さっぽろ女性会議
A. はじめに
1999年4月に統一地方選挙がおこなわれ、市議会議員が一新した。私達が選出した議員がどのように活動しているか。私達は議会における発言回数を指標として議員の通知箋をつくった。
対象の委員会は、開催回数が全議員に公平であり、発言希望者が全員発言できる以下の3特別委員会とした。
- 平成11年第2回定例会:議案審査特別委員会
- 平成11年第3回定例会:決算特別委員会
- 平成12年第1回定例会:予算特別委員会
各特別委員会は第1部と第2部に分かれる。それぞれ正副委員長が選出されており、正副委員長は質問をする機会がなく、公平感に欠けるため彼等は最後に氏名と発言回数を別記する。
B.市議会議員の現状
1.会派別議員構成
(括弧内は女性議員数)
会派名など | 議員数 | 会派名など | 議員数 |
札幌市議会自由民主党議員会 | 27(1) | 札幌市議会新政クラブ | 3(0) |
札幌市議会民主党議員会 | 13(0) | 市民ネットワーク北海道札幌市議会議員会 | 2(2) |
札幌市議会公明党議員会 | 11(1) | 会派無所属 | 1(0) |
日本共産党札幌市議会議員団 | 11(6) | 合計 | 68(10) |
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図-1会派別議員の割合 | 図-2 男女議員の割合 |
2.当選回数別人数
当選回数 | 人数 | 当選回数 | 人数 |
1回 | 14人 | 5回 | 10人 |
2回 | 16人 | 6回 | 6人 |
3回 | 11人 | 7回 | 2人 |
4回 | 9人 | 合計 | 68人 |
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図-3 議員の当選回数 |
C.調査結果
1.会派別発言回数
会派名 | 発言回数 |
札幌市議会自由民主党議員会 | 126 |
札幌市議会民主党議員会 | 103 |
札幌市議会公明党議員会 | 70 |
日本共産党札幌市議会議員団 | 124 |
札幌市議会新政クラブ | 26 |
市民ネットワーク北海道 札幌市議会議員会 | 51 |
会派無所属 | 5 |
合計 | 505 |
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図-4 会派別発言回数 |
2.質問回数と議員数
質問回数 | 人数 | 質問回数 | 人数 | 質問回数 | 人数 |
0回 | 9人 | 7回 | 1人 | 14回 | 4人 |
1回 | 6人 | 8回 | 3人 | 15回 | 2人 |
2回 | 5人 | 9回 | 5人 | 16回 | 1人 |
3回 | 3人 | 10回 | 6人 | 18回 | 1人 |
4回 | 3人 | 11回 | 6人 | 19回 | 1人 |
5回 | 3人 | 12回 | 2人 | 23回 | 1人 |
6回 | 4人 | 13回 | 1人 | 28回 | 1人 |
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図-5 発言回数別議員数 |
3.発言回数ベスト20人
(○女性議員)
順位 | 発言回数 | 氏名 | 所属会派 | 当選回数 |
第1位 | 28 | ○山口たか | 市民ネット | 3 |
第2位 | 23 | ○小林郁子 | 市民ネット | 1 |
第3位 | 19 | ○武藤光恵 | 共産 | 3 |
第4位 | 18 | 藤原廣昭 | 民主 | 2 |
第5位 | 16 | 大嶋 薫 | 民主 | 2 |
第6位 | 15 | 恩村一郎 | 新政クラブ | 1 |
三浦英三 | 公明 | 1 |
第8位 | 14 | 荒川尚次 | 共産 | 6 |
小野正美 | 民主 | 2 |
涌井国夫 | 公明 | 2 |
○坂本恭子 | 共産 | 1 |
第12位 | 13 | 鈴木健雄 | 自民 | 2 |
第13位 | 12 | ○飯坂宗子 | 共産 | 4 |
熊谷憲一 | 共産 | 1 |
第15位 | 11 | 生駒正尚 | 共産 | 4 |
原口伸一 | 自民 | 3 |
本郷俊史 | 公明 | 2 |
○青山浪子 | 公明 | 1 |
○岩村よね子 | 共産 | 1 |
○岡千陽 | 共産 | 1 |
会派別上位者数
会派名など | 上位者数/議員数 | 会派名など | 上位者数/議員数 |
札幌市議会自由民主党議員会 | 2/27 | 札幌市議会新政クラブ | 1/3 |
札幌市議会民主党議員会 | 3/13 | 市民ネットワーク | 2/2 |
札幌市議会公明党議員会 | 4/11 | 会派無所属 | 0/1 |
日本共産党札幌市議会議員団 | 8/11 | 合計 | 20/68 |
4.発言回数ワースト20人
順位 | 発言回数 | 氏名 | 所属会派 | 当選回数 |
第1位 | 0 | 佐藤美智夫 | 自民 | 6 |
柴田薫心 | 自民 | 6 |
澤木繁成 | 民主 | 6 |
川口谷正 | 民主 | 5 |
大越誠幸 | 自民 | 5 |
高橋忠明 | 自民 | 5 |
武市憲一 | 自民 | 5 |
本館嘉三 | 公明 | 5 |
村山優治 | 自民 | 4 |
第10位 | 1 | 加藤齋(副委員長) | 民主 | 5 |
常本省三 | 自民 | 5 |
福士勝(委員長) | 新政クラブ | 4 |
柿崎勲 | 公明 | 4 |
三上洋右(委員長) | 自民 | 3 |
上瀬戸正則(委員長) | 自民 | 3 |
第16位 | 2 | 常見寿夫 | 公明 | 7 |
森健次 | 公明 | 5 |
千葉英守 | 自民 | 4 |
宮本吉人 | 自民 | 4 |
小田信孝 | 公明 | 4 |
会派別議員に占める上位者数
会派名など | 上位者数/議員数 | 会派名など | 上位者数/議員数 |
札幌市議会自由民主党議員会 | 11/27 | 札幌市議会新政クラブ | 1/3 |
札幌市議会民主党議員会 | 3/13 | 市民ネットワーク北海道札幌市議会議員会 | 0/2 |
札幌市議会公明党議員会 | 5/11 | 会派無所属 | 0/1 |
日本共産党札幌市議会議員団 | 0/11 | 合計 | 20/68 |
5.正副委員長担当者の発言回数
(○数字は当選回数)
委員会名 | 委員長 | 回数 | 副委員長 | 回数 |
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平成11年第2回定例会第1部 | 原口伸一(自)B | 11 | 宮川潤(共)A | 9 |
平成11年第2回定例会第2部 | 畑瀬幸二(民)B | 10 | 勝木勇人(自)A | 4 |
平成11年第3回定例会第1部 | 福士勝(新政)C | 1 | 横山光之(自)A | 4 |
平成11年第3回定例会第2部 | 上瀬戸正則(自)B | 1 | 井上ひさ子(共) A | 6 |
平成12年第1回定例会第1部 | 三上洋右(自)B | 1 | 義卜雄一(公)B | 3 |
平成12年第1回定例会第2部 | 小川勝美(共)B | 5 | 加藤齋(民主)D | 1 |
D.考察
1. 発言回数
発言回数は0回から28回と個人差が大きい。発言0回は9名で、全議員の13.2%である。発言5回以下の議員は29人で全体の42.6%である。
2. 会派別分析
ベスト20では、ダントツの第1位、第2位はともに市民ネットワークの女性議員である。共産党も全11名の議員中8名がベスト20入りを果たし、
ワーストはゼロである。それに反し自民党はベスト20入りが全27名中2名であるの対し、ワースト20には11名と過半数を超えている。
民主党はベスト、ワーストともに13名中3名、公明党は11名中ベストに4名、ワーストに5名とともに低調な議会活動といえる。
新政クラブはベスト・ワーストともに3名中1名づつ入っている。
3. 当選回数別分析
ベスト20の8名は初当選者である。当選2回者は5名、当選3回者は3名と当選回数を重ねる毎に質問回数は減ってきている。
ワースト20は、当選7回者は2名中1名、当選6回者は6名中3名、当選5回者は10名中8名、当選4回は9名中6名が入っている。
当選回数が増えるに比例して議会での自発的質問回数が減っている。
4. 女性議員の健闘
ベスト20のうち女性議員は全10名のうち8名が入っている。発言回数を見ても総発言数505回のうち143回と28.3%を占めている。
女性議員は名実ともに、活発な議会活動をしていることがうらづけられた。中でも市民ネットの2名の議員は他を大きく引き離しトップを占めている。
また共産党の女性議員も健闘しており、これらは大きく評価できる。
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図-6男女別発言回数 |
E.まとめ
本調査を終えてまず、「女性議員の健闘」が目立った。質問をするにはそれだけの問題意識や勉強が必要だが、女性議員の誠実な取組みが議事録の上からもうかがわれた。現在女性議員は14.7%であるが次回の選挙では更なる増加を期待する。
質問回数と当選回数は反比例する傾向がうかがえた。当選回数が増えると様々な事柄に精通して、より鋭い、核心的な質問ができると思うのだが、一体なにをしているのか疑問に思った。根回しや談合に、培われた人脈を使っていると勘ぐられても仕方がないであろう。ただしベスト20に当選6回者が第8位に入っており、一概にそうとも言えず、個人的資質が大きいと言える。
自民・民主・公明各会派の質問の少なさが目立った。人数の多い会派は、先輩議員は後輩議員を養成するため発言の機会を譲る傾向があると聞く。しかしそれは会派内の問題である。
政権与党として桂市政を支持する立場であっても、行政に関して積極的に質問をし、市当局には更なる前進を促し、わかり易く市政を市民に伝える義務がある。
他都市の議員によると、議員がどのような質問をしたらよいか行政当局に聞き、行政が質問と答えを考えるケースが多いという。我が札幌市ではそのようなことはないと信じるが、さっぽろ女性会議ではこれからも、発言回数だけでなく、質問内容、質問作成過程もチェックして行く。
有権者の皆さんも自分が選んだ議員の活動に目を光らせようではないか。
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