ママならぬ間々にNew!

2009年12月09日
例は慎重に(決して週刊新潮的にではなく)

 吉村 仁.2009.11.20.[amazon.co.jpでの登録情報では発売日は2009.11.25となっている].強い者は生き残れない:環境から考える新しい進化論.251pp.新潮選書.1,260円.

を、昨日買った。
 16頁に括弧書きで「淘汰」としているが、natural selection には「自然選択」ではなく「自然淘汰」を当てて、choiceに選択または選好を当ててほしい。

 「犬は色覚がない」とあるが、ウィキペディアの4色型色覚という項には、

爬虫類から進化した哺乳類は、はじめはこの4色型色覚をもっていたが、中生代の哺乳類は夜間の活動に適応するため桿体細胞が発達し、昼間活動することが少なかったため4種類あった錐体細胞のうち2種類が失われ紫外線を吸収できなくなり、2色型色覚となった。実際イヌ、ネコ、ウシ、ウマなどの多くの哺乳類は、 2色型色覚を持ち、これらの生物は波長420〜470ナノメートルの青い光を吸収する青錐体と、緑から赤にかけての波長の光に対応した赤錐体しか錐体細胞を持っていない。ゆえに、ヒトでいう赤緑色盲に類似した色世界に生きていることとなる。
http://ja.wikipedia.org/wiki/4%E8%89%B2%E5%9E%8B%E8%89%B2%E8%A6%9A

とあるように、犬は2色型色覚を持つとされる。むろん、人が犬の色覚そのものを経験することはあり得ず、青錐体細胞と赤錐体細胞しか存在しないという観察などからの推論であろう。上記のウィキペディアの色覚の型の変化の順序も推論である。(哺乳類が爬虫類から進化したという推論の根拠はなんだろうか?)
 本書では『環境』として,生物主体的環境を採用しているようだから、たとえば生物体野種類によって様々に異なる色覚の『進化』を例に論じてもらえるとよかった。(20頁までしか読んでいないので、もしかすると後に論じてあるかもしれない。)
  21頁では、「ネズミ算はまさに、子の数が2の時で」とある。これがネズミ算の定義ならば、違うだろう。ウィキペディアの「ねずみ算」には、「数学的には、ねずみ算は等比数列」とあり、初出とされる塵劫記では、雄雌2匹が子を12匹産み、親も生きているので、公比は7である。