低身長と成長ホルモン
子どもの成長
子どもは、生まれてから思春期を終え、大人に
なるまでに身長は約3〜3.5倍、体重は約17〜20
倍に成長します。
この間の身長の伸びる速度や伸び方は、年齢
によって異なりますが、人によってもさまざまです。また、思
春期が、早い時期にくるか、遅めにくるかによっても成長の
パターンは変わってきます。
しかし、平均してみると小学校入学の前後から思春期がくる前まで
の間は、1年間に5〜6cm伸びると考えてよいでしょう。
"低身長"とは
"低身長"とは、同性同年齢の人の平均身長
よりも身長が著しく小さいことをいい、成長期にあ
る子どもの場合では、何らかの原因で身長が伸
びる速度が遅くなり、他の子どもと同じように成長
できないことを意味しています。
"低身長"であるかどうかは、子どもの「身長」と
「1年間の身長の伸び」をめやすに判断すること
ができます。次の2項目の両方、あるいはどちらか
に当てはまる場合は、注意が必要です。
低身長のチェックポイント
1.身長が同性同年齢の子どもの平均値よりも
「−2SD以下」の場合
2.1年間の身長の伸びが同性同年齢の子どもの
平均値の80%以下かっこ(小学校低学年では約4cm以下
が続く場合
*−2SDとは?
成長曲線のグラフには、男女別の身
長の平均値のほかに「SD」「2SD」が
書かれています。
SDとは、専門的には
"標準偏差"といい、同年齢での身長
のバラツキの度合を表わしています。
通常、身長が標準偏差の2倍以上低
い場合(−2SD以下)を"低身長"とい
います。
[背が伸びない原因]
"低身長"をきたす原因としては、栄養障害、ホ
ルモン(成長ホルモン、甲状腺ホルモン)の不
足、染色体の異常、骨の病気などいろいろありま
す。
これらの原因何の中には、治療の難しいものが
ありますが、栄養障害やホルモンの不足によるも
のは、治療により正常な身長に近づけることが可
能です。
[大きな成果をあげているヒト成長ホルモンによる治療]
"低身長"のうち、脳下垂体から分泌される成長ホル
モンが不足して起こるものを"下垂体性小人症"といいます。
この病気は、治療しないでい
ると男児で130〜140cm以下、女児で120〜
130cm以下で成長が」Lまってしまうことがあり
ます。
治療としては、骨が固まらないうち(思春期にな
る前)に不足している成長ホルモンを注射で補
ってやることにより、身長を伸ばすことができます。
ヒト成長ホルモンの注射は、成長期の間はずっ
と打ち続ける必要があります。
最近では、遺伝子工学の進歩により質のよい
ヒト成長ホルモンが作れるようになり、安心して治療が受けられます。
[早期が発見、治療が大切]
背が低くても、「そのうち、伸びるたろう」とついつい
見過ごしがちですが、ヒト成長ホルモンによる治療は
、なるべく早い時期から開始した方が、大き
な効果が期待できます。
背が低いことは、劣等感
やいじめの原因ともなり、精神的にも大きな影響
を与えますから、なるべく早い時期に治療してあげ
たいものです。
★ヒト成長ホルモンの治療を開始するかどうか
は、正確に診断して決めますそのためには、き
ちんとした検査を受ける必要があります。
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