卵や牛乳など食物アレルギーになりやすい食べ物は、乳幼児に早く食べさせた方が良いか、または遅く食べさせた方が良いか
20世紀後半の時代には、乳幼児の食物アレルギーについて、食物の制限によりアレルギーを治そうと考える小児科医が多くおりました。これに対して、小児科の内分泌専門医と皮膚科医はこの方針に異議を唱えていましたが、2000年に米国小児科学会が、「卵、牛乳、魚は3歳くらいまで食べさせず、なるべく遅らせるように、授乳中および妊娠中の女性はピーナツは摂らないように」というガイドラインを発表しました。その後、ランダム化試験やコホート研究など種々の疫学的な調査研究がおこなわれましたが、どれも食物制限によりかえって食物アレルギー患者が増加するというデータが出てガイドラインを否定するような結果となりました。これを受けて、2008年に米国小児科学会は、2000年に提起したガイドラインを撤回することとなりました。その後、2015年になってピーナツは乳児期から早く食べた方がアレルギー症状が少なく、また2016年には卵は早い時期に食べた方が卵アレルギーが圧倒的に少ないという論文がいずれも権威ある医学誌に発表されました。これにより、最近のこの数年の間に、20-30年前とはまったく正反対の「早く食べさせてアレルギーを予防する方がよい」という考え方が広く知れわたるようになりました。