『自転車』


 自転車は一番手軽な交通手段だ。たいていの人は、初めてのトランスポーターとして三輪車から乗り始め、次に補助輪の付いた自転車へ移行していく。自転車に乗れるようになったときに自分のテリトリーが広がるわけで、これはとても嬉しい。さらに、片手運転や手放し運転にウィリーやジャンプというのも覚えようとする。もちろん「環境問題を考えても・・・。」というようなことはまったく考えなくても、好きな乗り物だ。時間さえ許せばそれなりに遠くへも行けるし、行った先で駐車スペースに困ることもほとんどない。ただ、雨が降ってきたら、濡れなくちゃならないし、買い物をしても大きな荷物は運べないというのが欠点かな。それでも、お天気の良い日に乗り出すととても気持ちがいい。
 自転車に乗るようになったのは、小学校入学前で、補助輪をはずした小さい自転車で覚え、大人の自転車「三角乗り」(サドルに乗るとペダルに足が届かないので、フレームの三角部分に足を通してペダルを踏む乗り方)したり、兄貴のお下がりを乗ったりしてた。初めて買ってもらったのが、外装3段ギアで、グリップの位置(高さ)を変えられるハンドルが付いてた。白い自転車でとっても嬉しかった。その頃はまだギア付を乗ってるのも少なかったし。で、どこまでも行ったかというと、そんなに遠くへ行くこともなく、この辺の根性の無さはその後40年近くたっても変わるものでもない。
 中学生、高校生の時は、『自転車は乗れればいい。』くらいで、家族みんなが使う自転車を愛用していた。
 大学生になり、下宿先の京都の街はメインの交通機関がバスで、しかもその乗り方がもう大変。同じ停留所から同じ終点へ行くバスが複数あり、ということは、いろんなコースがあるということで、乗り間違えるととんでもなく時間がかかってしまう。かと言って京福電鉄嵐山線だけでは、行ける所が限られてしまう。やっぱり自転車が必要になるわけで、ドロップハンドルのロードナーを購入。これで行動範囲が広がった。一度友達のサトシに「サイクリングで琵琶湖を一周しよう!」と持ち掛け、「1日で帰れる?」って聞くから「もちろん。」と『出かけてしまえばこっちのもの。』と大嘘を付いて、出発日を決めたのだが、残念なことに当日は雨。「本当に1日で帰れたのか?」と聞くので、「2日か3日はかかった。」といったら「やっぱりな。」ととても友達らしい返事をくれたのを覚えてる。ヒラダテ君とは結構サイクリングに出かけたな。嵐山はもちろん大原へも行ったっけ。そういえば、一番怖い思いをしたのが、フロントのブレーキ・ケーブルが切れたので、『直そう。』と思ってはいたのだが、ついつい先延ばしにしていたら、長い坂道を降りてる途中で、もう1本のブレーキケーブルも切れてしまい、やっと届くつま先で(基本的にサドルを高くして乗ってる。これは停めた時の見栄です。)ちょんちょんやりながら坂を降りきるまでの時間、いやぁ〜長かったっけ。坂の終わりがT字路だったのと自動車が通らなかったから良かったけど、あの時はあせったなぁ。
 その後、車の免許を取り、原付に乗れるようになると、自転車からラッタッタへと乗り換えた。しかし、とっても貧乏になってしまう時もあり、そうなるとガソリンも買えなくなり、その時はヒラダテ君の自転車とラッタッタを取り替えてもらって使ったりしてた。
 社会人になり出勤にそのラッタッタを使っていたのだが、その後、友達のカワタからロードナーを譲り受け、しばらく乗った後ほとんどいかれたので、ビーチクルーザーを購入。これは、リアにコースターブレーキ(ペダルを後ろに踏むとブレーキがかかる仕組み)があるだけで、フロントにはブレーキがないので、見た目がすっきりしていてとてもよろしい。ところが、知らない人が乗ると不便なようで、一度盗まれた時は、電柱にぶつかって転んだあと、そのまま置いてかれてしまっていた。もちろん自力で見つけ出しましたよ、駅のそばで。この自転車のタイヤはリヤカーのタイヤと同じような太さで、ギアもないため遠出に向かないという欠点がある。もともと、その名前のとおり、砂浜を走るための自転車なので街中にはむいてるはずが無い。でも、マウンテンバイクの最初はこの自転車のフレーム作ったことを考えれば自転車の歴史に貢献している。
 その後、マウンテンバイクを購入し、職場のサイクリングクラブにも加入している。この自転車には結構投資をしてて、その自転車も買って15年くらい経ち、ギアの歯もやばそうだけど、まだ現役。最近はあまり乗らなくなってしまい、たまに、子どもと片道10km前後の距離を乗るくらいだ。それでも、その時の気持ちの良さといったらないからなぁ。
 子どもが自転車を乗り出した頃、車に積んで出かけるために、折りたたみ自転車も買った。タイヤサイズが16インチというとっても小さいサイズで、ギアもないので、これも遠出はできない。
 疲れるし、汗もかくし、荷物はそんなに持てないし、と悪いところをあげればきりが無いけど、初夏の陽射しの中をペダルをこぎながら風を受けて走るというのは最高だぜ!