平成10年9月2日(水)〜

.

 無題
.

 戦いの後
 焼け野原には
 月が現われ
 いくつかの星が見えだした

 お嬢さんは
 幼な子を抱き
 平たい石にすわっていた

「おまえはどうするの?
 私は疲れた
 疲れちゃった

 私たち人間は
 いったいどのくらい
 生きてきたのかしら

 いつかずっと昔
 やっぱり誰かが
 こうやって星を見て
 私たち人間は
 いったいどのくらい
 生きられるかって
 思ったかしら

 でも
 でも坊や
 あなたは生きて
 あなたはどこまでも
 見てきて

 海が消えるのも
 大地が沈むのも
 人の心が
 灰になるのも
 あなたは見届けて

 そして
 できたらね
 答えをだしてね……」

 銀色に輝く
 異邦人の船が
 星の間を
 いくつか流れた

.

S52.8.27.

.
.
.
.
.


.
※ 補足:「幼い(おさない)」が正しい送りがな。
よって、「幼な子」は、「幼子」が正表記。
しかし、原文のままとする。
.
※ 訂正: 「おまえはどうするの?
原文では、行頭の鍵かっこが他の行頭と揃っていた。
ここでは、行頭の鍵かっこのみ、他の行頭より一字左へ。


.

↑ 


 ↓


 非青春の笑顔 目次へ