◆『EUREKA(ユリイカ)』

心にトラウマを抱えて生きてきた主人公たちが、人間としての再生を求めて旅に出る、「われ発見せり」。

「人間の内面にある暴力性と世界とのかかわり」

「最初は、このストーリーがどこへ向かい、どういう結果になるか分からなかった。僕にとって、戦後の日本に対する喪の仕事のようなもの。これから新しいところへ踏み出せるかという物語です」

「一つだけ言えるのは、このような事件が起きても、何の不思議もない世界に生きているということだと思う」

「僕が最初の映画を撮ったのが映画百年の年だったんです。1995年、『Helpless』という映画です。で、そのときから僕は、映画を撮ることのモチベーションというかテーマとして、歴史との関わりということをベースにしようと決めて、ずっとやってきました。さまざまな歴史のポイントから形式的なモデルを抽出し、ストーリーに組み上げるという方法を採ってきたつもりです。あるカタストロフがあり、そこから生き残って人生をやり直していく人たちの話、というのが今回の『EUREKA/ユリイカ』のモデルですが、すべてはそこから発想したものなんです。最近の事件に限らず、戦後の歴史の、さまざまな事件とか災害とか、時代の節目節目に起きた出来事がその原型になっています。」

「悲劇の生存者の人生に対する監督の視点、映像の形式美、俳優の演技」

「普遍的価値観への深い熟慮」


監督・脚本・編集・音楽 青山真治
撮影 田村正毅
出演 役所広司、宮崎あおい、宮崎将、斉藤陽一郎、国生さゆり、光石研、本多哲郎


◆とよた真帆



◆『路地へ 中上健次の残したフィルム』
中上健次は、1992年、46歳で世を去るまで、自身の故郷である和歌山県新宮市の“路地”を見つめ続けてきたが、その“路地”は、70年代後半、地区改良事業の一環で消滅していく。その撤去に反対していた中上は消えゆく“路地”を16ミリカメラで撮影し、フィルムに焼きつけた。  松阪の市街地を車が走っている。すでにかつての“路地”の痕跡は無い。運転する男が『枯木灘』を朗読する声が聞こえる。車は42号線をひた走る。切り立った崖、萌える緑、そして海。現実の雑音と音楽が繊細に絡み合いながらカメラに切りとられる風景は、現実感覚を失う寸前で踏みとどまる、蜃気楼のような美しさだ。道はやがて終わり、男は舟で熊野川を下り、そして“路地”に辿り着く……。


監督・脚本 青山真治
撮影 田村正毅
録音 菊地信之
音楽 大友良英、坂本龍一 ほか
出演 井土紀州