平成11年11月24日(水)〜

まだ存在しない物語のための覚書
 
 

 時 − 今。少し前、及び少し後。
 場所 − 日本。東京とそのそば。



[男Aの独り言]

 雨かあ。淋しいかぎりだ。
 あしたはなんだっけ。
 いいや。



[電話]

女B
 …それで、それで
女C
 困っちゃってさ、でも我慢きかないほどじゃなあいけど、ああふ

 なによ、ねむいの
 ちょっとあくびだけ。いつも三時頃にうつらうつらしてるんだけど、そいつ張り切る、あたい眠れないで、いまごろね
 けきゃけきゃ。あたりまえよ、今眠くなるんで
 そうだけどう、あっ、ところでさ、行くことになったあ、ご旅行
 ええー
 へっへえ、なぜだと思うでしょう
 どうして知ってるのう、なんでえ
 ないしょ。なんてね、教えたげる。あんた友だち選んだほうがいいよ。あのこ、ほとんど言い触らしてんだもん
 うそう。信じらんない
 はじめ、あんたが宣伝したいのかと思っちゃった
 まさかあ。考え変えよう
 でもさあ、うらやまねえ
 え、あのこと
 そっよ。許されないはずなのに大胆
 そんなふうに言わないで
 またまた、ありがちな言葉つかってえ
 エーン、信じてよ、ほんとは全然事情違うんだから
 あれ、違うというと
 だから、つまり、…



[男D街路をゆく。歌う]

 さよならの
 せつなさは
 なんんんんだあた
 あのか
 ときが何年も
 なんんんんねんも
 過ぎたわけじゃあ
 なあいのに
 あ あ
 ああ あ
 おんなの
 おお
 あいそなしよ

 三日だぜ
 たった

 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
作品記録:
 平成3年9月〜10月頃(1991年)初稿。
 平成4年8月11日、若干推敲。二稿。
 1999-04-15 小説工房談話室 #1436 に、「哀憐笑話(六)」として発表。若干推敲あり。三稿。
 1999-11-24 本頁に掲載。三稿のまま。