校正のあとに

                          木 下 信 三

  本書は野川友喜氏が私に預託された稿本をもとに作成された徳田秋声文献年表ノートである。稿本 の綴じ込まれたA4ファイルの表紙にはマジックインキで「徳田秋声についての文献年表ノート」と 記された表紙が張り付けられている。
  しかし野川氏執筆の「はしがき」には「秋声文献年表」とあるので、野川夫人と相談のうえ、本書 のタイトルを「徳田秋声文献年表ノート」とした。
  本書収録の一八九六(明治二九)年より一九六三(昭和三八)年まで、六八年間の文献年表を八つ のブロックに区切ったのは、稿本の年代別区分をそのまま踏襲したものである。
  文献年表中、たとえば一九三六年一一月の頃にみる<→昭  『藤村全集』>のような年月数や巻 数の記載を書く例がいくつか見られるが、これらはすべて稿本どおりで、あえて削除せずそのまま残 すことにした。また、一九三九年七月、尾崎士郎の項に<←昭11・4 二月二十六日、改題>とあるの も稿本のままである。
  いずれにしても、秋声に関してまったくの門外漢の手になる校正ゆえ、誤謬や不備の点少なくない かと思われる。識者の叱正を願望するとともに、泉下の野川氏に深く寛恕を請うところである。



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