな方にお勧めなのは、α星(赤の3等と黄色の5等)、δ星(青白の3等と黄色の8等)、ρ星(青白の5等と黄色の6等)などです。
みなみのかんむり座は、いて座の南、さそり座の東にある、小さくて目立たない星座です。「元祖」かんむり座にくらべると、かなり物足りない感じがします。見どころは特にありませんが、しいてあげるとすれば、5等星、9等星、10等星の3つからなる三重星があります。
たて座は、いて座、へび座、わし座などに囲まれた、夏で最もマイナーな星座です。万が一、この星座に目を向ける方がいらっしゃいましたら、2つの散開星団、5.8等のM11、9.3等のM26などをどうぞ。
こと座は、夏一番の輝星、織女星ベガがあることで有名な星座です。小さい星座ですが、いくつかお勧めのポイントがあります。
まず、二重星ファンの方にお勧めなのは、ε星です。これは、二重星な上に、それぞれがまた二重星になっているという、四重星です。これは、口径5cmの望遠鏡で確かめることができます。「量より質だ」という方には、ζ星がお勧めです。黄色の4等星と緑の6等星の対比が美しく、なかなかの評判です。
しかし、こと座といったら、天文関係のガイドブックには必ずのっている、惑星状星雲M57(「リング星雲」「環状星雲」「ドーナツ星雲」などの愛称)がまず思い浮かぶでしょう。9.7等の明るさで、5cmの望遠鏡では卵のように見え、8cmになると、ドーナツらしくなってきて、もっと大きいもので見ると、あの有名な姿を目の当たりにすることができるでしょう。
いて座は、黄道十二星座の一つであるということと、おおぐま座の北斗七星に対抗する、南斗六星があることで有名な星座です。2つの2等星と、8つの3等星があって、かなり目立つ星座です。観測スポットもたくさんあり、夏で一番楽しめる星座だと言えます。
5.8等のM8は、干潟に似ていることから、「干潟星雲」とか「ラグーン星雲」とかいう呼び名で呼ばれています。よく見ると、この星雲の中に散開星団があることが分かります。
9.0等のM20は、3つに割れているように見えることから、「三裂星雲」と呼ばれています。口径10cmの望遠鏡で見ると、割れている様子が分かります。
8.9等のM17は、ギリシア文字の「Ω」の形に似ていることから、「オメガ星雲」と呼ばれています。10cm以上の望遠鏡で見ると、神秘的な感じさえします。
他にも、散開星団M17、M23、M24、M25などが双眼鏡でも見え、球状星団M22、M28などが、6cmの望遠鏡でも恒星と判別できる、お手ごろな観測スポットがたくさんあります。
わし座は、牽牛星アルタイルがあることで有名な星座です。この星座からわしの形を想像するには、かなりの想像力を必要としますが、不可能ではないでしょう。暗黒星雲が天の川に黒いシミを作っている以外は、案外見るべきところはなく、もし、15cm以上の望遠鏡を持っていらっしゃる方なら、アルタイルの西にある惑星状星雲NGC6781などを御覧になるといいでしょう。
や座は、アルタイルの北にある、細くて目立たない星座です。球状星団M71(8.3等)がある以外は、特に何にもありません。
こぎつね座は、「亜鈴星雲」の愛称で親しまれている惑星状星雲があることだけで少し有名な星座です。M27亜鈴星雲は、8.1等の明るさ(みずがめ座の「らせん星雲」に次いで惑星状星雲の中では2位)で、小さい望遠鏡でも形は分かり、大きい望遠鏡なら濃淡まで分かります。
いるか座は、アルタイルの北東にある小さな星座ですが、明るい星がない割にはけっこう目立つ星座です。星座絵ではかなりの存在感がありますが、α星・β星・γ星・δ星によってできる菱形も、それなりに存在感があります。γ星は黄色と青緑の5等星の、非常に美しい二重星です。
はくちょう座は、1等星デネブと、それを頂点とする「北十字」で有名な星座です。最近では、ブラックホールの可能性が高いという、はくちょう座X−1なども有名ですが、それ以外にもたくさん名所があって、一晩中見ていても飽きない星座です。
まずは、NGC7000北アメリカ星雲と、NGC6960とNGC6992〜5(全部まとめて)網状星雲という、2つの有名な散光星雲を紹介します。北アメリカ星雲の方は、おかしいほど北アメリカに似ていて、肉眼でも済んでいれば見ることができます。網状星雲は、超新星爆発の残骸で、今こうしている間にも広がり続けています(もちろんその様子を見ることはできません)。双眼鏡でもどうにか見えます。
また、散開星団M39(5.0等)もけっこうお勧めですが、天の川にもたくさん散開星団があって、その光景を見るのも非常によろしいかと思います。
χ星は変光星で、約400日の周期で、3等星から14等星まで変わります。観測しやすい変光星ですし、妙に赤かったりするので、一見する価値はあると思います。
最後に紹介するのは、全天で最も美しい(と思われる)二重星、β星(アルビレオ)です。オレンジの3等星と青の5等星の対比は、夏の夜空の中でも最高です。