食物アレルギーの予防と治療について
[予防] 離乳食の開始前に湿疹やアトピー性皮膚炎を起こすと、食物アレルギーを発症する率が非常に高くなります。これは皮膚のバリア機能がこわれて、食物に対するIgE抗体が産生される経皮感作のためです。生後2-3カ月くらいまでは、食物アレルギーはほとんど出ませんので、離乳食前の乳児が湿疹やアトピー性皮膚炎を起こした場合は、速やかに専門家のもとでステロイド外用薬と保湿剤などによる治療をおこなって、離乳食が始まる5-6カ月ころまでに完治させる必要があります。そして、食物アレルギーを起こしやすい卵や牛乳などの入った離乳食を早期より摂るようにします。これによりアレルギーの発症を予防します。
[治療] 食事摂取のときに、アレルギーとなる食物を完全に除去する方法は、積極的な治療にはなりません。食物アレルギーの治療の原則は、アレルゲンとなる食物の必要最小限の除去です。すなわち、アレルギー症状を起こさない程度までに少なくした量による摂取を長期間続けることです。始めは食べる量の閾値が低くても、食べ続けていくとだんだんと閾値が上がっていきます。食物アレルギーは自然寛解も高いので、知らない間に普通に食べられるようになることも多くみられます。今では、保育園、幼稚園や学校側の対応も、食物の完全除去から必要最小限の除去という方向に改善されてきています。ただし、重症アレルギーの場合は、保育園、幼稚園、学校と主治医の医師との緊密な連携が必要になります。